車内放送で学ぶ英語表現(東海道・山陽新幹線「のぞみ」編) 新幹線の英語放送・英語アナウンスを徹底解説!

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今回は、先日投稿した東海道・山陽新幹線「のぞみ」号の車内放送から、いつか使える英語表現を学んでいきたいと思います。

 

Let's train your English skills with train announcements!

 

 

今回は

①発車後の案内放送

②品川到着時の放送

新神戸到着時の放送

以上3点を見ていきます。

 

それでは対訳形式で1文ずつ見ていきましょう。

 

 

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発車後案内

原文

 今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は「のぞみ」号、東京行きです。
 途中の停車駅は、名古屋、新横浜、品川です。

続いて車内のご案内をいたします。
 自由席は1号車、2号車、3号車です。
 この電車は全席禁煙となっております。おタバコを吸われるお客様は、喫煙ルームをご利用ください。普通車の喫煙ルームは3号車、7号車、15号車、グリーン車の喫煙ルームは10号車にあります。

 車掌室は8号車です。

携帯電話はマナーモードに切り替えるなど、周りのお客様のご迷惑とならないように、ご協力をお願いいたします。

 駅および車内への危険物の持ち込みは、禁止されております。不審なものや行為にお気づきの場合は、乗務員または駅係員までお知らせください。
 また、車内で緊急事態が発生した場合は、直接乗務員にお知らせいただくか、客室にある非常停止ボタンでお知らせください。

 

  Ladies and gentlemen, welcome to the Shinkansen! This is the NOZOMI Super Express bound for Tokyo.
  We will be stopping at Nagoya, Shin-Yokohama, and Shinagawa stations before arriving at Tokyo terminal.

  Cars 1, 2, and 3 are for passengers without seat reservations.
  Smoking is not allowed on this train except in the designated smoking rooms located in cars 3, 7, and 15. The smoking room in car number 10 is for passengers in the Green Cars. Please refrain from smoking in the train including areas at either end of the cars.
  The conductor's room is in car number 8.

  While in the car, we ask that you switch your mobile phones to silent mode.
  You are welcome to put your luggage on the overhead shelf. Please be careful when you lift your luggage as it may fall. If you would like to put your luggage behind the seats at the last row or at the sections near the door, please inform the crew.

  Hazardous items are prohibited on stations and trains. If you notice any suspicious item or behavior, please notify staff immediately. In case of emergency, please notify train crew by the SOS button.
  Thank you.

 

解説

 今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は「のぞみ」号、東京行きです。

 Ladies and gentlemen, welcome to the Shinkansen! This is the NOZOMI Super Express bound for Tokyo.

 

Ladies and gentlemen ... (紳士淑女の)皆さま

welcome to A ... Aにようこそ

 

英語放送を直訳すると「みなさま、新幹線へようこそ! この電車はのぞみ超特急、東京行きです」となります。この非日常感を醸し出す文言が、旅情を掻き立ててくれますね。

 

列車愛称に続けて読み上げられる「超特急」(Super Express)というフレーズは、国鉄時代からずーっと継承されているものです。

もともと新幹線は在来線特急の上位互換という扱いです。在来線特急 "Limited Express" よりも上位の種別と言うことで "Super Express" という訳があてがわれたようです。

 

メモ:

"Ladies and gentlemen"という表現は、LGBTの方々への配慮として、世界的に使用が取りやめられつつある表現です。

新幹線の車内放送はおよそ10〜20年刻みでリニューアルされていますので、長らく当たり前のように使用されてきたこの表現も、次に大幅な放送更新が行われた場合にはいよいよ消えるかもしれませんね。

 

追記(2021, 03, 13)

本日より、車内放送において"Ladies and gentlemen"という文言がすべて削除されたようです。

 

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 途中の停車駅は、名古屋、新横浜、品川です。

 We will be stopping at Nagoya, Shin-Yokohama, and Shinagawa stations before arriving at Tokyo terminal.

 

weは不特定の人や物を表す時によく使われる主語です。今回の場合 we=この電車(This train) です。

 

文法ピックアップ will be ~ing(未来進行形)

We will be stopping at Nagoya, Shin-Yokohama, and Shinagawa stations before arriving at Tokyo terminal.

