イギリスの案内サインから学ぶ、明日使えるかもしれない英語表現シリーズ。第1作は、ホーム上や駅構内でどっちへ行け、どこで待て、あの通路を通れと案内する表現を、ロンドン市内の駅で見た構内の案内サインから学んでいきましょう。
注意点
イギリスで見聞きする生の英語を取ってきたものなので、紹介している表現や例はすべてイギリス英語です。従って、紹介している表現がすべての英語圏で通用する(もしくは自然と思われる)とは限りませんが、自然な英語に踏み出す第一歩の参考資料としては、十二分に機能すると思います。
なお、特にイギリス英語でしか聞かない表現や単語、イギリス英語とアメリカ英語で意味やスペルが違う表現や単語については、分かる範囲で注釈を振っています。
設備の位置を示す
「○○(位置)にあります」
▶A located 位置
Bの後ろにあるA
Smoking room is located behind the kiosk.
喫煙ルームは売店の後ろにあります。
at ~に
by / near ~付近に
behind ~の後ろに
on ~上に
===========================
Waiting room
待合室
Located behind stairs at far end of platform
ホームの奥にある階段の後ろ側にあります
far「遠方の」+end「端」→far end「奥の端の方」
単に「階段の後ろ」と言いたい場合には、'located behind stairs'のみでO.K.
「反対側のホーム終端にあります」
▶️(is located) at the other end of the platform
もう一方のホームの終わりに位置しています
=========================
Exit at the other end of platform.
出口はもう一方のホーム端にあります。
省略せず書くと「The exit is located at the other end of the platform.」
「後方へお進みください」
▶Turn back for A
AへはここでUターンしてください
===========================
Way out (via stairs)
階段で出口へ
Turn back for lift
エレベーターへは後方に進んでください
lift「エレベーター」 *イギリス英語
「真後ろにある階段をご利用ください」
▶A behind you
真後ろにあるA
Use the stairs behind you.
真後ろにある階段をご利用ください。
===========================
注釈 3・4番のりばのホーム上で撮影した画像です。
Lift is available from platform 1.
エレベーターは1番のりばにございます。
Step free access route is via the subway behind you.
段差なしの移動経路は、お客様の真後ろにある地下道です。
Step free access route「バリアフリー経路」。車いすでも通れるようスロープなどが整備された通路のこと。
subway「地下道」 *イギリス英語。アメリカ英語で地下道は'underpass'。
「この先にお手洗いはありません」
▶There is no access to A beyond this point.
ここを超えるとAへはたどり着けません。
There is no access to station exit beyond this point.
これより先に駅出口への通路はありません。
===========================
(there is) No access to toilets beyond this point.
この場所を超えるとトイレにはたどり着けません
toilet(s)「トイレ」 *イギリス英語。アメリカ英語では、toiletは便器を指すので、お手洗いはrestroomなどの単語で表現するのがふつう
「女性用トイレは改札にあります」
▶A is located 場所.
AはBに位置しています。
Lift is located at the middle of the platform.
エレベーターはホームの中ほどにあります。
先に紹介したfar endと組み合わせて、
Platform 7 is located at far end of platform 6.
7番のりばは6番のりばの奥の端の方にあります。
===========================
Women's toilets are located in the ticket hall
女性用お手洗いは、改札に設置してあります
「設備 is/are located in 場所」の形です。
発展
'located'のほかに、'situated'という単語が使われることもあります。
Women's toilets are located in the ticket hall
Women's toilets are situated in the ticket hall
意味は同じですが、situatedの方が使用される頻度が低い代わりに、より格式高い(悪く言うとわざわざ小難しい単語を使っている)感じです。
「一番近いトイレは4番のりばにあります」
▶A +場所
Aは場所にあります
これは'A is located 場所'の「is located」が省かれた形になります。話す時にはふつうこのような省略はしませんが、書き言葉で、簡潔に書きたいときにはこのような省略が良く行われます。
Lifts behind the stairs.
=Lifts are located behind stairs.
