巷で酷評されている阪神電車の車内自動放送を聞いてきました

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阪神電車では、直通先の近鉄タブレット端末を用いた自動放送を導入したのにあやかり、自社でも同様のシステムの自動放送を導入しました。

 

とはいえ「設備はあるしうちも試験で導入してみよか」くらいのノリでしょうか。タブレット端末を繋ぐためのコードが近鉄直通対応車か近鉄の車両にしか装備されていないため、自動放送が流れるのはなんば線の電車と快速急行のみです。そのほかの列車では流れません。

 

近鉄、南海、京阪に次ぐ導入だと楽しみにしていましたが、蓋を開けてみますと「相当ひどい」と話題です。東花園行き各駅停車をリベンジするついでに阪神線の車内自動放送も録音してきましたので、所感を書き記しておきます。

 

そもそも問題視されている点は?

阪神電車タブレット放送が槍玉に上げられたのはこの自動放送が機械合成音声を用いて作成されているためです。

 

機械合成音声とは、いわゆる「ゆっくり」のような文章を音声にして読み上げるものです。歌わず喋るボーカロイドみたいなものとも言えます。

 

ぜひ実際の放送を聞いてみてください↓

 

 

 

無機質で単調な声であるのが特徴です。加えて発音が不安定であり、音同士が不自然に繋がったりアクセントの位置が違ったりというのが頻繁に起きます。そしてこの特徴を飲み込めるかどうかで好き嫌いが非常に分かれるのです。

 

当然ですが、発音の自然さをみた時、人の声そのものではない音声が人の声に勝ることはありません。まともにイントネーションを付けられないくらい低レベルのものはさておき、ある程度の違和感は仕方がないものと割り切って評価するのが筋というものです。

 

では阪神電車の車内自動放送を聞いてみましょう。最初はまともですよね。確かに日本語放送は“割と良くできている”のです。問題は英語放送でした。

 

日本語はまとも。英語は大問題。

英語放送について見てみましょう。表現については、たとえば「尼崎行き各駅停車」を"This is a local for Amagasaki."("local TRAIN"でないと不適切)と流したり、

「お降りの際は足元にご注意ください」が"Please be careful when you leave the train."「電車を降りるときは注意!」(何に注意するの?がない)になっていたり、

不安定な面はありますが、そんなものは発音に比べれば些細なことで大した問題ではありません。もうとにかく英語放送での固有名詞の発音がひどいのです。

 

"Osaka-Umeda"

アクセントは「おーさかうめだ」ですよね。この自動放送では「おーさかうーだー」になってしまっています。伸ばしていい母音全部が伸ばす音になってしまっているため、原形がなくなってしまっているのです。

ちなみに"Osaka-Namba"も同様にアクセントの位置が無茶苦茶になっています。

 

"Dome-mae"

"Sennichimae Line"

合成音声はとにかく「まえ」の発音が苦手です。なんせ"a"の発音は本来「あ」ではなくエイビーシーの「エイ」ですから、"mae"と打つと「めえー」になってしまうんです。

なるほど、"a"を「エイ」と読むのなら、"ma e"と区切ればうまく読んでくれるんじゃないか。今度は"e"の発音は「え」ではなく「いー」ですから、"mae"が「まいー」になっちゃうんですね。機械って難しい。

なので読ませる時に"mar eh"(※区切るのが重要!)と打ち込んだりして調整するのですが、阪神電車はこれをしちゃったせいで「せんにちまぁえぃらいん」になっちゃってます。

これ、阪神電車が悪いというより合成音声ソフトの質の問題です。

 

"Higashi-Hanazono"

「ひがすぃーはなぞのー」になっちゃってました。うっかりヘボン式にし忘れて"Higasi-Hanazono"で打ち込んだときにこうなります。こればっかりは阪神さんのミスですね。

 

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私自身は合成音声を使用した放送にかなり賛成している人間なのですが、現在存在する日本国内の合成音声ソフトの技術ではこの程度の音声しか作れないものかと本当に落胆しました。

使用用途として「構内アナウンスなどに!」などと大々的に書いておきながら、実際には地名の1つや2つもまともに読めない(もしくはそれを読むようなモードなどを搭載させていない)のです。これでは日本企業の合成音声をあえて使う意味がありません。

 

海外の合成音声を見てみれば、たとえば「Animaker Voice」のような高性能な合成音声が存在します。

 

 

こういった自然で聞き取りやすい合成音声を採用してみてはどうでしょうか。

 

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