「ご注意ください」「してください」「おやめください」言い換え集

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鉄道のアナウンスで学ぶ英語表現。今回は頻出の「ご注意ください」と「~してください」をスマートに言い換えるための表現をまとめました。

 

「ご注意ください」

be careful「気を付けて」

ド直球。本来は危険なことに対して「気を付けて!」というための表現なのですが、下手な注意書きやアナウンスでは氾濫していますよね。

 

Please be careful of the train doors.

ドアにご注意ください(Osaka Metro 車内放送)

↑あまり適切ではない例。もっと具体的に "Please stand clear of the doors." (ドアから離れてください)とか、何に気をつければいいのかを流すべきです。

 

make sure「確かめる」

「確かめてくださいね」、「気を付けてくださいね」というニュアンス。

make sureのあとには

1.that+S. V(thatは省略可)

2.疑問詞+S. V

のように、接続詞を入れてから文をくっつける。もしくは、

3.to不定詞を入れる。

 

具体的に「〜を確かめて」と言いたいときには

4.ofを付ける。

ただし、「〜を確かめて」と言う時にはcheckを使うのがふつうです。

 

Please make sure that you have all your personal belongings.

お忘れ物のないようにご注意ください。
=持ち物を全て持っているか確認してください

京阪電車 車内放送)

 

belongings = 持ち物

 

Please make sure that you are on the right car for your destination.

お乗り間違いのないようにご注意ください。
=正しい車両に乗車しているかご確認ください。

JR西日本 駅放送)

 

destination = 行先、目的地

 

take care「気を付けて」

「気を付けてくださいね」もしくは「絶対に〜してね」というニュアンス。be carefulほど強くはない表現。

 

take careの使い方は、make sureと同様です。

1.that+S. V(thatは省略可)

2.疑問詞+S. V

のように、接続詞を入れてから文をくっつける。もしくは、

3.to不定詞を入れる。

 

ただしtake careはmake sureのように、"take care of"の形では使えません。(「〜の世話をしてね」という意味になります)

なので「〜に気をつけて」と、具体的に物を提示して注意を促すときには使えません。行動に対して注意を促すときに使います。

 

Please take care not to miss the last train.

終電車をお乗り過ごし無いようご注意ください。

→not+to不定詞で「~しないように」

 

Please take care when exiting from the right side of the train.

右側からお降りの際、ご注意ください。(近鉄特急 車内放送)

→"when you are exiting"の"you are"が省略された形。whenのあとに進行形が続く場合、よくこの省略が起きる。

 

be sure「確実にする」

make sureと似た表現ですが、make sureが「〜を確かめる」なのに対し、be sureは「〜を確実にする」というニュアンスです。

 

be sureのあとには

1.that+S. V(thatは省略可)

のように、接続詞を入れてから文をくっつける。もしくは、

2.to不定詞を入れる。

 

具体的に「〜を確かめて」と言いたいときには

3.of, aboutを付ける。

 

Please be sure to lock the key.

ドアが閉まっているかを確認してください。

=鍵を確実にかけてください。

 

note「頭に留めておく」

危険に対する「注意」ではなく、案内に関する「注意点」を案内するときに便利な表現。take careと同じく後ろには文を持ってくる。

 

Please note that a Shimakaze Car Ticket is required to board this train.

この電車には、しまかぜ車両券も必要ですのでお気を付けください。(近鉄特急しまかぜ 車内放送)

 

be reminded「頭に留めておく」

noteをもっとスマートに表現するときにおすすめの表現。remindは、re「再び」+mind「意識する」→「思い出す」という意味の単語で、転じて「頭に留めておく」、「注意する」という意味も持っています。

 

Please be reminded that the section of this train bound for Wakayama does not travel to Kansai Airport.

この電車の和歌山行きの車両は、関西空港にはまいりませんのでお気を付けください。

 

be aware/beware「頭に留めておく」

「気に留めておく」というよりは「認識する」というニュアンスが強い表現です。bewareを使った例文を調査中。

 

Please be aware that this train will not stop at every station.

この電車は全ての駅に停まるわけではありませんので、ご注意ください。=途中通過駅がありますのでご注意ください。

JR西日本広島支社 駅放送)

 

Kindly be aware that the priority seats are primalily for the elderly, the physically challenged, the expectant mothers, and passengers carrying infants.

