古市駅 駅放送概要(2018,01)

今回は南大阪線と長野線の分岐駅、古市駅の駅放送をご紹介します。
 
連結時の案内放送があまりにも特徴的なので何度か取り上げたことがある駅ですが、放送集自体は気がのらず、初めて録音してから四年近くが経ってしまいました。やっと気が乗ったので今回収録させていただきました。
 
(リクエストもだいぶ前に頂いてたのに本当にごめんなさいm(_ _)m
 
 
遅くなった分、ネタは特上のものをご用意させていただいております( ・ω・)b
 
今回は南大阪線のダイヤに非常に精通しており、かつBVEの路線データなども製作されているRabbit-car様に協力をお願いし、混沌を極めている古市駅でも特に特徴的な放送だけを狙って収録しました。

(Rabbit-car様のホームページへ:http://mottyan0128.web.fc2.com/index.html


収録に1週間かけたかなりの自信作です。どうぞ最後までお聴きください!

 
 
快速急行の放送はカメラで録音した音声を再使用しました。音質がたいへんよろしくありませんが、ご了承ください。
 
収録内容は次の通りです。
 

あべの橋行き(最初の番号はのりば)

4 普通 あべの先着
4 準急 あべの先着
4 準急 後ろ4両増結、阿倍野には急行が先着
3 区間急行
3 急行 前4両増結
4 特急
3 特急 さくらライナー8両
 

橿原神宮前方面 普通・準急

橿原神宮前行き 5両解放(南大阪線最大解放両数)
橿原神宮前行き 高田市以遠急行先着
橿原神宮前行き 高田市以遠特急先着 御所行き連絡 2両解放
橿原神宮前行き 2番線から発車 4両解放
吉野行き
御所行き
御所行き    2番線から発車
 

橿原神宮前方面 急行・特急

区間急行    2両解放 橿原神宮前で吉野行き「連絡」
吉野行き    【ぼたん輸送】二上神社口、当麻寺に臨時停車
吉野行き    【ミカン狩り輸送】上ノ太子に臨時停車
吉野行き    3両解放→橿原神宮前行き 尺土で御所・橿神連絡
吉野行き    橿原神宮前で2両解放 尺土で御所・橿神連絡
吉野行き
 

河内長野方面

富田林行き   4両解放
富田林行き   4両解放→橿原神宮前行き
河内長野行き  2両解放→御所行き(流れず)
河内長野行き  2両解放→橿原神宮前行き
河内長野行き  2両解放→御所行き
富田林行き急行
 

非営業

1番通過
2番通過
3番通過
1番回送
4番回送
3番当駅止め
2番当駅止め
 
以上、37列車分を収録しています。
 

放送の概要

放送はお聞きになると分かる通り、相当古いものが使用されています。

「福神」と「六田」のパーツに声質の違いがあることから、少なくとも特急が両駅にも停まるようになった1999年以前に導入されたことがわかります。しかし「さくらライナー」には声の変化が見られないことから、1990年以降に導入されていることもわかります。
 
1999年の「福神」収録の時点で声の変化が相当出ているところから見て、導入はそれよりも相当前のはずです。1990年台初頭といったところでしょうか。
 
 
古市では接近放送、到着放送、出発放送が流れるようになっています。
接近放送で流すことができるのは…
 
・発車時刻
特急のみ実施。
 
・接続の案内
尺土で行われるものと区間急行の化け(*)のみ実施
 
・先着案内
南大阪線の各駅停車と準急で実施。(ただし上り準急はすべてあべの橋まで先着)
 
