大阪環状線では2019年のダイヤ改正より、大阪環状線をぐるぐる回る周回電車の行き先の案内を変更しました。
変更されるまで、駅の放送では
このような案内がなされていました。なんと外回りは新今宮→福島間の全駅で「大阪方面行き」としか言わなかったのです。
環状線の東側(天王寺~鶴橋~京橋~大阪)では細かく「方面」として案内する駅名が区分されているのに対して比較すると雑であるという印象が拭えません。
このように区間によって力の入れ方にばらつきがある点を改善するため、満を持して「方面」の案内の変更が行われました。
これまでの反省を生かして変更した結果がこちらです。
天王寺、鶴橋、京橋、大阪、西九条、新今宮のみを方面として案内する駅として定め、その駅から一番近い2駅のみを機械的に選ぶよう変更がなされました。
たとえば天王寺を基準に考えてみますと、内回りで最も近い2駅は鶴橋と京橋なので「鶴橋・京橋方面」、外回りでは新今宮と西九条なので「新今宮・西九条方面」といった塩梅です。
大阪環状線は大阪⇔天王寺間の輸送が最も需要として大きいのに対し、それをまったく考慮していない駅名選択に少なからず批判の声が上がりました。
おそらくJR西日本は「大阪環状線が大阪と天王寺を結んでいることなんて自明なのだから、そこは考慮せず経由地を案内できればいい」と考えたのでしょう。実際に「天王寺と書いていないから迷ってしまった」という声はあまり見られません。結果としてはそれほど大きな問題ではなかったというわけです。
それよりも、この新しい方面案内はもっと大きい問題を孕んでいるのですが、
それはさておき。
今回はこの「方面」の案内をすべて記録すべく録音に行ってまいりました。
録音に際し駅を選定した条件は…
1.英語放送が流れる駅
英語放送を流さない駅で録音することほど退屈なものはありません。今回はすべての放送を英語放送が設定されている駅で録音しました。
2.到着放送で列車案内が流れるか
「鶴橋、鶴橋です。お忘れ物の無いようにご注意ください」ではなく、
「鶴橋、鶴橋です。2番のりばに到着の電車は、普通・大阪行きです」のように、到着放送時に種別と行き先が放送される駅を優先しました。
3.利用者やホーム構造を考慮して録音しやすいかどうか
上記の条件を満たしていてもホーム屋根が高くて極端に収録が難しかったり、利用者が多く収録に向かない駅は避けて録音を行いました。
極力良い状態で録音できるように努めましたが、制約が多い分綺麗に録音するのは至難の業で、お聞き苦しい放送もあるかと思います。
それではお聞きくださいませ。
内回り→外回りの順に、それぞれ天王寺を起点にぐるっと回り天王寺へ戻ってくるルートでご紹介しています。
男女声両方を収録できる
・内回り「鶴橋・京橋方面」(天王寺駅11, 12番のりば)
・外回り「西九条・大阪方面」(同上)
では両方の放送を英語放送ありで収録しています。
「新今宮方面」の怪
少しふれておきたいのが「新今宮方面」という放送について。
内回りでは大阪~野田間の「西九条、新今宮方面行き」、外回りでは鶴橋~寺田町間の「天王寺、新今宮方面行き」で聞くことができるこの案内ですが、
何か違和感がありませんか?
まもなく 1番のりばに
xx時 xx分発、
普通、
西九条、
新今宮↑ほぉ↓ーめん行きが、
8両で まいります。
言葉にできない違和感を感じると思います。
先ほどの変更前の方面案内の一覧表をご覧ください。
旧放送では、「新今宮」は天王寺の特殊な例を除いて方面の案内として用いられる駅ではありませんでした。方面として案内する予定もなかったのでしょう、「新今宮方面」という音声パーツは存在しないのです。
案内の変更によって「新今宮方面」が必要になってしまったため、新しく音声を用意…してくれればよかったのですが、手間を惜しんで既存の音声パーツの切り継ぎで対応されてしまっているのです。
「天王寺方面行き」の「/ 方面行き」とつなげて
無理やり「新今宮 / 方面行き」を作っているため、語尾(「~行きが」、「~行きは」)によって非常に違和感が生じる放送が生まれてしまっています。
このあたりはぜひこだわってほしかったと思います。いろいろと「惜しい」方面の案内放送ですね。