エレベーターは階段の後ろにあります。
===========================
(The) Nearest toilets (are located) on National Rail platform 4.
最寄りのお手洗いは、ナショナルレールの4番のりばホーム上にあります。
「Aはこっち側に、Bはあっち側にあります」
Lift to Northern line (is available) from entrance across the road.
ノーザン線へのエレベーターは、この道路を渡った向こう側にある入口よりご利用できます。
Lift to Jubilee line (is available) from main entrance in Joiner Street.
ジュビリー線へのエレベーターは、ジョイナー・ストリートにある中央入口よりご利用できます。
「エレベーターご利用の方は別の入り口をご利用ください」
▶For A, use B +場所
Aへは、場所にあるBをご利用ください。
For station exits, use the stairs along the platform.
駅出口へは、ホームの途中にある階段をご利用ください。
For Aのあとのコンマは、イギリスではよく省かれます。
===========================
For step-free access, use entrance within bus station.
バリアフリー設備へは、バスターミナル内の入口をご利用ください。
within A「Aの内部にある」
「10番Aのりばへはホーム一番奥の階段をご利用ください」
複数階段がホーム上にあり、その中で一番奥の階段を使うよう促す場合に使える表現です。
▶️the furthest staircase on this platform
このホームの一番遠方にある階段
=========================
Platform 10a
10番aのりば
Access via furthest staircase on this platform
このホームの一番遠方にある階段からアクセスできます
staircase 「階段」
通常「階段」はstairsと表記されます。staircaseは階段の施設全体を一つのブロックとして捉える単語であり、使用頻度はかなり低いです。
電車の停車位置を示す
まず初めにロンドンでは、日本のように電車のドア位置を案内して整列乗車を促すような乗車位置が整備されているのはかなりレアケースです。
ロンドン滞在中にドアごとの乗車位置を発見できたのは、全列車でドア枚数が変わらないテムズリンクの市内中心部の駅くらいで、そのほかの鉄道会社は形式によりドア位置が変わる都合で乗車位置を案内しません。よくて「ゾーン」ごとの案内(2〜3両ごとにおおよその停車位置を案内)が行われる程度です。
また、地下鉄も基本的に各路線でドア枚数が統一されているのですが、整列乗車を促す気がまったくないため、乗車位置はありません。
このため、ロンドンでは「電車がホームのこの辺に止まるからこの辺で待っててね」というアバウトな乗車位置案内が行われています。
「この地点より奥に電車は停まります」
▶電車 stop(s) beyond this point.
電車はここより奥に停まります。
4-carriage train stops beyond this point.
4両編成の電車はここより奥に停まります。
===========================
London Overground trains stop beyond this point.
ロンドン・オーバーグラウンドの電車は、この地点よりも奥に止まります。
beyond 〜「〜の向こう側」
「ほとんどの電車はホームの手前に停まります」
===========================
Trains normally stop further back along the platform.
電車は通常、(ここより)後方へ進んだところのホーム中ほどに停まります。
normally「通常」「ほとんどの場合で」
further「さらに先の」+back「後ろ」→further back「さらに後方」
along ここでは「〜の途中」
「乗車ホームはこの先にあります」
Pass along platform.
ホームをこのまま進んでください。
along ここでは「~に沿って」
「電車はホームの端に停まります」
▶電車 depart(s) from far end of ホーム
ホームの端の方から出発します
The next train will depart from far front end of platform 2.
今度の電車は、2番のりばの前より端の方から出発します。
===========================
Trans to Woodford
depart from far end of this platform.
ウッドフォード行き電車
このホームのもっと奥の端の方から出発します
far「遠方の」+end「端」→far end「奥の端の方」
「混雑緩和のため前寄りの車両をご利用ください」
(The) front of (the) train (is) less crowded.
電車の前側は比較的すいています。
「ホーム中ほどまで進んでお待ちください」
Pass along platform for level access boarding zone.