 

英語には未来を表す表現が数多くありますが、「現在形」や「過去形」のように、未来を表すのに使われる決まった「未来形」のような形はありません。確実さ、動作の長さ、時間が近いか・遠いかによって、使われる表現が変わってきます。

 

今回の放送文のように、未来を表す will に進行形(be ~ing)が重なると未来進行形となり、事前に決まっている予定や、未来で繰り返される動作などを表します。

この電車が名古屋、新横浜、品川に停車するのは未来の話です。停車駅はすでに決まっている予定であり、かつ各駅で「停車する」という動作を繰り返しますので、未来進行形が使われています。

 

メモ World Englishes

東海道新幹線の車内放送では、特に発音においてイギリス英語寄りの訛りがところどころ顔を出します。これは国鉄が車内英語放送を実施し始めた当初に、イギリス英語寄りのアナウンスを採用した流れを継いでいるためです。

これについては、英語放送を担当しているドナ・バーグさんが、自身のチャンネルにて経緯を話されています。

 

 

ですが放送文自体はアメリカ英語寄りであるため、読み上げはイギリス英語なのに文面はアメリカ英語という、ちょっと特殊な放送になっています。

 

イギリス英語とアメリカ英語では発音がそもそも違うほか、単語のスペルが違ったり、場合によってはそもそも使用する単語が変わってきます。

stopを用いて停車駅を表したり、「地下鉄」を"subway"と訳すのはアメリカ英語で、イギリス英語ではそれぞれ "call", "underground" という単語があてがわれます。英語の形は1つじゃないよってところは踏まえておきましょう。

 

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 続いて車内のご案内をいたします。自由席は1号車、2号車、3号車です。

 Cars 1, 2, and 3 are for passengers without seat reservations.

 

passenger(s) ... 旅客

without ~ ... ~なしの

reservation(s) ... 予約・指定

 

英語放送を直訳すると「1,2,3号車は、座席指定をお持ちでないお客様のための車両です」となります。

 

 

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「自由席」を表す対訳としては "Non-reserved seat" という表現があります。

新幹線においても、電光掲示板など視覚的な掲示物や、一部の駅の案内放送では "Non-reserved seats" の表現を用いていますが、車内の自動放送では長らく「座席指定をお持ちでないお客様」という婉曲的な表現を採用しています。その方が伝わりやすいですものね。

 

「続いて車内のご案内をいたします」という文言は英語放送には入っていません。このフレーズも無理やり英語に訳すとしたら、"Secondly, we are informing you the train composition."(次に列車編成をお知らせします)とかですかね。

 

メモ:自由席

東海道新幹線主要駅で流れる英語放送では、自由席号車を次のような放送文で案内しています。

 

"Non-reserved seats are available in cars number 1, 2, and 3."

「自由席は1, 2, 3号車で利用可能です」

 

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 この電車は全席禁煙となっております。おタバコを吸われるお客様は、喫煙ルームをご利用ください。普通車の喫煙ルームは3号車、7号車、15号車、グリーン車の喫煙ルームは10号車にあります。

 Smoking is not allowed on this train except in the designated smoking rooms located in cars 3, 7, and 15. The smoking room in car number 10 is for passengers in the Green Cars. Please refrain from smoking in the train including areas at either end of the cars.

 

allow(ed) ... 許可する。ここでは受け身の否定文で「許可されていない」

except ... 除く

designated ... 指定の

located ... 位置する、有る

refrain from doing ... ~することを控える、遠慮する

include (including) ... ~を含む

either ... (肯定文)一方の、(否定文)両方の

 

英語放送では「この電車では、3,7,15号車にある喫煙ルームをのぞいて、喫煙は許可されていません。10号車の喫煙ルームはグリーン車のお客様のための設備です。車両端の区画を含めて、車内での喫煙はご遠慮ください」と流しています。下線部は日本語放送では触れられていない部分です。

 

文法ピックアップ eitherと否定文

ここで Please refrain from smoking in the train including areas at either end of the cars. という表現に放送文してみましょう。ここでは "either" という単語が用いられています。

 

ふつう either は「どちらか片方」という意味を表します。受験でも either A or B でAかBどちらか一方という表現が出てきたと思います。否定だと neither A nor B になるみたいなやつです。

本来はどちらか一方を表すeitherですが、否定文になると話が異なり、どちらも両方(がダメ)という意味を表すことになります。したがって、この文章は「各車両の両端にある区画を含めてタバコはダメ!」となるわけです。

 

文法ピックアップ 動名詞

Smoking is not allowed on this train except in the designated smoking rooms located in cars 3, 7, and 15.

