鉄道界には様々な代名詞が存在します。
「速い」といえば新幹線新快速、
「高い」といえば東葉高速鉄道、
「カオス」といえば名鉄名古屋駅。
「突発的な運転変更」
まさにこれでしょう。
「遅延」の代名詞に輝く阪和線を経由するだけあり、事あるごとに行き先変更や運転取りやめが行われます。
今回はこれまで関空/紀州路快速が行ってきた普通のダイヤでは見られない運転方法をまとめてご紹介いたします。
- 環状線周回運転(天王寺どまり)
- 環状線東側区間のシャトル運転
- 鳳止まり
- 日根野止まり
- 関西空港行き
- 和歌山行き
- りんくうタウン/和歌山方面行き
- 関西空港/和泉砂川行き
- 番外編1 環状線一周ツアー
- 番外編2 12両編成になっちゃった関空/紀州路快速
環状線周回運転(天王寺どまり)
▲内回り周回運転の設定となった関空/紀州路快速。玉造駅にて。
▲外回り周回運転の設定となった関空/紀州路快速。天王寺駅にて。
最も多い行き先変更
阪和線が運転見合わせとなった場合や、天王寺駅構内の連絡線が何らかの原因で通れなくなった場合に見ることができます。
阪和線へ直通するはずだった電車を途中の駅で止めておくことができないため、天王寺から再び環状線へ逃がすことで、環状線を止めないようにする運転方法です。
環状線東側区間のシャトル運転
発生条件不明の折り返し運転
設定条件は不明ですが、周回運転に変更されるのと同様の条件でも東側区間(天王寺~鶴橋~京橋~大阪)のみの折り返し運転になることがあります。
ラッシュ時間以外の見合わせ時によく見るイメージがあります。
快速列車そのものの運転を見合わせても十分な輸送力が確保されている場合、もしくは環状線をぐるぐる回らせる十分な編成数が確保できない場合に設定されるのでしょうか、それともその日の指令の気分次第でしょうか。
「快速」を名乗りながら通過駅が一駅もないという珍設定です。
鳳止まり
条件がシビアな突発行き先変更
和泉府中~日根野間で運転を見合わせた場合に運転されることがあります。関空にも紀州路にも行かないという名前だけの快速列車です。
日根野止まり
意外によく見る行き先変更
と聞くとどれだけの大事だと錯覚しそうなものですが、山間部を走る日根野~和歌山間は雨に弱いため、台風などが来ると割とすぐ条件を満たします。
それ以外にも大幅にダイヤが乱れた際、余っている車両を車庫に戻すために設定されることがあります。
関西空港行き
消えた「紀州」
「いやもうそれは関空快速やん」
そうなんです。つまりは関空快速なんです。
日根野~和歌山間は運転見合わせになったけど関西空港線は運転中、という場合に運転されることがあります。
またダイヤがそれほど乱れていない場面でも、上りで来るときに日根野で運悪く連結が出来ず4両で運転されているような場合には、関空行きか和歌山行きのどちらかに割り振られるため、1/2の確立で関空/紀州路快速の関西空港行きが誕生します。
元々の種別が「関空/紀州路快速」だったからそのままの種別で運転されているだけであって、単体の関空快速と何ら変わりません。
何なら全編成が関空に行くので、紀州路快速のかけらは全く残っていません。
和歌山行き
消えた「関空」
「いやもうそれは紀州路快速やん」
関西空港行きになることもあれば、和歌山行きになる場合もあります。こちらは上りで天王寺へ行くときに、日根野で連結相手が居らず仕方なく4両で運転した結果、紀州路快速とそん色ない列車になってしまったものです。
りんくうタウン/和歌山方面行き
関空連絡橋がピンポイントで通れないときに設定
関空連絡橋が強風で運転見合わせとなった場合に設定されることがある突発行き先変更です。関空連絡橋が通れないような悪天候となると大概日根野~和歌山間もお亡くなりになることが多いので発生する確率は低いですが、2年に1回ほど設定されます。
その他に設定された例では、2018年に発生した関空連絡橋へのタンカー衝突による橋げた損傷などが当てはまります。
2018年9月、大型で非常に勢力が強い台風21号が関西を直撃しました。
洋上で立ち往生していたタンカーが関空連絡橋に衝突し、連絡橋が通れない状態に。りんくうタウン〜関西空港間が長期間不通となったためりんくうタウンまでの関空快速が多数設定されました。
環状線の発車標では「りんくうタウン/和歌山」行き、「りんくうタウン/御坊」行きなどの表示が当初用意されておらず、最初の数日間は行き先欄が無表示となっていました。
運転見合わせが長期化するのは自明だったこともあって、すぐに表示が用意され、行き先が表示されるようになったという小話もあります。
関西空港/和泉砂川行き
雨量規制で頻発
雨量規制により和泉砂川〜和歌山間のみが運転見合わせとなった際に運転されます。
以前は規模が小さい台風が接近したり、台風の余波を受けた大雨の影響でしか発生しない行き先でしたが、ここ数年はゲリラ豪雨などの異常気象により台風が接近していなくても条件を満たすことがあります。
番外編1 環状線一周ツアー
変な案内は数多くあれど、これに敵う変な案内はなかなかありません。天王寺駅で「天王寺行きは天王寺まで停まらない」と流れるなんとも理解し難い状況です。
阪和線ホームで折り返しにしたはずの電車が消えずに残ってしまって、システムがそれを誤認してこのような珍事が発生してしまったようです。
番外編2 12両編成になっちゃった関空/紀州路快速
……嘘です。最大でも9両までの電車しか走らない路線で12両なんて冗談のようでしょう。
阪和線旧システムはこう言ってのけたです。
運転変更を行う際に日根野での連結/切り離しを変にいじると、12両編成の関空/紀州路快速がシステム上に生まれてしまうようです。
もちろん電車は最大でも8両で運転されるわけですが一瞬「えっ?!」と考えてしまいますね。
12両の関空/紀州路快速はかなりのレアケースでめったに聞けません。把握している事例の中で最後に発生したものでも昨年の9月まで遡ります。
このケースでは「8両でまいります」と流してはいるものの、そのあとに続く放送をよく聞いてみると
前4両は日根野行き、
中ほど4両は和歌山行き、
後ろ4両は日根野行きです。
と見事に12両の設定になってしまっています。
===============================
いろいろな行き先に変えられる不運な列車の迷走劇の一端をご覧いただきました。
このほかに「関空・和歌山発の関空/紀州路快速 熊取行き」なども設定された前例がありますが、記録できていないため割愛させていただきました。
みなさんの好きな突発行き先はありましたでしょうか。個人的には「りんくうタウン」関連の変更が非常に好きです。