この記事では、南海天下茶屋駅の自動放送についてまとめています。
流れる放送
接近放送
そもそも南海電鉄は、関西私鉄では群を抜いて駅自動放送に消極的な鉄道会社です。基本的には列車入線時の放送しか流れません。
その列車入線時の放送も必要最低限の内容です。種別・行き先・次の停車駅と、指定席を連結している列車ではその旨の案内しか、ふつう流しません。
天下茶屋駅で流れる自動放送ももちろん列車入線時の放送だけです。
では、南海の駅放送の魅力は何でしょうか。
私はこれまで長いこと、南海の駅放送はほんとうに特色がないと思っていました。「強いて言うならば」、関西空港へのアクセスを担っていることから、関西私鉄で最も早く駅の英語放送が導入された程度の認識で。
今回、天下茶屋駅の放送を漁ってみてようやく南海の駅放送の魅力に気付きました。
先に触れたように、南海の駅放送は種別・行き先・次の停車駅・指定席を連結している列車ではその旨の案内、この4点しかふつう流しません。
でも南海はこの「ふつう」を軽々しく破ってきます。
「南海線の普通車は2駅通過するから、高野線の電車に乗るように案内を流そう」
「泉北ライナーは堺東に停まらないからちゃんと警告しておこう」
みたいな、他社だと停車駅案内を流してそれで満足してしまいそうな“痒い所に手が届く”案内が、非常に多彩に取り揃えられているのです。
次項では、基本的な放送文に続けて、特定の列車でしか流れない放送文についても取り上げていきます。
放送文面
接近放送
みなさま、まもなく◯番のりばに電車が到着します。
危険ですから、黄色の点字タイルまでお下がりください。
(数秒置いて、次の放送)
ただいま到着の電車は、(種別)(行き先)行きです。
次は(駅名)に停まります。
The train now arriving is the(種別)train bound for(行き先).
The next stop is(駅名).
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接近放送は2段階に分かれて流れます。
だいたいホーム直前の場内信号を通り過ぎた頃に電車が接近している案内が、ホームに差し掛かると種別・行き先等の詳細な案内が流れます。
かなりぎりぎりまで粘って放送を流すので、列車が完全に止まって扉を開けてもまだ放送が流れていることがあります。
ホームには列車を感知するセンサーが設置されています。入線状況はそれで監視しているようです。
先着案内
堺には、この電車が先に到着します。
To SAKAI, this train will arrive first.
堺には、あとの(種別)が先に到着します。
To SAKAI, the later(種別)train will arrive first.
堺東には、あとの(種別)が先に到着します。
To SAKAIHIGASHI, the later(種別)train will arrive first.
先着案内は
・南海線の普通車が堺に先着する場合
・南海線の普通車が、堺までに区急・急行・空港急行に追い越される場合
・高野線の各駅停車が、堺東までに準急・区急・急行・快急に追い越される場合
に流れます。高野線の各駅停車が堺東に先着する場合には、先着案内は流れません。また南海線・高野線ともに、特急に追い越される場合には先着案内は流れません。
2本以上退避する場合、追い越す列車のうち、より早く堺・堺東に着く列車を先着列車として案内します。
指定席車両に関する案内
この電車は、全車両座席指定です。乗車券のほかに特急券が必要です。
Passengers must have a limited express ticket in addition to a train ticket.
「ラピート」「こうや」「りんかん」「泉北ライナー」で流れます。
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この電車の前4両は座席指定です。座席指定車には、乗車券のほかに座席指定券が必要です。
For a reserved seat, passengers must have a reserved seat ticket in addition to a train ticket.
(訳:指定席には、乗車券のほかに座席指定券が必要です)
この電車の後ろ4両は座席指定です。座席指定車には、乗車券のほかに座席指定券が必要です。
Passengers with reserved seat tickets, please board the last 4 cars.
(訳:座席指定券をお持ちのお客様は後ろ4両にご乗車ください)
「サザン」は和歌山方4両が座席指定車のため、上下列車で案内が違います。英語放送は完全に別物です。
泉北ライナー限定の停車駅案内と、誤乗防止の案内
泉北高速線の各駅には停まりませんので、ご注意ください。
下り「こうや」「りんかん」接近時に流れます。
停車駅は、泉北高速線泉ヶ丘から、和泉中央までの各駅です。
堺東と、橋本・高野山方面の各駅には停まりませんので、ご注意ください。
下り「泉北ライナー」接近時に流れます。
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下りの特急接近時には、それぞれ誤乗防止のために停まらない駅の案内が流れます。全車指定の列車なうえ、当駅を出ると両列車間を乗り換えできる駅がないため、かなり慎重に案内を流しているようです。
また下りの泉北ライナー限定で和泉中央まですべての停車駅を案内します。泉北ライナーは、泉北高速線への帰宅客を輸送するためだけに運転されている列車であり、停車駅をかなり絞っているため特別な案内が用意されているようです。
上り南海線の通過駅の案内
萩之茶屋・今宮戎へお越しの方は、2番のりばでお待ちください。
Passengers going to HAGINOCHAYA and IMAMIYAEBISU, please wait at platform number 2.
南海線の上り普通車は萩之茶屋・今宮戎の2駅を通過するため、高野線の電車に乗車するよう促す案内が入ります。
ただし、なぜかこの案内は普通車だけでなく、4番のりばから発車する特急以外のすべての電車に付帯します。
放送収録の注意点
・スピーカーがかなり高所にあるため、ホームでの収録はかなり不向きです。待合室内のスピーカーを有効活用しましょう。
・堺筋線との乗り換え駅であるため、利用者数はかなり多いです。
・朝7〜8時、夕方17:30〜、終電間際の時間帯には、ホームに立番の駅員さんが配置されます。自動放送があまりにも頼りないため、駅員さんによっては肉声放送で自動放送を完全に消します。
・また自動放送は、放送中に肉声放送が被ってしまった場合、そこで再生が中止されて以降の音声が全カットされます。立番の駅員さんが確定で配置されている駅では、録音はかなり不向きです。
・つまり、天下茶屋駅は放送収録にはかなり向いていない駅でした。この駅限定の案内を回収する程度で、最低限の収録に絞り、種別や行き先等の組み合わせは他駅で狙った方が確実に効率よく録音できます。