優先座席は主に高齢者や、身体的に障害を抱える方、妊婦さんや幼児を連れているお客様のためのお席ですので、ご承知ください。(323系 車内放送)

 

Kindly = pleaseとほぼ同義で、「~してください」と言う意味です。後ほど紹介。

primalily = 主に

the + 形容詞 =「~のような人」

the elderly = 高齢者

the physically challanged = 身体的な障害のある人。「障碍」はdisabilityと言うこともあります

infant = 乳幼児

 

mind「気を付けてください」

be carefulの言い換えとして、注意をするよう促す時によく使われる表現。英語圏ではplease be carefulよりもこっちの方が王道。

 

Please mind your step when you get off the train.

お降りの際、足元にお気を付けください。(京阪電車 車内放送)

 

Mind your step. 

Mind the gap.

足元に/隙間に注意。掲示物によくみられる。

 

「してください」

please「~してください」

pleaseとは、そもそもへりくだって「~してください」とお願いする表現なので、乱用すると変なことになります。場面を見極めて使いましょう。

基本的には命令文の形で、相手に不手際で不便をかけるときには積極的に使えるといいですね。

 

This train is stopped at a red signal. Please be patient.

ただいま赤信号で止まっております。しばらくお待ちください

↑○

 

The train will sway upon arrival. Please hold onto a strap or a handrail.

到着に際し列車が左右に揺れます。つり革や手すりにおつかまりください。(JR西日本 新快速 タブレット車内放送)

↑△ pleaseが無くても大丈夫。

 

Please wait in the middle of the platform to board trains composed of 4-6 cars.

4~6両の電車にご乗車の場合は、ホームの中ほどでお待ちください。

↑△ pleaseが無くても大丈夫。

 

Please change here for the Tanimachi Line, JR Line, and Hankai Line.

この駅で谷町線、JR線、阪堺電車に乗り換えてください。

↑× please不要。"Change here"から始めても構いません。

 

kindly「~してください」

pleaseの言い換えとして使える表現です。pleaseとkindlyの違いとして、「pleaseは丁寧にお願いする」、「kindlyは丁寧に命令する」と言うニュアンスの違いがあるようです。(参考

 

Kindly be aware that the priority seats are primalily for the elderly, the physically challenged, the expectant mothers, and passengers carrying infants.

優先座席は主に高齢者や、身体的に障害を抱える方、妊婦さんや幼児を連れているお客様のためのお席ですので、ご承知ください。

詳細は "be aware" の項目をチェック!

 

Kindly be reminded that the train may stop suddenly for emergency cases.

緊急時には急停車することがありますので、ご注意ください。

 

kindlyの前にpleaseを入れて、"Please kindly ..."としたりすることもあります。

 

should「してください」

pleaseを、命令文ではないふつうの文の形で言い換えるための表現1。

shouldは「~すべき」という意味で習うかと思いますが、本来の意味として「~する義務がある」「~して当然」というニュアンスがあります。これを効果的に使うと「~してください」と同義になります。

 

Passengers going to Wakayama or Shirahama should take this train and transfer at Hineno.

和歌山・白浜方面へお越しのお客様は、この電車にご乗車のうえ日根野でお乗り換えください。(JR西日本 関空快速 タブレット放送。一部改変)

 

Passengers taking the HARUKA limited express bound for Kyoto should wait at track 4.

特急はるか号・京都行きをご利用のお客様は、4番線でお待ちください。(JR西日本 関空快速 タブレット放送)

 

be advised to do「~することをおすすめします」

pleaseをふつうの文で言い換えるための表現2。協力をお願いするときに使えるとスマート。

 

Cars at the front of the train are less crowded. Passengers are adviced to use the cars at the front of the train.

前寄りの車両は比較的混雑がましです。前寄りの車両を利用することをお勧めします。=前寄りの車両をご利用ください。(JR西日本 みやこ路快速 タブレット放送)

 

must「~しないといけない」

mustを使うことで、「~する義務(必要)がある」を表すことができます。例文を見ていただくのが分かりやすいかと思います。

 

Passengers must have a limited express ticket in addition to a train ticket.

乗車券のほかに、特急券をお持ちになる必要があります。=特急券をお買い求めください

 

we ask「~することをお願いする」

askには「尋ねる」という意味のほかに、「~するように頼む」という意味があります。これを活用すると、お願いの意を表すことができます。使い方は3種類あります。

 

we (would like to) ask you to 動詞

We kindly ask you to wear face masks while traveling on this train.

