14系・24系客車寝台 方向幕 JR西日本・黒幕

ブルートレイン」。かつて日本中を駆け回っていた、青い車体の寝台特急の愛称です。

 

国鉄時代、日本経済の発展に伴って多数の寝台列車が設定され、栄華を築いたのは束の間のこと。

新幹線開通に伴う移動の高速化、ホテルの乱立やモータリゼーションなど、さまざまな要因が重なって、利用客は激減。民営化を境に数を急激に減らし、ついに2013年に引退した寝台特急日本海」号、2016年の急行「はまなす」を最後に、日本からブルートレインは消滅しました。

 

そんな彼らの勇姿を今に伝える方向幕をご紹介します。

 

今回ご紹介する我が家のガラクタは、14系・24系寝台客車の側面方向幕です。

 

14系や24系客車と言えば、北は北海道、南は九州まで、東北・東海道山陽線を南北に駆け巡ったブルートレインの代表格です。それだけに方向幕のコマ数も70コマと非常に多めとなっています。

 

民営化後はJR東日本所有とJR西日本所有の車で大きく分かれ、うち西日本が所有していた車両では、381系などで見られたような黒地の方向幕に交換されました。今回ご紹介するのはこの黒地の方向幕です。

JR西日本の特急形式の方向幕が、1本くらいほしいと思っていたところに飛び込んできた今回の幕。どうせ買うなら一番いいやつが欲しいので、値段を考えず購入してしまいました。

 

当時、西日本に設定されていた様々な寝台特急・急行として運転できるよう、定期運転用から将来の運転変更を見越したコマ、異常時の行き先変更に対応した変な行き先まで幅広い内容が用意されています。

さっそく見ていきましょう。

 

 

動画でもご紹介しています。

 

 

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まずは「回送」「試運転」「臨時」といった非定期列車用の幕。フォントは新ゴでカッコよく決まっています。

「臨時」と最後の方に入っている「団体」は、いずれもJR西日本特有のロゴ文字ではなく、新ゴうちっぱなしの文字です。

 

 

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特急「さくら」。九州新幹線の列車名として名前が引き継がれましたね。末期は東京―長崎間で運転されていたので「東京」「長崎」の行き先はもちろん、途中駅切り離しがあったころの名残で「佐世保」行きも入っています。

 

どうもこの「さくら」の「ら」を見る限り、ひらがなの列車名だけフォントがゴナになっているようです。

 

 

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続いて特急「はやぶさ」。2009年まで東京―熊本間で運転されていた寝台特急列車です。ところが西鹿児島(現鹿児島中央駅)行きも想定されていたようで、幕だけは用意されています。

 

 

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はやぶさ」と併結運転をしていた特急「富士」。東京―大分間で運転されていました。本来は東京行きなわけですが、品川行きの幕も用意されています。

 

大幅に遅れた場合は、品川で打ち切ることが多かったようです。きちんと打ち切りに備えて用意してあったんですね。

 

 

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特急「彗星」。京都・新大阪―宮崎・南宮崎間を運転していた寝台特急で、2005年に廃止されました。

末期の南宮崎行きのほか、1970年代の都城発着だった時代のコマも引き継がれています。

 

 

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特急「瀬戸」「出雲」は、現在の「サンライズ」の前身となった寝台特急列車です。出雲に関しては出雲市行き以外にも、浜田行きなども入っています。

 

 

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お次は寝台特急日本海」。私が走っている姿を見ることができた、最初で最後の現役ブルートレインでした。

青森行き、大阪行きのコマは30番台に、遠く離れて60番台に函館行きのコマが用意されています。

 

 

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特急「あかつき」。京都・新大阪―長崎間を運行していた特急列車…のはずなのですが、どういうわけか熊本行きのコマも用意されています。

停車駅どころか運行経路からも外れるはずの熊本行きがあるのはこれいかに。

 

ちなみに特急「あかつき」は、末期に製造された幕だと鳥栖行きのコマもあるみたいです。

 

 

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急行「だいせん」。数少ない寝台急行枠。大阪―出雲市間を福知山線経由で運転していた列車です。

 

コマ数に余裕がなかったのか、途中駅打ち切りを考慮せず出雲市行きと大阪行きのみ用意されています。

 

 

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特急「つるぎ」。元々は大阪―新潟方面を結んでいた在来線特急でした。

一度は廃止された列車愛称でしたが、北陸新幹線の列車名として再スタートを切りましたね。

 

 

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少し白コマを挟んで「シュプール」号のコマが3コマだけ入っています。「シュプール」とは、スキーが日本で爆発的に人気が出た一時代に、スキーへ旅行に行く旅客の輸送のため運転された臨時列車の愛称になります。

 

一時期の臨時列車のために、わざわざ方向幕のコマを用意するなんて……と、現代に生きる私は感じてしまいますが、当時はそのブームの終わりなんて考えられないくらいの人気だったのでしょうね。

 

 

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特急「なは」。

沖縄県の地名である那覇を名乗りながら、当然列車は海を渡れないわけですが、実は沖縄がアメリカ軍に占領されていた時代に、沖縄の日本復帰を祈願して命名された列車名であるそうな。安易に取り上げられない列車名ですね。

 

 

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最後は急行「銀河」でフィニッシュです。

 

 

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以上、なかなか濃ゆい内容でした。

収録されている列車名を一覧にするとこんな感じです。各コマ右側のカラフルな列は、列車同士で色を合わせていますので、同じ列車名のコマを探し出す時に活用してください。

 

こうしてみるとけっこうバラバラに入っていますね。例えば特急「瀬戸」。上りのコマと下りのコマで30以上も間が空いています。

特急「あかつき」では、新大阪行きと佐世保行きのコマが2つずつ存在します。使用頻度が高かったのでしょうか。

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