急きょのりばが変更。自動放送はどう動く?
SUNTRAS型放送の芸の細かさは群を抜いています。その中でも、他社の放送システムは決して真似しないだろうという案内が「変更案内」です。
ダイヤが乱れた際、通常のダイヤに戻すため急遽行き先を変更したり、途中駅に臨時停車させたり、普段と両数が変わったり…というのは往々にして起こりうる自体です。
そういった変更が生じた場合には駅員の肉声放送で補うのがふつうですが、SUNTRAS型放送はふつうではないので、自動放送で変更された旨の案内を流すことができます。
SUNTRAS型放送が案内できる運転変更
案内できる変更は次の通りです。
1. 行き先変更
▲快速・御着行き。
変更が生じた場合、自動で流れます。
2. 両数変更
▲普通・笠岡行き。行き先と両数を同時に変更しています。
変更が生じた場合に自動で流れます。
3. のりば変更
変更が生じた場合に自動で流れます。
4. 停車駅の変更(臨時停車、臨時通過など)
▲途中駅に臨時停車する場合(敦賀に臨時停車)
▲当駅に臨時停車する場合
変更が生じた場合に自動で流れます。
「本日は琵琶湖線経由で運転しております」という案内を付帯させることができます。
経路変更の案内については駅で設定しないと流れないため、流れる駅と流れない駅があります。2019年現在で確認できているのは米原駅のみです。
6.臨時運転
種別が「臨時」の列車でのみ流れる案内です。
「臨時列車~を臨時に運転をいたします」というちょっとおかしい日本語が特徴。
このように多種多様な運転変更に対応しています。
大幅な遅れの時には自動放送が暴れだすので過信できませんが、平常時であれば駅員が一言もしゃべらなくても事足りる設計となっています。
変更案内はいくつまで重ねられる?
先程、両数変更の例で行き先変更と両数変更が重複している例をご紹介しました。
では大幅にダイヤ乱れが発生し運転変更が重なった場合、はたしていくつまでカバーすることができるのか気になりませんか?
と言うわけでこちらの動画をお聞きください。
大幅な遅れが重なり運用変更に経路変更を重ねた例をご紹介します。
北陸を爆弾低気圧が襲ったこの日、北陸本線の福井以東が終日運転見合わせとなり、サンダーバード号もその影響を受けました。
最終のサンダーバード45号は
・行き先を福井止まりに
・両数を12両から9両に
・湖西線から琵琶湖線まわりで迂回運転をしたため堅田と近江今津を臨時通過
・41号、43号が運休となったため、救済として本来止まらない武生、鯖江に臨時停車
変更に変更を重ねましたが、なんとSUNTRAS型放送はすべて案内して見せました。
どうやらSUNTRAS型放送は変更された事項すべてを流すことができるようになっているようです。夢が膨らみますね。
行き先はどこまで対応している?
前項では変更が生じた場合に、何を案内できるのかについて触れました。今度は行き先変更について掘り下げてみましょう。
大幅な遅れが発生したときには、急遽行き先の変更が行われることがあります。突然、定期運転がない駅が終点となった場合、放送はどうなるのでしょうか。これまでSUNTRAS型放送が流してきた定期列車の行き先として存在しない駅行きの列車の放送を、少しだけ振り返ってみましょう。
▲JR奈良線 新田行き
▲JR神戸線 灘(なだ)行き
▲快速 JR難波行き(阪和線 鳳始発)
なんとまあ多種多様な行き先が流れていることでしょう。
通常存在しない経路であっても行き先が用意されていますし、奈良線 新田駅のようなそもそも折り返しを想定していない駅止まりの場合でも自動放送は対応しています。もはや流せない駅の方が少ないのではないかと考えてしまうほどです。
実はSUNTRAS型放送は、そのシステムが管轄している範囲と接続路線のすべての駅名、およびその路線から直通する列車がある路線のすべての主要駅名を網羅しているといわれています。
つまりアーバンネットワーク圏内の駅名はほぼすべて収録しており、それに加えて北は北海道 札幌駅から南は鹿児島県 南鹿児島駅(現 鹿児島中央駅)まで、現在も走っている特急の停車駅はもちろん、かつて寝台特急が通った経路の主要駅はすべて行き先として設定できるのです。
▲特急ひだ 下呂止まり
▲サンライズ瀬戸・出雲号 品川止まり
なので、一日一本の大阪ひだの途中駅に過ぎない岐阜県は下呂駅でも、サンライズの通過駅である東京都内 品川駅でも、行き先として案内することができます。
これまで7年近く録音してきた中で、SUNTRAS型放送が流せなかった行先は伯備線 豪渓(ごうけい)行きしか確認できていません。恐るべし、SUNTRAS型放送。