・切り離しの案内
当駅、橿原神宮前で行われるもの。
 
・切り離した車両が別の電車に変わる案内
当駅で行われるもののみ。
 
・連結の案内
当駅で行われるもののみ。
 
・臨時停車の案内
 
・乗車位置案内
南大阪線上下線、長野線とも実施。
 
・号車の案内
特急のみ実施。
 
45号車の通り抜けができない旨
さくらライナー重連時のみ実施。
 
*…古市では区間急行が吉野行きに変わる旨は「連絡」という形で案内がなされます。そのほかの電車では橿原神宮前での連絡列車を案内しません。
 
 
到着放送では到着した列車の案内(種別、行き先と停車駅)、乗り換え案内と、必要に応じて臨時停車の案内、当駅で増解結を行う場合に限りそれに関する案内を流します。
 
なお乗り換え案内は23時からはカットされます。また特急の到着時には乗り換え案内は行わず、座席指定である旨を強調します。
 

 
このようになっています。かなり豪勢です。古き良き旧型放送の良さをそのまま残しています。
 
特に乗車位置案内を行う駅は、近鉄全路線で見てもここと富田林、橿原神宮前、尺土(上り)、大阪難波、名古屋のみですから、大変珍しいといえるでしょう。
 
以下に放送の詳細を記しておきます。
 
 
・到着放送は駅名連呼と乗り換え案内、列車の案内がセットになっているため、古市仕立ての電車では流れません。
 
・古市、尺土とも先に流れている放送が優先されるため、到着放送が流れている間に発車時刻となっても到着放送が優先されます。この場合、出発放送は流れません。
 
・切り離した車両が別の電車に変わる(化ける)場合、ホーム後ろ寄りから前の方へ移動が行われますが、こちらも自動放送では流れません。かつては無言で行われていましたが、最近は必ず肉声放送で案内が入るようになりました。
 
・古市駅の放送は尺土駅と同じものを使用しています。一部言い回しが異なるところはありますが、ほとんどのパーツで音声波形が一致すること、またノイズ音が目立つことから同じ放送とみて間違いないでしょう。
 

やっぱりおもしろい古市の駅放送

今回、カオスを極めている古市駅の駅放送を大量に収録したわけですが、その中でも特に案内がイレギュラーなものを独断と偏見だけでトップ3にまとめてみました。
 
 

第3位

10:38~ 橿原神宮前行き
備考:後ろ5両切り離し
 
もうこの時点でぶっ飛ばしてます。8両で到着し、なんと半分以上の5両を切り離すという力技で両数を調整するその精神。しびれも憧れもしませんが肝は座ってます。
ちなみに「5両」は南大阪線の最大切り離し両数です。
 

第2位

08:52~ 07:07発 あべの橋行き 特急「さくらライナー
備考:特急券が必要。45号車間通り抜け不可。
 
朝、夕のラッシュ時には特急が停まりますが、その中の1本でだけ聞くことができる特別な放送が存在します。
それがこちら、平日朝、7:07発のあべの橋行き特急です。この電車はさくらライナー2編成つながった(重連8両編成で運転されます。
 
さくらライナーは先頭車に貫通路がないため、45号車間は通り抜けできません。この注意喚起を促す放送が行われます。
 
近鉄に一番言わせてはいけないと言われている単語、「なお」に続いて流れるこの案内。同時刻到着の準急とほぼ100%の確率で放送が被りますので、収録難易度はかなり高くなっています。お時間があればぜひ挑戦してみてください。
 

第1位

25:19~ 吉野行き 急行
備考:当駅で後ろ3両切り離し、切り離した編成は橿原神宮前行きに変更。尺土で御所行きと橿原神宮前行きに連絡。
 
堂々の第1位に輝いた電車はこちら。7両で到着し切り離しを行います。切り離した編成は橿原神宮前行き、さらに尺土でも橿原神宮前行きに乗り換え可能。確実に急行通過駅までの乗客を試しに来ている電車です。
 
つまり
急行停車駅 …………… 前4
駒ヶ谷〜磐城 ………… 後ろ3
浮孔〜橿原神宮西口 … 前4両に乗った上で尺土で乗り換え
が最適解となるわけですが、これを丁寧に案内するのかと思いきやそうでもなく「察せ」、分かるだろう、というわけです。なかなか無茶振りが効いた放送となっています。
 
(まあこれを案内したらしたらで理解できそうにもないので、アナウンスの最適解は今の状態なのかもしれません)
 

特急とそれ以外で案内が変わる…?!

