高知駅 自動放送概要(2021, 08時点)

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今年8月に高知駅の自動放送を録音するため、高知を訪れました。その際に気づいたこととかを書き留めておく記事です。

 

高知駅の放送は頻繁に設定が変わることで有名で、この記事に書いてあることから変わっている可能性もありますので、ご理解のうえお読みください。

 

 

接近放送のチャイムは「アンパンマンのマーチ

高知県内、それも高知駅からそう遠くない土佐山田駅から少しバスに乗ったところに、「香美市やなせたかし記念館」、通称アンパンマンミュージアムがあります。

 

高知県は、アンパンマンの作者である故やなせたかし氏が少年時代を過ごしたゆかりの地であることから、アンパンマンをはじめとしたやなせたかし氏の作品を観光要素の一つとしてアピールしています。

 

JR四国土佐くろしお鉄道も、「アンパンマン」をはじめとしたやなせたかし氏の作品を積極的に活用しています。「アンパンマン列車」をはじめとした、やなせたかし氏のキャラクターを用いたラッピング列車を運転しているほか、高知駅は駅全体がアンパンマン一色に染まっていて、接近放送の前にはアンパンマンマーチの一節が流れます。

 

放送について

高知駅には2021年現在、JR四国で唯一の詳細型放送が導入されています。この詳細型放送が曲者なのです。

 

通常、詳細型放送を導入する際は、その路線の特性やダイヤに応じて自前で設計するのがふつうです。では高知駅に導入されている駅放送を聞いてみましょう。

 

 

 

続いて、JR九州の駅放送を聞いてみましょう。

 

 

 

そうなんです。高知駅の駅放送は、JR九州の在来線主要駅に導入されている詳細型放送、通称「JACROS型放送」と呼ばれる放送システムをコピーしているのです。以下に挙げるような若干のカスタマイズはされていますが――

 

・カンノ製作所の2点チャイムから、JR四国でよく聞く2点チャイム×2回に変更(ただし運休の案内などイレギュラーな放送の前には、カンノ製作所の2点チャイムが鳴動)

・女声放送の声優が変更

・列車の入線時にベルが鳴らない。出発時は、ツーマン運転の列車のみ、車掌のボタン操作でベルが鳴る

・自動放送同士が被ったとき、後から流れる放送の方が優先される内容の場合には、再生中の放送を途中でカットすることができる(JACROS放送は途中でカットせず、再生中の放送を最後まで流し切ってから次の放送に移る)

 

――基本的な設計は全く同じです。放送が流れる順序も、放送文も、瓜二つ。しかも、男声放送では「普通列車」「ご乗車ありがとうございました」など、一部音声パーツが本家JACROS放送とまったく同じ音声パーツを使っていることも、わかっています。

 

なぜ高知駅だけが詳細型放送なのか、なぜ他社の放送システムを完全にコピーした放送が導入されたのか。設定も、存在も謎ばかりの放送になっています。

 

放送鳴動のタイミング

列車ごとに放送の流れるタイミングや内容が細かくカスタマイズされているようで、安定しません。以下に記したものはあくまで目安と思ってください。

 

予告放送

普通列車と特急「あしずり」は出発時刻の15分前、特急「南風」、「しまんと」は20分前から5分間隔で放送します。

 

普通列車で出発10分前から放送開始となる列車や、特急「南風」で15分前から放送する列車も確認しました。

・当駅で折り返し長時間止まる列車では、停車中でも接近予告放送と同じ文面の放送が入ることがあります。

・特に、接近放送で「この列車にはご乗車できません」と流す場合(接近放送の項で後述)には、高確率で停車中に予告放送と同じ内容の放送が入ります。

・停車中に入線予告放送が流れる場合には、基本的に特急は出発10分前、普通列車では5分前から停車中放送に移行します。

入線予告放送 到着約3分前。朝方の列車を中心に流れない場合があります

 

接近放送

列車入線時。駅すぐ東側・西側にある留置線から入線する列車では、簡易接近放送(「列車が到着します」ではなく「列車が入ります」と放送)が流れます。高知運転所から回送されてくる列車の場合には当駅始発と同じ放送が流れます。

 

当駅止まりの列車の放送は2種類あります。

高知駅到着後、駅の東西にある留置線に引き上げる場合→「この列車にはご乗車になれません」

高知駅到着後、2駅先の高知運転所まで引き上げる場合→「この列車は回送列車となりますので、ご乗車できません」

 

また、当駅で折り返し運転を行う際、車内清掃のためドアを閉める「南風」「しまんと」や、当駅で切り離しがある場合には、「この列車にはご乗車になれません」と流して折り返しの列車を案内しないことがあります。

 

到着放送

列車到着時に実施。この放送が特に、頻繁に設定が変わるようです。

 

設定によって、到着放送で駅名連呼+乗り換え案内+列車案内が流れるか、停車中放送と同じ内容が流れるかが変わります。

また、高知駅の駅名連呼は2種類あり、特急「南風」到着時に限り、語尾を伸ばす駅名連呼(以下、「長音」と区別)が流れることがあるようです。今回、短音の駅名連呼は録音できましたが、長音の駅名連呼は確認できませんでした。

 

 

▲短音の駅名連呼

 

 

▲長音の駅名連呼(録音できた方より音声をお借りしました)

 

停車中放送・出発予告放送

普通列車では出発15分前から5分間隔、5分を切ると1分ごとに放送を実施、特急では出発20 or 15分前から5分間隔および出発1分前に放送を実施します。

動画では、出発1分前に流れる停車中放送を、出発予告放送として区別しました。

 

ただし、当駅折り返しの普通列車や夕方の上り特急を中心に、放送の周期がずれる例が多数存在します。

 

停車中放送には、停車駅案内が付帯する放送と付帯しない放送の2種類があります。特急の停車駅案内は、出発20分前から5分周期で流れる放送にのみ付帯し、出発1分前の出発予告放送には付帯しません。

普通列車(快速含む)の通過駅案内は、すべての停車中放送および出発予告放送に付帯します。ただし、05:41発の新改のみ通過する普通列車では、接近放送にのみ通過駅案内が付帯し、停車中放送では通過駅案内が流れません。

 

出発放送

出発時刻数秒前に自動で放送が流れます。車掌の操作によりベルが扱われることがあります。ベルがかぶると放送の音量が極小になるため、ほとんどの車掌さんはベルのタイミングを見計らい、出発放送には被らないようにベルを扱ってくださいます。

 

運休告知

出発時刻の20, 15, 10, 5, 2分前に流れることを確認しました。

 

行先変更告知

出発時刻の20 or 18分前のどちらかに1回目の放送、それ以降は不規則(一度しか流れない場合もあり)

 

日替わり設定

噂では、放送の設定(駅名連呼の有無や、車両設備の案内の有無)が日替わりレベルでコロコロ変えられるようです。2日しか録音していないので詳細は分かりかねますが、その2日でも放送の設定が全然違いました。特に1日目は列車到着時の駅名連呼が全列車の到着時に確認できましたが、2日目は1本も流れた列車はありませんでした。

 

その他特記事項

当駅で連結を行う場合や、途中駅切り離しの案内には対応していますが、当駅での切り離しには案内が対応していないようです。07:43発伊野行き、08:30発快速奈半利行きで確認。08:30発の奈半利行きでは、到着時は「回送」と案内されていました。ただこれも放送の設定次第では正しい案内が流れるのかも…?

 

行き先変更が行われた場合、列車の行き先は変更後の行先に準じますが、停車駅案内や号車ごとの車内設備の案内時には、変更前の行先が流れることがあります。この不具合は、本家JACROS放送でも認められるとのことです。

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