 

この放送文、すごくすごいんです。動名詞の名詞的な使い方・形容詞的な使い方が1文に詰まっています。

 

 

Smoking is not allowed on this train

「喫煙行為(喫煙すること)はこの列車では許可されていない」

 

これは名詞的に「~すること」という表現です。これに対し

 

 

in the designated smoking rooms

「指定された喫煙するための部屋(喫煙ルーム)」

 

こちらは形容詞的に使っています。動名詞は基本的に動詞を名詞化する文法ですから、名詞的に使うのが普通ですが、ごくまれに名詞を修飾して目的を表すことがあります。

 

メモ 和製英語問題

カタカナで書かれているからといって、英語で普通に使われている表現かといえば、そうとは限りません。

 

「デッキ」という言葉もその一つ。「デッキ」とは、そもそも船の甲板などを意味する単語であり、列車のドア付近のあの空間を指す単語ではないため、英語で発音そのまま "deck" と言っても通じません。列車の出入り口付近のあの空間は、英語では "vestibule" と言います。

"vestibule" には「玄関」といった意味もあり、英語圏では珍しくない単語ですが、みなさん聴き慣れませんよね。それと同様に、英語アナウンスは非英語圏の方も対象としたアナウンスであるため、このように馴染みがない単語を使用することは避けることが多いです。

 

今回紹介している東海道新幹線の車内放送では、"the end of the cars"「車両の端」と表現されています。

 

 

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 車掌室は8号車です。

 The conductor's room is in car number 8.

 

conductor ... 車掌

 

文法ピックアップ 「~がいる・ある」を表す表現

「○○には~があります」を表す表現として、有名なのは以下の2種類の表現ですよね。

 

1. There is, areを用いる構文

There is the conductor's room in car number 8.

 

2. have, hasを用いる表現

Car 8 has the conductor's room.

 

この2つは高校入試で頻出なので皆さんご存知だと思います。ですがこの2つのほかにも、be動詞の応用として稀に出てくるのが、今回の例文のような形です。

 

3. もの・be動詞・場所の語順

The conductor's room is in car number 8.

 

be動詞にはイコールを表す機能があるので、

「車掌室」=「8号車の中」
→「車掌室は8号車にあります」

という意味を表すことができる、というものです。

 

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 携帯電話はマナーモードに切り替えるなど、周りのお客様のご迷惑とならないように、ご協力をお願いいたします。

 While in the car, we ask that you switch your mobile phones to silent mode.

 

while ... ~の間

ask that S V ... 人に~するよう頼む求める(尋ねるは×)

silent mode ... 「マナーモード」。マナーモードは和製英語

 

while in the car は、 while you are in the car の主語とbe動詞が省略された形です。while や when で「~するときは」と言うときには、こういった主語とbe動詞の省略ができます。

 

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(該当表現は日本語放送には無し)

 You are welcome to put your luggage on the overhead shelf. Please be careful when you lift your luggage as it may fall. If you would like to put your luggage behind the seats at the last row or at the sections near the door, please inform the crew.

 

luggage ... 荷物。不可算名詞

overhead shelf ... 頭上の棚=網棚

lift ... 持ち上げる・おろす(上下に移動させる)

as ... ここでは原因を表すbecauseと同義

would like to do ... want to doの丁寧な表現ととらえる

behind ... 後ろ

row ... 列

section ... 区画

inform ... 知らせる

crew ... 乗務員

 

訳「網棚に荷物を置いてくださるのは大歓迎です。お荷物を持ち運ぶ際には、落下する可能性があるのでご注意ください。もし荷物を最後列の座席の後ろや、出入り口ドア付近の区画(デッキ)に置きたいときには、乗務員にお知らせください」

 

ここで英語放送にしか登場しない放送案内の登場です。大きな荷物の扱いについての案内がなされています。

特に最後列の座席の後ろに~のくだりは、G20開催に伴い警戒警備を強化した際、最後列の座席の後ろに不審物が置かれないよう、警戒警備を強化した折に用意された放送案内であるようです。

 

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 駅および車内への危険物の持ち込みは、禁止されております。不審なものや行為にお気づきの場合は、乗務員または駅係員までお知らせください。

 Hazardous items are prohibited on stations and trains. If you notice any suspicious item or behavior, please notify staff immediately. 

