近鉄八田駅に残る旧型の詳細型放送

3本目は名古屋線の途中駅、近鉄八田駅の放送をご紹介いたします。


近鉄八田駅名古屋市中村区に位置する退避設備を有する駅で、JR関西本線が隣に接しているほか地下鉄東山線とも乗り換えができます。

退避設備はかなり頻繁に使用されており、日中の普通電車の大半および朝夕の回送がこの駅で退避を行います。

名古屋地区では2011年に放送の一斉更新が行われましたが、この駅はその更新時に新放送に変わらず、未だに旧放送に近い物を使用しているという、なかなか貴重な例です!

なのですが、実は導入されているのは接近放送のみ


到着時に駅名連呼があるわけでなければ、発車時にも出発承認合図器のブザー音が寂しく鳴り響くだけという。

近鉄にしては珍しい中途半端な仕事っぷりです。


それでは動画の方をお聞きいただきましょう。



こんな感じの放送です。

名古屋線沿線にお住いでふだん八田駅を利用されない方は、「そういえばこんな放送もあったなぁ!」と懐古されるのでしょうか。

ところがどっこい、このお二方を起用した放送は、狭軌線区として有名な近鉄南大阪線にて今なお現役で用いられていまして。

もちろん皆様も聞き覚えのあるであろう、語尾を伸ばしてあることで有名なあのお声が、山を越えた向こうでは「旧放送」と崇められているのです。

嗚呼、悲しかな。冷遇とは恐ろしいものです。




それはさておきこの放送の特徴を端的に言いますと、他駅に相反してとにかくツメが甘い、中途半端なもの、といったところでしょうか。

もちろん理由もあるのですよ?
いわゆる「経費削減」というものです。


ツメが甘いと言われる点ですが、たとえば連絡案内では連絡する電車の行き先もいうのが通例ですが、こちらでは「準急電車」、「急行電車」と言葉を濁して案内をしています。

両数も案内することはありませんし、ましてや先着案内を流すこともありません。

パーツを用意すればするほどお金はかかりますので、それならば簡易なものにしてしまおうという体なのでしょう。


この放送が使用開始されたのは高架化が完了した2005年からのこと。比較的最近の導入になります。といっても今年で11年目に入りますが。

2011年の放送一斉更新で変えられなかったのは、導入された年代が関係しそうです。


ちなみにこちらの放送は、時を同じくして高架化された烏森駅でも使用されているそうな。

そうすると駅名連呼や発車案内が無いのもうなづけます。
両駅で確実に使用するであろう最低限だけを用意してあるのでしょう。

(ちなみにすべての優等種別が急行運転を行う区間に位置し、普通しか停車せず、さらに退避設備を有しない駅に詳細型放送が導入されたのは、なんとお隣の烏森駅が近鉄初となります。)


以上、八田駅の放送についての記事でした。

それでは〜!


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