懸念されていた台風19号の上陸。当初は直撃する予報が出ていた関西でしたが、幸い台風の進路が東に逸れたためそこまで大きな被害はありませんでした。
これから台風が接近している地域の皆様におかれましては、身の安全を最優先に行動していただきたく思います。
なお、この記事はあくまでどういった運転が行われたかを記録しているものであって、遅延や災害に対してそれ以上の意図はありません。
台風19号の接近に伴い湖西線では強風が見込まれたため、和邇(わに)から近江塩津間を計画運休し、通常は設定されない和邇行きの列車が運転されました。
またその前段階から新快速を近江今津止まりに変更していったため、行き先変更が発生。今回はこの2点を取り上げたいと思います。
自動放送
結論から書くと全部対応していました。和邇行きも流せていましたし、近江今津行きの行き先変更にも対応していました。
近江今津行きの新快速で「敦賀までの各駅」は解せませんが、行き先変更をしても停車駅や先着案内には反映されないことはよくあるので特筆することでもないでしょう。
今回出会した興味深い動作がこちら。列車が抑止をかけられた(運転見合わせになった)際の発車標と放送の動きです。抑止された理由は後ほど。
発車標は遅れ表示の代わりに「運転見合わせ中」の表示が出るようになります。自動放送では
1番のりばに停車中の新快速・近江今津行きは、ただいま運転を見合わせています。
The Special Rapid Service bound for Omi-Imazu on track 1 is suspended at this time.
という放送が流れるようになります。流れる間隔は停車中放送と同じ(3分間隔。設定により変動)でした。
また、スクロール表示でも運転を見合わせている旨の表示が流れます。内容は自動放送と同じ文面です。
自動放送での停車中抑止の案内は阪和線システムの時点ですでに導入されていました。スクロール表示も同様で阪和線システムの時点で流れるようになっていましたが、固定表示が用意されたのはこのシステムが初めてです。
「和邇」表示。
「邇」という字に注目。基本的にSUNTRASシステムの表示はMSゴシックを使用しているのに対し、少しだけ字形が異なります。
この赤く塗った1ドットが、MSゴシックにはあるのに対し実際の表示にはありません。
「運転見合わせ中」と「和邇」表示はこちらに掲載しておりますので、ご覧ください。
避けたはずの悲劇
今回撮影・録音できた抑止状態に入った新快速・近江今津行き。なぜ大津京駅で抑止の状態になってしまったのか、その理由をご紹介したいのですが、
その話の前にそもそも計画運休とは何を目的に行われるか、というのを整理しないといけません。
国交省によると
・ 列車の駅間停車や駅での混乱等を防ぐ必要がある。
・ 現に、平成30年の台風24号では、計画運休完了前に一部列車が駅停車したが、事前に計画運休を案内していたため、当該列車の乗客も少なく、大きなトラブルとならなかった。
・ また、鉄道が計画運休を実施することにより、早期帰宅の促進、不要不急の外出の抑制、イベントの休止や早期切り上げ等、社会の安全を確保する役割も果たしていた。https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo02_hh_000111.html
こういった項目が計画運休の目的として挙げられています。つまり
・駅間や途中駅で抑止される列車を出来る限りなくす
・交通機関が止まってしまい、駅から身動きが取れない帰宅困難者を減らす
・交通機関が予め止まる時間を告知することで、外出する人を少なくする
ために計画運休は行われます。
今回も湖西線の計画運休は行われる予定で、事前に告知がありました。
前日の夜10時に発表された12日の計画運休に関する告知です。
湖西線の上りは和邇駅8:32発の普通・近江舞子行き(近江舞子で新快速敦賀行きに連絡)、
下りは近江塩津駅9:40発の新快速・近江今津行き(近江今津で普通・京都行きに連絡)。
これらの列車が最終になる「はず」でした。
ところが。
予告していた最終電車より2時間経った10時半の時点でも、まだ和邇〜近江塩津間の運転を行っていました。事前に告知した時間になっても意外と風が弱かったのでしょうか、最大限利便を確保しようという取り組みは素晴らしいものです。
ただ天気と言うのは完璧に予測できないものです。急に風が強くなることもあります。大津京駅で2時間ほど粘った感触としては、着いた当初は少し強い風程度だったのが、変えるころには危機感を覚えるくらい強くなっていたのを覚えています。
その結果、
「駅間や途中駅で抑止される列車を出来る限りなくす」ための計画運休であったはずなのに、合計4列車を途中駅や駅間で閉じ込めてしまう結果に。
そのうちの1本が先ほどの新快速・近江今津行きでした。和邇以遠の区間で風が強くなってしまいこれ以上進めなくなってしまったことから、大津京で運転を見合わせる形になりました。
「運転できるところまで運転を続ける」
この姿勢は確かに評価されるべきものでしょうが、これでは結果的に計画運休がなかったころに逆戻りしてしまっています。
前日までの告知がせっかくうまくいっていたのですから予定通り計画運休に踏み切るべきなのではないかと思います。
湖西線は設備点検のため、明日も始発から運転を見合わせる可能性があるということです。JR西日本公式の運行情報をよくチェックしましょう。