 

hazardous ... 危険な・有害な

prohibit(ed) ...禁止する(されている)

notice ... 気づく

suspicious ... 疑わしい、怪しい、不審な

behavior ... 行為

immediately ... 速やかに

 

ドナさん迫真の PLEASE, notify staff immediately. が癖になるフレーズです。感情も込めて和訳するなら「か・な・ら・ず 速やかにお知らせください」くらいのニュアンスでしょうか。

 

このあたりは日本語放送に忠実で、ほぼ対訳を流しています。

 

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 また、車内で緊急事態が発生した場合は、直接乗務員にお知らせいただくか、客室にある非常停止ボタンでお知らせください。

 In case of emergency, please notify train crew by the SOS button. Thank you.

 

in case of ... ~の場合

emergency ... 緊急

 

日本語放送で流れている「直接乗務員にお知らせいただくか」の部分が、英語放送では割愛されています。緊急時にはとにかくSOSボタンを押せと。車掌を探して、互いにカタコトでしどろもどろに話すよりは、非常通報ボタンを押した方が確かに確実ですものね。合理的な訳です。

 

到着放送1

原文

 まもなく品川です。山手線、京浜東北線、東北・高崎・常磐線東海道線横須賀線総武線と、京浜急行線はお乗り換えです。

 今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました。

 品川をでますと、次は終点、東京です。

 

 Ladies and gentlemen, we will soon make a brief stop at Shinagawa. Passengers going to the Yamanote, Keihin-Tohoku, Tohoku, Takasaki, Joban, Tokaido, Yokosuka, Sobu, and Keihin-Kyuko Lines, please change trains here at Shinagawa.

 We will depart shortly after arriving at Shinagawa, so please be ready to get off before the train stops.

 Thank you.

 

解説

 まもなく品川です。

 Ladies and gentlemen, we will soon make a brief stop at Shinagawa. 

 

brief ... わずかな

 

英語放送がめちゃくちゃ長い。英語放送を直訳すると「みなさま、まもなく品川で少々の停車を設けます」となります。

停車時間がわずかであることを強調するため、arrive at などの簡潔な表現を用いず、わざわざ make a brief stop なんていうまどろっこしい表現を使っているようです。

 

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山手線、京浜東北線、東北・高崎・常磐線東海道線横須賀線総武線と、京浜急行線はお乗り換えです。

Passengers going to the Yamanote, Keihin-Tohoku, Tohoku, Takasaki, Joban, Tokaido, Yokosuka, Sobu, and Keihin-Kyuko Lines, please change trains here at Shinagawa.

 

please change trains here at Shinagawa.「ここ、品川でお乗り換えください」

hereと駅名を併用しているところが面白いですね。

 

昔っからすごく謎に感じている部分が、下線を引っ張った "going" の部分。なぜ乗換で路線に go しているのでしょうか。「山手線、京浜東北線京浜急行線にお越しの方は、品川でお乗り換えください」でも意味は通じるでしょうが、takingとかの方が自然な気はします。

 

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 今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました。

 品川をでますと、次は終点、東京です。

(該当表現は英語放送には無し)

 

なぜ次々停車駅の案内を英語放送ではしないのでしょうね。

 

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(該当表現は日本語放送には無し)

 We will depart shortly after arriving at Shinagawa, so please be ready to get off before the train stops. Thank you.

 

depart ... 出発する

shortly ... すぐに

ready ... 準備

 

訳「品川到着後すぐに出発しますので、列車が止まる前に降りる準備をしておいてください」

 

次々停車駅を流さない代わりに、英語放送では「すぐ出発するよ!」という警告が流れます。

駅に着いてから降りようとしているようでは間に合わないですからね。確かに大切な警告かもしれません。

 

 

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到着放送2

原文

 まもなく新神戸です。お出口は左側です。

 地下鉄線三ノ宮方面はお乗り換えです。地下鉄線をご利用の方は、改札口を出て地下ホームへおいで下さい。

 JR神戸線をご利用のお客様は、黄色の自動改札機をご利用ください。

 電車とホームとの間が少々開いているところがあります。お降りの際は足もとにご注意ください。小さなお子様をお連れのお客様は、手をつないでお降りください。

 新神戸をでますと、次は新大阪に停まります。

 

 Ladies and gentlemen, we will soon make a brief stop at Shin-Kobe. The exit will be on the left side of the train.

 Passengers going to Sannomiya, please change trains here for the subway line.

 We will depart shortly after arriving at Shin-Kobe, so please be ready to get off before the train stops.

 Thank you.

 

解説

 まもなく新神戸です。お出口は左側です。

 Ladies and gentlemen, we will soon make a brief stop at Shin-Kobe. The exit will be on the left side of the train.