ご乗車中、マスクを着用していただきますようお願いします。

 

kindlyとの合わせ技も使えます。

海外では、かっこ書きしましたが、askをお願いのニュアンスで使う時には"would like to"を付けることも一般的です。

 

we (would like to) ask that 文

We ask that you switch your mobile phone to silent mode.

携帯電話をマナーモードに設定していただくようにお願いします(東海道新幹線 車内放送)

 

we ask your cooperation in doing/名詞

近鉄でしか聞いたことがない表現ですが、誤りではないので一応掲載しておきます。

 

In order for as many passengers as possible to be seated, we ask your cooperation in making room for others and do not put your bags on the seats.

可能な限り多くのお客様が席に座れるよう、荷物は席の上に置かないようにして他のお客様のために空けてください。(近鉄 タブレット放送)

 

in order to do「~するために」→in order for 人 to do「人が~できるように」

cooperation「協力」

make room「場所を空ける」

 

「おやめください」

(please) do not「やめてください」

do notで始まる命令文は、強い否定のニュアンスを持ちます。

 

For your safety, please do not rush for your train.

安全のため、電車に駆け込まないでください。(近鉄 車内自動放送)

 

must not「してはいけません」

must notの文も強い否定を表します。

 

You must not rush into the train which has been ready to depart.

発車間際の電車への駆け込み乗車はおやめください。

 

refrain from doing「ご遠慮ください」

refrain from doingは「~をご遠慮ください」と、婉曲的に禁止するときに使える表現です。

 

Please refrain from smoking in the train including areas at either end of the cars.

車両端の区画を含めて、車内でのおタバコはご遠慮ください。(東海道新幹線 車内放送)

 

including「~を含めて」

either end「両端」

 

not allowed / not permitted「許可されていません」

allow, permitは「(~することを)許可する」という意味を表します。これを受け身の否定文で用いると、「(~することは)許可されていない」という婉曲的な禁止表現になります。

 

Smoking is not allowed on this train except in the designated smoking rooms located in cars 3, 7, and 15.

3・7・15号車にある指定された喫煙室内をのぞいて、車内での喫煙は禁止されています(=車内ではおタバコはお吸いいただけません)

東海道新幹線 車内放送)

 

designated「指定された」

located in「~に位置する」

 

General passengers are not permitted to board this train.

一般のお客様はこの電車にご乗車できません。(JR西日本 駅放送 団体列車接近予告放送)

 

general「一般の」

 

prohibited「禁止されています」

prohibitは「禁止する」という意味を持つ動詞です。これを受け身で使うと「(~することは)禁止されている」というニュアンスの禁止表現になります。

 

Smoking is prohibited on this train includings the restroms.

トイレ内を含めて、車内での喫煙は禁止です。(JR西日本 特急列車 車内自動放送 一部改変)

 

cannot / may not「できません」

cannot, may notは「~できない」という意味で、許可なし系の禁止表現として使えます。

 

Passengers may not board this train.

この電車にはご乗車できません。(JR西日本 駅放送 当駅止まり接近予告放送)

 

You cannot board this train.

この電車にはご乗車できません。(近鉄 大阪難波駅放送 当駅止まり接近時)

 

英訳のコツ 「おやめください」から「してください」へ

英語は、同じ表現を重複して使うのをすごく嫌う言語です。お願いしますをplease...please...please...と何度も重ねて使うと、すごく幼稚に聞こえます。

 

なので別の表現に置き換えてそれを避けるのが普通なのですが、やっぱり同じ表現を避けるというのは難しいです。

 

そこで、お願い系の文章のポケットがなくなったときには、発想を変えるとうまくいくことがあります。

コツは簡単。「Aするのはおやめください」を、「Bしてください」に言い換えるのです。

 

たとえば、「おタバコは3号車の喫煙室内以外では吸えません」ではなく、「おタバコを吸われるお客様は、3号車の喫煙室をご利用ください」のように、

「窓から手や物を出さないでください」を、「手や物は窓の内側にとどめておいてください」のように、言い換えてみましょう。こうすると、意外にうまく訳すことが出来たりします。

 

Smoking is prohibited except in the smoking room in car 3.

→If you wish to smoke in this train, please use the smoking room located in car 3.

 

Please do not put any parts of your body or items outside the opening windows.

→Please remain any parts of your body or items inside the train.

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