SUNTRAS型放送の先着案内は時々、意味不明な案内をすることがあります。例えばこんな感じです。
「草津・野洲・米原には1番のりばにまいります、後の新快速が先に着きます。近江八幡にはこの電車が先に着きます」
近江八幡は野洲と米原の間にある駅です。野洲まで新快速が先に着くのに、近江八幡には普通が先着するというのはいささか不思議な話です。
「高槻・大津・草津にはこの電車が先に着きます。京都にはあとの新快速が先に着きます」
この放送で勘が良い方はお気づきでしょうか。絡んでくるのは湖西線経由や途中駅止まりの新快速です。
快速・新快速ともに素直に米原まで行ってくれる場合を考えましょう。
この場合、快速は高槻から各駅に停まっている間に、京都の手前で後の新快速に抜かれます。追い抜いた新快速は京都から先、米原まで順調に先着し続けるわけです。
ところが後の新快速が野洲もしくは草津止まりとなる場合や、湖西線経由だった場合、
いったん追い越されたとしても新快速が手前の駅で運転を終えるため、その先の区間に快速が先着する駅が出てきます。
こうなるとSUNTRAS型放送は2つ目の例のように「高槻・大津・草津にはこの電車が先に着きます。京都にはあとの新快速が先に着きます」という間を飛ばして前後の区間に先着すると案内する放送が流れるわけです。優秀ですね。
でも、問題はここからです。
快速が米原まで先についてくれればいいのですが、ここでもう1本あとの新快速に抜かれる場合があります。
SUNTRAS型放送の先着案内では行き先を流さないため、このような場合に1つ目の例で示した
「草津・野洲・米原には1番のりばにまいります、後の新快速が先に着きます。近江八幡にはこの電車が先に着きます」
という意味不明な放送が流れてしまうのです。
「草津・野洲には、1番のりばにまいります、後の新快速・野洲行きが先に着きます。近江八幡にはこの電車が先に着きます。米原には、1番のりばにまいります、後の新快速・米原行きが先に着きます」
少し長くなってもこう流してくれればいいのですがなかなか上手くいきません。
さて、こういったわかりづらい放送が流れてしまいかねないダイヤになっても、奇跡的にわかりやすい先着案内が流れる列車が存在します。
「高槻にはこの電車が先に着きます。京都・大津・草津にはあとの新快速が先に着きます。米原には、9番のりばにまいります、後の新快速が先に着きます」
この後に続く新快速は「16:45発 新快速・野洲行き」と「17時ちょうど発 新快速・長浜行き」。ふつうであれば
「京都・大津・草津・米原にはあとの新快速が先に着きます(まあ米原へ行くのは2本目やけどね)」
と含みのある放送になるわけです。
しかし平日の17時以降に大阪駅を出発する新快速は9・10番のりばからの出発となるため、先着案内が「あとの新快速」ではなく「9番のりばにまいります、あとの新快速」に変わります。このため奇跡的に分かりやすい先着案内を書くことができるのです。
・あとから来る新快速が途中駅止まりで、
・そのあとに続く新快速が別のりばからの発車となる
この条件を満たす列車は大阪駅発ではこれしか該当しないはずです。
なお休日ダイヤでも同列車は運転されていますが、休日の新快速は終日8番のりばから出発するため、このような放送になるのは平日限定です。
にしても本当にレアな先着案内放送ですね。フォロワーさんから教えていただくまで気づきもしませんでした。
こういう隠しネタ的なレア放送の情報、お待ちしております。コロナが落ち着いたら喜んでいきます。