「JRの駅放送なのに他社線を案内している」放送特集

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JR西日本の駅放送なのに……!

JR西日本の駅放送なのに……!!

……他社路線を案内している駅放送って興奮しませんか?

 

ある時は直通路線の案内であったり、ある時はライバル路線であったりを異文化の放送で案内する違和感がたまりませんよね。

 

この記事ではSUNTRAS型放送が他社線の駅名や停車駅を案内する例をまとめています。

 

関西空港駅 →南海電車

この駅でしか聞けない案内

・種別「空港急行

・列車名「ラピートα」

・列車名「ラピートβ」

南海線の停車駅

南海線の放送方にあわせた啓発放送

 

▲普通車・なんば行き

 

そのほか個々の列車の案内放送は↓

yatatetsu.hatenablog.com

 

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関西空港線南海電車と共同で管理しており、駅も分担して運営しています。りんくうタウン駅南海電車の管轄、関西空港駅はJRの管轄となっていますので、関西空港駅では南海電車のホームでもJR西日本の駅放送が流れます。

 

南海電車の案内も停車駅案内はもちろん、朝の空港急行女性専用車両の案内まで対応しているこだわりっぷり。他社線の放送とは思えない好待遇です。

 

放送文の違い

JR西日本のこだわりは単に詳細に流すことだけにとどまりません。

他社線の言い回しに合わせて放送文を変えているのです。

 

「黄色い点字ブロックまでお下がりください」

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「危ないですから黄色い点字ブロックまでお下がりください」

→「危険ですから黄色いの点字タイルまでお下がりください」

 

南海電車では「点字タイル」という表現を用いていますので、これに配慮して該当の放送文を変えています。

 

「ありがとうございます」

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今日もJR西日本をご利用いただきまして、ありがとうございます」

→「本日も南海電鉄をご利用くださいまして、ありがとうございます」

 

"Thank you for choosing JR-West."

JR西日本を選んでいただきありがとうございます」

→"Thank you for taking Nankai Railway today."

「本日は南海電車をご利用ありがとうございます」

 

これも相手の会社に合わせて表現を変えています。

英語放送もちゃっかりJRを“選んでくれた”ほうが特別感が出るよう単語を変えています。ニクい工夫です。

 

「特急ラピートは」

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特急ラピートが全席指定である旨の案内放送まで用意されています。啓蒙放送と同じ枠で用意されていますので、ラピートが止まっていない時でも流れます。

 

「ドアが閉まります」

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ドアが閉まります。ご注意ください」

→「扉が閉まります。ご注意ください」

 

基本的に「ドア」という表現を使うJRとは対照的に関西私鉄は「扉」という表現を用います。それを反映して「ドアが閉まります」という放送を「扉が閉まります」という表現に変えています。

 

「電車が到着しましても」

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「電車が到着しましても、ドアが開きましたら、降りられるお客様を先にお通しください。またご乗車の際、押したり割り込んだりせず、前の方に続いて順序良くご乗車ください。」

→「電車が到着しましても扉が開きましたら、降りるお客様を先にお通しください。またご乗車の際、順序良くご乗車ください。」

 

とても細かい違いですが、こちらの啓発放送でもドアと扉の言い回しが統一されています。

 

上郡駅ほか →智頭急行

この列車でしか聞けない案内

智頭急行線内の停車駅

 

智頭急行線に直通する特急「スーパーはくと」、「スーパーいなば」では智頭急行線内の停車駅案内を聞くことができます。

 

スーパーはくとの例

 

▲「用瀬」(もちがせ)駅臨時停車時の放送

毎年3月末に行われる「流し雛」に合わせて一部の特急が用瀬駅に臨時停車します。

 

 

豪雨の影響で鳥取方面が不通となった際には智頭止まりの列車も運転されました。

 

▲智頭行きの例

 

米原駅ほか →JR東海

この駅でしか聞けない案内

・種別「特別快速」

JR東海内の停車駅案内

 

JR東海 岐阜経由で高山線に入る特急「ひだ」号では下呂駅までの停車駅を聞くことができます。

また米原駅では、JR東海 東海道線に直通する列車の放送が流れます。「特別快速」がJR西日本の自動放送で案内される唯一の駅です。

 

▲特急ひだ25号・下呂行きの放送

 

▲特別快速・名古屋方面行きの放送

 

 

かつては姫路方面から大垣行きの直通列車も運転されていました。

 

▲普通・米原方面大垣行きの放送

 

「特別快速」の英語表記問題

JR西日本と東海では次のように類似した種別でも英訳が異なります。

 

JR西日本

新快速  = Special Rapid Service

 

JR東海

新快速  = New Rapid Service

特別快速 = Special Rapid Service

 

新快速のほかに種別がないJR西日本では、快速よりも速いということを強調するため新快速の英語表記を"Special Rapid Service"「特別快速」としています。

 

対するJR東海は新快速のほかに特別快速が存在するため、新快速は"New Rapid Service"、特別快速は"Special Rapid Service"と英訳を変えています。

 

米原駅はこれらが両方発着する唯一の駅です。関西空港駅であれだけのこだわりを見せたJR西日本ですからきっと力を注いでいる…かと思いきや、JR東海の新快速、特別快速は区別することなく"Special Rapid Service"で案内しています。

 

京都駅 →京都丹後鉄道

この駅でしか聞けない案内

・京都丹後鉄道線内の停車駅案内

 

京都駅では、京都丹後鉄道(旧 北近畿タンゴ鉄道)に直通する特急「はしだて」号の放送を聞くことができます。

 

▲特急はしだて5号・久美浜行きの放送

まいづる5号・東舞鶴行きを併結)

 

特急はしだて5号は久美浜到着後、快速に変わり豊岡まで運転を続けますが、「豊岡行き」としてしまうと山陰線経由か京都丹後鉄道線経由かが分からなくなってしまうため久美浜行きとして案内されています。

 

与謝野駅、京丹後大宮駅、夕陽ヶ浦木津温泉駅が駅名変更される前の放送はこちらです。

 

 

▲特急はしだて5号・久美浜行きの放送

(駅名改称前。まいづる5号・東舞鶴行きを併結)

 

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特筆すべきはやはり他社の仕様に合わせた放送が導入されている関西空港駅でしょう。

根幹はJR西日本、でも要所要所は他社線の放送に合わせる。全国でもここだけといえる類稀な駅放送で、音鉄・録り鉄を名乗るのであれば一度は聞く価値があります。

 

以上「JRの駅放送なのに他社線を案内している」放送特集でした。

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