近鉄から「鮮魚列車」が消え、快速急行への貸切車両連結による貨客混載輸送が始まって少しの年月が経過しました。
貸切車両は、平日朝の名張行き急行→大阪上本町行き快速急行に化ける列車、折り返し大阪上本町発松阪行き快速急行のそれぞれ伊勢方1両が鮮魚積み込み専用車両となるものです。
快速急行への貸切車両連結に際し、近鉄は車内の自動放送と、快速急行が停車する各駅に先頭車・最後部車両が貸切車両である旨の案内を用意しました。
また、車両点検等で高安まで回送する際に、同車両を高安行き準急へ充当する可能性を考慮して、上本町→八尾間の準急停車駅にも専用の案内を用意することになりました。
近鉄はすでに津田英治氏の起用を取りやめていたため、新たな案内音声が用意できないことから、すべての快速急行停車駅と上本町→八尾間の準急停車駅で放送更新が行われました。
前回のダイヤ改正前に大阪線で放送更新が相次いだのは、快速急行の貸切車両が原因だったわけです。
こうして用意された放送がこちら。
「この電車の一番前の車両は、貸切です。一般のお客様はご乗車にならないようお願いします」
また、貸切車両連結の快速急行と言えば、このような名物放送もありました。
2番のりばに、松阪行き快速急行が10両編成でまいります。危険ですから、黄色い線までお下がりください。
この電車の一番前の車両は、貸切です。一般のお客様はご乗車にならないようお願いします。
途中の停車駅は、五位堂・大和高田・大和八木・桜井・榛原・室生口大野・赤目口・名張・桔梗が丘・美旗・伊賀神戸・青山町・榊原温泉口・伊勢中川です。
この電車は、名張で後ろ4両を切り離します。先へお越しのお客様は、前6両にご乗車ください。
伊賀神戸へは後の特急が先に到着します。なお、特急には乗車券のほかに特急券が必要です。
伊勢中川で、名古屋行き急行に連絡します。
下り松阪行きの快速急行では、貸切である旨の案内、停車駅、切り離し、伊賀神戸駅への先着案内、伊勢中川駅での連絡案内をぜんぶ流すという驚異的な放送の長さと情報量で、聞く者を圧倒する長い放送が魅力でした。長年近鉄の放送を録り続けてきた私でもこれほど雑案内が付帯した放送は聴いたことがありません。
ところが、この放送には多くの鉄道ファンから疑問が投げかけられていました。それは放送の長さではなく、
「前6両」でいいの?
松阪行き快速急行が10両編成でまいります。
快速急行は10両編成ですが、
この電車の一番前の車両は、貸切です。一般のお客様はご乗車にならないようお願いします。
先頭車は貸切で乗車できません。それゆえ、
この電車は、名張で後ろ4両を切り離します。先へお越しのお客様は、前6両にご乗車ください。
切り離しの案内で「前の6両」に乗るように案内するのは、はたして適切なのか、という指摘です。
私自身は特に問題視していませんでしたが、これについては動画の投稿当初より、コメント等で同様の指摘が多く届いていました。
「前6両は松阪行き、後ろ4両は名張行きです」という案内なら、事実を伝えているだけなので問題なかったんですけどね。前、後ろの何両に乗れと具体的に乗車すべき車両を指している点は、多くの方の違和感センサーに引っかかったようです。
で、この放送は近鉄内部でも問題となってしまったらしく、放送文言が一部変更されることになりました。
更新後の放送がこちら。
3番のりばの電車は、松阪行き快速急行です。
途中の停車駅は、鶴橋・五位堂・大和高田・大和八木・桜井・榛原・室生口大野・赤目口・名張・桔梗が丘・美旗・伊賀神戸・青山町・榊原温泉口・伊勢中川です。
この電車は、名張で後ろ4両を切り離します。
後半をカットすることで、無理くり対応するというものでした。確かにこれが妥当な落とし所でしょうか。この列車だけのために放送を大幅に変更するわけにもいきませんしね。
車内放送は自動放送で切り離しの案内を流さないことで対応したようで、何度かこの列車の放送を狙いましたが、自動放送で名張解放の案内が流れた列車はありませんでした。代わりに肉声で駅自動放送と同様に「この電車は名張で後ろ4両を切り離します」のみ案内します。
鶴橋駅の放送もどのようになったのか要調査ですね。機会があれば別に紹介します。