南大阪線・長野線 古市到着時の放送に意外な違い

個人的に駅放送、タブレット端末を用いた車内自動放送ともに、近鉄で1番好きな路線は地元南大阪線のものです。

その魅力といえば、車内放送で言いますと、まず1つがもともと車内放送が詳しかったのもあり、非常にそれぞれの案内が詳細なところ。
次に他路線にはない種別省略を行うところ。
そして通過駅を案内する放送が用意されているところ。
最後に主要駅停車中の放送があるところなど、どこを取っても興味深い特徴ばかりです。

その南大阪線の車内放送にて、また新しく「そこでこだわりを見せるか」という面白いところを発見しましたので、記事にまとめました。



ほんの数日前、未編集のまま放置されていたあべの橋行き区間急行の車内放送を動画にするため、編集作業に打ち込んでいた時のことです。

一から作るのも何か面倒だなあと思い、少し前に編集したばかりの富田林発あべの橋行き急行の動画の編集ファイルを引用し、製作に取り掛かりました。


駅数自体はそれほど多い物ではありませんから30分ほどで尺土まで作り終え、そして迎えた合流地点、古市駅で「え、そこが違うの?!」と言う違いを発見しました。

まずは富田林発の車内放送の文面をお読みください。


古市、古市です。
御所、橿原神宮前、吉野方面は1,2番のりばの電車にお乗り換えです。
古市の次は大阪阿部野橋です。

This is Furuichi, station number F-16.
For Gose, Kashiharajingu-mae, and Yoshino: please transfer to track 1 or 2.
After leaving Furuichi, this train will be stopping at Osaka-Abenobashi.

(動画は こちら から)


こちらは支線から本線へ乗り入れる電車ですから、当然ながら乗換案内として南大阪線の下り、橿原神宮前方面を乗換先として挙げています。

では対して橿原神宮前方面からの急行ではどうなるかと言いますと…


古市、古市です。
河内長野方面は2番のりば、道明寺から先、河堀口までの各駅にお越しのお客様はお乗り換えです。
古市の次は大阪阿部野橋です。

This is Furuichi, station number F-16.
For Kawachi-Nagano: please transfer to track 1 or 2, and for every station between Domyoji and Koboreguchi: please change trains here.
After leaving Furuichi, this train will be stopping at Osaka-Abenobashi.

(動画は こちら から。区間急行ではありませんが同じものを聞くことができます)


こちらでは支線である長野線下りの案内に加えて、ご存知通過駅の案内が流れるようになっています。

逆に異なる考え方をすると、本線の急行では通過駅の案内が存在するのに対し、長野線の急行では通過駅の案内が欠けているともいえます。

本日はこの面白い違いについて、少々語ってみたいと思います。



この違いができた原因として考えられるのが、「単なる編集ミスである」、「付け加え忘れていただけ」と言う可能性です。

そもそも肉声放送のマニュアルから作られているものですから、簡略化されている場合もあるでしょう。


正直なところ、私もこういった「違いは意図していなかった」という線が一番高いと思います。もしくはもっと業務的に「支線から本線に合流するんだから停車駅は特殊なのは一目瞭然」と考えられている可能性もあります。

ですので「なぜこの違いができたか」は置いておきまして、「長野線の利用客はこの案内が欠損していることで不自由はないのか」という目線で語りたいと思います。
まずは本数とその役割から注目していきます。


本線において急行は30分に1本設定されており、また特急が特に急がない南大阪線において、非常に重要な長距離輸送の中核を担っています。

尺土以遠の旅客が古市より先に出る場合、この急行に乗るのが普通です。ということは各駅に行く場合は乗り換えも必要だと促す必要も出てきます。


対して長野線の急行は河内長野発が平日の朝に2本だけ、富田林発は平日夕方に4本のみ。そして何より土休日は一切設定が存在しません。

…となると、不慣れな種別に対しては逆に通過駅と案内する必要が出てくるのではないか、という結論が出てしまいそうですが、これこそが大事なところです。


長野線の輸送を支えている準急ですが、こちらは日中、毎時4本設定されています。
その4本のうち2本はあべの橋まで先着しますが、残りの2本は古市で急行と連絡し、急行を先に行かせるという連絡を行います。

この連絡については駅時刻表、および駅放送(富田林駅)でも案内されています。

つまり長野線の利用客にとっては「急行は古市からあべの橋までノンストップで行くもの」であり、かつ乗り換えてまで乗るものと言うことから本線の利用客よりもそれが定着していると断定できます。


また平日朝ラッシュにそういった不慣れな旅客が集中するということは考えづらく、平日夕ラッシュの便はそもそも利用者が2桁行くか行かないか程度の混雑レベルですから、誤乗が多発する可能性も極めて低くなっています。

以上のことから、この違いは利用者にとって全く持って問題がないと言えるでしょう。



この放送の実に厄介なところが、通過駅案内を取り入れているのは南大阪線しかなく、かつ同様の事例はほかに存在しないため、原因が考察できないところです。

御所発の急行が定期であればそちらの確認もできますが、残念ながら存在しません。
また臨時急行「葛城高原号」が設定されることもありますが、定期列車に存在しない電車のROMは用意されていません。


今後のROM更新で追加された場合は「単なる編集ミスだった」と言うことになりますが、どうなるのか注目です。

それでは~!
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