今回は近鉄の自動放送を担当されている方を、分かっている範囲でまとめてみました。
(近鉄に問い合わせてくださった方から頂いた情報も含んでおります)
そもそも何名いる?
近鉄の自動放送を担当されている声優さんは、分かっているだけでもなんと10名いらっしゃいます。
(日本語以外を担当されている方を含む)
男声、女声でワンペア、それが単純計算でも4組以上いらっしゃるということです。驚きですよね。
ただし先の通り、地域によってその担当が変わるため大勢いるだけで、1つの駅で10名の声を同時に聞けるわけではありません。
順にそれぞれの方の特徴と担当されている区間をまとめておきます。
津田英治さん
低音の効いた特徴的なお声で、雑音が多い空間でもしっかりと耳に届きます。首都圏を担当していたこともあり全国区の知名度を誇る男声放送声優でしたが、年齢による声質の変化を理由に、数年前に活動規模縮小を宣言。
近鉄でも2020年の「ひのとり」運行開始を機に一斉に更新を行っており、使用駅は減りつつあります。
もとむらみちこさん
津田英治さんとペアで用いられることが多い女声声優さんです。
ドスの効いた高音で嫌でも聞こえてしまう、まさに駅放送に打って付けの声をお持ちです。
駅放送以外では、一部でエスカレーターやエレベーターの案内放送も担当されています。
樹リューリさん
▼初期に導入された放送
▼高いトーンの声の例
初期に導入された放送では落ち着いたトーンの声、2016年3月に更新された大阪阿部野橋駅以降に更新が実施された駅では、高いトーンの声で吹き込まれた放送が使用されています。。
馬場尚子さん
樹リューリさんとペアで女声放送を担当されている方です。
こちらも「関西私鉄の駅放送といえばおばちゃん声」のイメージを払拭するのが狙いのようで、非常に若く明るい声の持ち主です。
声のハリは弱いですがはきはきとした明るい声で、雑音の多い駅でもしっかり聞き取ることができます。
妹尾和夫さん
また主要駅放送以外では、ほぼ全路線全駅の簡易接近放送を担当されています。
かつては名古屋線および伊勢志摩方面の主要駅放送も担当されていました。その名残で烏森、八田の2駅に限り、現在もこの方が担当されている放送が残っています。
各文節の終わりの語尾を伸ばされるため、少しレトロな感じがたまらないと有名です。
横田敦子さん
特に有名だった使用駅は大阪阿部野橋駅の旧放送ですが、他には東海道・山陽新幹線の旧型駅放送も担当されていた方でもあります。(現行の東海道新幹線の駅放送については存じません。申し訳ありませんm(_ _)m)
和を感じさせるおっとりした女声が特徴的です。落ち着いていながら、騒音の中でも聞き取りやすい点も素晴らしいところ。
小谷博樹さん
まだまだ続きます。
こんどは名古屋線および伊勢志摩方面の主要駅放送を担当されている小谷博樹さんです。
有田さんはもとより、大阪方面の樹リューリさんとも異なる方のため要注意。
駅放送は聞き取りやすいことが最重要視されるものですが、この方はその点において非常に秀でた才能をお持ちです。
声が高いのはもちろんのこと、作り声とその発音が特徴的で、一度聞けば癖になること間違いなし。
個人的な推し放送パーツ第1位は、名古屋行き準急電車の到着時に聞ける「準急です」パーツです。ぜひ聞いてみてください。
中川京子さん
小谷博樹さんとペアで起用されています。担当されている範囲も同じです。
低すぎず高すぎずの女声で、こちらも形容できない癖があり、またずっと聞いていると子守唄になるほど、落ち着いた優しい声をお持ちです。
名古屋方面および伊勢方面では、一部主要駅を除いて伊勢中川方面行きの放送を担当されているため、必然的に男声よりも多くのパーツを聞くことができます。
なお近鉄は通常の自動放送とは別に、遅延を案内するための簡易な放送を駅員がいる駅に導入していますが、その放送もこの方が担当されています。
この放送は駅放送の声の主にかかわらず全線で聞くことができます。
◆ダビーナ・ロビンソン(Davina Robinson)さん
駅および車内放送の英語を担当されている方です。導入されて以来誰かわからない状態が続いていましたが、「しまかぜ」の車内放送CDで初めてその名が明かされました。
自動放送としてはあまり聞きなれないタイプの声質ですが、やはりネイティヴの方とあって発音は保証ものです。
少し面白い特徴としましては、この方の吹き込んだ音声パーツは収録時期が新しければ新しいほど声が明るくなっています。
初期に導入された奈良駅の放送は「本当にこれでいいのか」と思うくらい暗いイメージですが、最新の車内放送ではかなり明るい声になっています。
このように近鉄の駅放送は多数の声優によって支えられています。
路線ごとにその風情を感じさせる別物の放送が使われているというのは、JRでは当たり前ですが私鉄ではかなり珍しい例です。
路線規模が大きい会社だからこそなし得る技でしょう。
車内放送
続いて車内放送の方の紹介に移りたいと思います。
当然車内放送も多数の声優さんによって支えられています。
こちらもあわせて7名の方が担当されていますが、残念ながら分かっている方が4名だけのため、その方のみご紹介させていただきます。
有田洋之さん
車内放送のみならずニュース番組などでも多角的に活躍されている方とだけあって、声は非常に安定しています。通勤電車で聴くにはもったいないくらいの代物です。
近鉄特急に合わせた配役ですので、通勤電車とは思えないくらい落ち着いた放送となっています。
津田英治さん
駅放送でも登場しましたが、実は車内放送も担当してらっしゃいます。
かつてはアーバンライナーなど特急の車内放送も担当されていましたが、先述の活動規模縮小に伴って新規パーツの収録を行わない方針となりました。
ちなみに…
ところが男声の放送は騒音でかき消されやすいため地下鉄には合わず、大阪市営地下鉄は現行の秀平真由美さんが担当する女声放送へと移行。
特に問題のなかった近鉄側は放送の使用を続け、そして現在の食い違いに至ります。
更新されるという噂は聞きませんが、余命はそれほど残されていないはずです。記録はお早めに…!
もとむらみちこさん
津田英治さんと同じく車内放送でも活躍されています。
担当は路線単位ではなくワンマン放送が主で、次の路線のワンマン列車車内放送を担当されています。
またシリーズ21などに搭載されている戸閉め予告の短いフレーズももとむらさんが担当です。
ダビーナ・ロビンソン(Davina Robinson)さん
こちらも先述の通り駅放送と同じ方が担当されています。
「室生口大野」を「むろぐちおおの」、「結崎」を「ゆざき」と長音を無視して読むこともあれば、「大三」は「おおみつ」としっかり発音されていたり、地名の読み方にばらつきがあります。
読むスピードは車内放送としてはかなり遅め。ただ発音は悪いというわけではないので、リスニングの第一歩としてはおすすめです。
以上、近鉄の案内放送を担当している方のまとめでした。
今のところわかっていない方は以下の3名です。
・駅英語男声担当
・車内放送中国語担当
・車内放送韓国語担当
通常、放送を担当されている方の名前は表に出ないため、もし似たような声を聞いたことがあるよーという方はお知らせくだされば幸いです。
なお韓国語放送につきましては、韓国語放送の字幕打ちをお願いしている方、および韓国語に精通している方にお伺いしたところ、あの発音はとてもネイティヴの方が担当されていることは考えられないとのことでした。
それではー!