段差なし乗車位置へはホームをこのままお進みください。
level access boarding zone 車いすやベビーカーの利用者が補助なしで乗り降りできるよう、ホームをかさ上げしてある部分のこと。*専門用語
ゾーン制の乗車位置案内例
▶座席・設備 can be found in zone(s) A.
座席・設備はゾーンAでお待ちください。
Non-reserved seats can be found in zones A and B.
自由席車両はゾーンA・Bでお待ちください。
===========================
1st class (can be found in) zones 1 and 2.
ファーストクラスはゾーン番号1・2番でお待ちください。
Standard class (can be found in) zones 3 to 9.
普通車はゾーン番号3~9番でお待ちください。
Cycle space (can be found in) zones 3 and 8.
サイクルスペースはゾーン番号3・8番でお待ちください。
Wheelchair facilities (can be found in) zones 1 and 9.
車いす対応座席はゾーン番号1・9番でお待ちください。
Train formation
車両編成
(Zones 1 to 9)
(ゾーン1→9の順に)
L K J H G D C B A
L K J H G D C B A号車が止まります。
文と言うよりは、箇条書きに近い案内になっています。
「切り離しのため前側の編成にご乗車ください」
Please continue along platform to the front train.
前の電車までこのままホームをお進みください。
Front train from here
ここより前寄りの車両へ
Please join the train from this point on
ここより奥に停車中の電車にご乗車ください
join「乗車する」 *イギリス英語
from A on「Aより先」
特定の通路へ旅客を誘導する
「この先の階段をご利用ください」
Piccadilly line
ピカデリー線
Pass along the platform and down the stairs
ホームをこのまま進んで階段を下りてください
ここでのalongは「~に沿って」
「この階段からはたどり着けません」
▶There is no access to A
Aへはたどり着けません
「There is no access to A beyond this point.」の簡略化されたバージョンです。
There is no access to station exit.
駅出口にはたどり着けません。
===========================
No access to Victoria line
ヴィクトリア線には行けません
Follow signs along platform
ホームの案内サインに従ってください
ここでのalongは「~(の途中)にある」
「ホームへ戻って別の通路へお進みください」
For way out, return to platform and follow signs
出口へは、ホームへ戻って案内サインに従ってください
way out「出口」 *イギリス英語。建物の出口自体はイギリスでも'exit'と言いますが、出口へ向かう経路のことは'way out'と言います。
「ホームへ戻って別の出口をご利用ください」
For Underground and Docklands stations, go back along platform and use exit ② stairs.
地下鉄とDLRの電車へは、ホームへ戻ってそのまま進み、②出口への階段をご利用ください。
「混雑緩和のためこちらへう回してください」
注釈 この場所で通路が左右に分岐しており、左側の通路へ進むとヴィクトリア線のホームに直結しています。右手の通路は別路線のホームにつながっており、ホーム中ほどで左手に見える通路に入ると、ヴィクトリア線のホームにつながります。
During busy times pass along this platform and turn left for Victoria line
ラッシュ時間帯は、ヴィクトリア線にご乗車の方はこちら(右手)のホームを進んで途中で左に曲がってください。
実践問題
それでは実践してみましょう。和文英訳問題です。
問1
「待合室は、売店の後ろにあります」
Waiting room ( 1 ) the kiosk.
2単語
問2
「出口へは、ホームの階段を下りてください」
For way out, ( 2 ) the platform and down the stairs.
2~3単語
問3
「ホームの先の方へお進みください」
Please pass ( 3 ).
2~3単語
問4
「今度の3番のりばの電車は、当駅で切り離します。関西空港行きは、ホーム中央の階段よりも前の車両をご利用ください」
The next train at platform 3 will divide at this station. Customers requiring the train to Kansai Airport please ( 5 ) the stairs at the middle of the platform.
4単語
↓
↓
↓
答え
1
located behind
2
2単語→return to
3単語→go back to
3
along (the) platform
4
join the front train from
joinのほかboardなど、ほかの同異義語でも可
以上。
I hope you have a pleasant journey and look forward to you travelling with me again!