今回は近鉄の車内自動放送について、いろいろな憶測や誤解が広まっていましたので現状をまとめておきたく、あることないことをざっくばらんにまとめてみました。
あくまでタブレット端末を用いた放送の話題ですので、しまかぜ等、車両にあらかじめ装備されている自動放送装置で流しているものは割愛させていただきます。ご了承ください。
まずはタブレット端末を用いた放送についておさらいしておきましょう。
ご覧いただくとわかるかと思いますが、タブレット端末で流した音声を放送用のマイクで拾って流すというわけではなく、音声出力端子をタブレットに直接接続して流すという、ありそうでなかった画期的な方法をとっています。
これにより車掌はより諸確認に時間を費やすことができますし、多言語案内も実施できて、かつROM更新もより簡単に行えるといいとこだらけ。
車両側の改造もマイクの配線に入力端子を付けるだけと、非常に安価で済みます。
このような点から一気に導入が進み、ものの1年あまりで全路線をカバーするまでに至りました。
ROM更新
それでは本題へと入っていきましょう。
改善点は以下の通りです。
文節の間隔を短縮
旧ROMでは「放送が長すぎて使えない」、多言語案内導入目的なのに「日本語しか流せない」という根本的な欠陥を抱えていましたが、今回の改善で文節の間隔が調整されました。
たとえば上図の京都国際会館行き急行の例ですと、日英の放送全体で約8秒短縮されています。
間延びしていた感じもなくなり、革新的な改善点になっております。
(なお変わったのは文節間の間隔のみで、読み上げるスピードそのものは従来通りです)
操作手順の簡略化
ダイヤによってホームが変わらない駅では、到着前の放送に開扉方向まで入るように改善されました。
実はこれもものすごく画期的な改善点なんです。
車掌の本来の業務は放送タブレットを操作することではありません。ホームや車内の安全確認が主です。
今まではホームの確認までに放送を流し終える必要があったため、時間短縮のため肝心の到着前の案内を日本語のみにして、開扉方向のみ英語付き…という不格好な形式になることが多々ありました。
ところが改善後は開扉方向が一定の駅であれば、到着前の放送を一度流せばあとは勝手にやってくれますので、本来の業務により取り掛かりやすく改善されています。
一部区間での放送簡略化
より英語まで流れやすくなったという点では非常によい改善でしょう。
「放送の追加」が可能に
今までは放送を一手しか選択できず、流し始めるとそれが終わるまで二つ目、三つめが選択することもままならないという欠点がありましたが、ここも改善されて一つ目の放送を流す前に「放送の追加」ができるようになりました。
「クイック放送」の分類が登場
「お待たせしました」、「発車までしばらくお待ちください」、「電車が通過します。しばらくお待ちください」、「扉付近は広く開けてお降りのお客様をおお通しください」、そして「扉が閉まります。ご注意ください」など。
全区間を通して素早く操作する必要があるものをまとめた分類が登場しました。
これにより上記の放送がマナー啓発放送(スポット放送)から分離され、流れやすくなっています。
商業施設の案内を追加
それぞれ英語まではあることが確認されていますが、収録の難易度は非常に高いです…!
なお近鉄百貨店の案内は追加されていません。
大和西大寺切り離しの案内が追加
大和西大寺で前側の車両を切り離す場合の案内が追加されています。
(確認されているのが大和西大寺のみというだけで、そのほかの箇所も導入されている可能性が大です)
と、ご覧いただいただけでもわかるかと思いますが、かなり大規模なROM更新が行われています。
今まで録りだめた音声が使い物にならないくらいの改良です。
…おお、いとつらし。
さらに変更はこれのみにとどまらず。
当初は導入が見送られていましたが1年の時を経てついに、関係各社との調整も進んだようで、近鉄へ乗り入れるすべての車両への整備が進んでいます。
そのため京都市交通局の方ではマナー啓発放送が流れないとかなんとか。
また阪神車の方は整備が少し遅れているようで、私も今のところ使用している編成には当たっておりません…が、すぐに増えることでしょう。
以上、放送の改良について簡単ですがまとめてみました。
それでは~!