 

exit ... 出口

 

訳「みなさま、まもなく新神戸で少しの停車を設けます。出口は左側にあります

 

「出口は左側にあります」。これは「お出口は左側です」を直訳した結果なのでしょうが、あまりいい訳ではありません。

この放送文では "exit" が単数形で、かつ the で案内されているため、駅の「出口」が左側にあると案内している形になり、降りるホームがどちら側にあるかの案内にはなっていないのです。

 

英語圏では出口の方向を表す際、

"Please exit on the left."「左側からお降りください」
"You may exit on the left."「左側から降りられます」

という形で、利用者中心でどう降りられるか、もしくは

"The doors will open on the left."「左側のドアが開きます」

と案内するのが一般です。

 

メモ:車掌の肉声英語放送

「新幹線でカタコトの肉声英語放送が始まった」という記事が少し前に話題になりましたね。あれは主に出口のドアを案内するのが目的の取り組みでしたが、上に挙げたように実は新幹線には、出口を案内するための放送が自動アナウンスに用意されています

 

でも、自動放送での出口の案内はのりばが1つしかない駅でしか流れないのです。どういうことかと言いますと、絶対にどちら側のドアが開くかが決まっている駅では流せるのですが、列車によって左右どちらのドアが開くか変わるような駅では流せないのです。

これは案内放送装置の都合によるものです。新幹線の車内放送は、もともと組み立てられた全列車共通の既定の放送文しか流すことができないため、列車によって内容が変わるような案内は、基本的に自動放送では案内をしないことになっています。

 

で、ほとんどの主要駅は当然ながら、ホームが複数あるので、列車によって開くドアの向きが変わります。なので途中駅では自動放送で出口が案内できるのに、主要駅では自動放送が対応していないといった、不思議な事態が起きているのです。これ、ソフトの改修とかでなんとかできないのでしょうか。

 

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 地下鉄線三ノ宮方面はお乗り換えです。地下鉄線をご利用の方は、改札口を出て地下ホームへおいで下さい。

 JR神戸線をご利用のお客様は、黄色の自動改札機をご利用ください。

 

 Passengers going to Sannomiya, please change trains here for the subway line.

 

訳「三ノ宮へお越しのお客様は、地下鉄線にお乗り換えください」

 

品川着時の放送で触れた going が「三ノ宮へお越しの方は」という形で効果的に使われている例です。

ただそんなことはどうでも良くて、日本語での案内と英語での案内で情報の格差が否めません。日本語での詳細な案内はどこへ行ったのか、英語放送ではJR神戸線への乗り換えすら触れられていません。

 

 

ということで、ここで実戦問題

 

1.放送の雛形は出来るだけ弄らず

2.以下の情報を全て含んでいる

放送文を考えてみましょう。

 

・地下鉄線とJR神戸線が乗り換え路線であること

・三ノ宮方面は地下鉄乗り換えであること

JR神戸線へは黄色の自動改札を通り抜けないといけないこと

・可能なら、JR神戸線は当駅ではなく三ノ宮駅乗り換えであること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放送例

Passengers going to the subway line for Sannomiya or to the JR-Kobe Line, please change trains here at Shin-Kobe.

Passengers changing to the JR Kobe Line should go through the yellow ticket barriers and take a subway train to Sannomiya.

三ノ宮方面の地下鉄線と、JR神戸線へお乗り換えのお客様は、この新神戸でお乗り換えです。

JR神戸線へお乗り換えのお客様は、黄色の改札機を通り抜けて、三ノ宮まで地下鉄の電車をご利用ください。

 

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 電車とホームとの間が少々開いているところがあります。お降りの際は足もとにご注意ください。小さなお子様をお連れのお客様は、手をつないでお降りください。

 新神戸をでますと、次は新大阪に停まります。

(該当表現は英語放送には無し)

 

(該当表現は日本語放送には無し)

 We will depart shortly after arriving at Shin-Kobe, so please be ready to get off before the train stops. Thank you.

 

このあたりは品川駅と同様です。

 

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東海道・山陽新幹線の英語放送は非常にゆっくりと・明瞭に発音されており、リスニング初心者の方には非常に良い勉強教材です。たとえば「リンキング」(音同士がつながる)、「ストップ」(音が消える)といった発音の変化もわかりやすいと思います。

 

ぜひ耳をならせる練習として、旅を楽しみながら勉強してみてはいかがでしょうか。

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