南大阪線の駅放送には、特急とそれ以外の電車で案内が微妙に変わるという特徴があります。
 
それぞれ違いを見ていきますと…
 

接近放送

・発車時刻
普通の電車 流さない
特急    発車時刻も放送
 
・停車駅案内
普通の電車「途中、〇〇に停まります」
特急   「途中の停車駅は〇〇でございます」
 

到着放送

・到着放送の「のりば」の有無
普通の電車「この電車は〇〇行き△△でございます」
特急   「〇番線に到着の電車はxxyy分発、〇〇行き△△でございます」
 
・到着放送の乗り換え案内
普通の電車 各方面への乗り換え案内を行う
特急    乗り換え案内はカット、座席指定である旨を流す
 
…といった違いがあります。
 
 
まず特急では必ず発車時刻を流すという点。これは南大阪線の特急停車駅全駅で共通する事柄です。
 
そこまで特急が頻発することはありませんが、このタイプの旧型放送ではどの路線でも特急に限り発車時刻が流されていました。(ちなみに名古屋線でも特急の発車時刻を流す理由は、同じ旧型放送を使用していたためです。この放送をそのまま新しくするとあの様になります)
 
 
続いて停車駅案内が変わる点。これは同じ放送を用いている尺土駅にも共通しています。
 
特急以外は終点近くで各駅停車になることが多く、「各駅に停まります」にうまく繋げられるように工夫されているようです。
 
 
しかし「この電車は」と「〇番線に到着の電車は」を使い分ける駅はこの駅のみで、かなりイレギュラーな変化となっています。
 
尺土では列車の案内を御所行きの乗り換え案内のあとに流すため、何番線の電車かを強調するために文言を変えた点は理解できます。
 
古市ではなぜ特急以外の電車で「この電車は」と流すのか、納得のいく理由が見当たりません。研究の価値がありそうです…(*´ω`*)
 

特殊な臨時停車の案内

古くから沿線の観光名所を活用してきた南大阪線では、季節に合わせた臨時列車の運転や臨時停車が数えきれないほど行われてきました。

現在ではだいぶ数が減りましたが、今もみかん狩りの時期や牡丹の見頃を迎える時期に臨時停車が行われ、また、吉野山の桜の見頃に臨時列車が運転されています。
 

この臨時停車についても自動放送で案内を行うことができるわけですが、その際に全国でも珍しく臨時停車の理由を流すようになっています。

「ミカン狩り輸送」の上ノ太子、「牡丹輸送」の二上神社口と当麻寺。いずれも時期が非常に限られており、かつ停まる急行も一日1本程度程度ですので、収録の際は根気よく臨みましょう…!
 

旧放送ならではの切り離し案内

ここまで旧型放送の面影を残している古市駅だからこそ聞くことができる案内がまだ存在します。
 
夕ラッシュ時には橿原神宮前で切り離しを行う急行が存在しますが、この場合の切り離し案内がまた特徴的なのです。
 
 
「この電車は橿原神宮前“駅”で後ろ〇両、切り離しいたします。“吉野方面へお越しのお客様は”前〇両にご乗車ください」
 
 
まずは切り離し駅を「駅」つきで案内するところ。
 
「駅」付きパーツを流すことができるのは旧型放送の特権です。ちなみに大阪阿部野橋駅の旧放送でも同じ言い回しを用いていましたが、新放送では取りやめられました。
 
(あと数年早ければ「富田林駅で」も聴けたんだろうなあ…と後悔(´・ω・`)
 
 
続いて「〇〇にお越しの方は」と、切り離した先の区間へいく旅客を誘導する放送を流す際に、具体的にどこへ行くのかを提示する点。これも旧型放送でのみ聞くことができる表現です。
 
南大阪線ではここと尺土(*)でしか聞くことができませんので、こちらも大変貴重です。なくなる前に録音されてみてはいかがでしょうか。

*高田市は未確認ですが、流せる可能性ありです
 

 
以上、古市駅の放送についてまとめてみました。
 
河内長野行き(後ろ2両は御所行きに化け)」が流せなかったり、「富田林行き急行(後ろ4両切り離し)」に至っては簡易放送だったり、パーツの組み替えで流せそうでも流せる案内ばかりではないというところにまた大きな沼を見た気がします。
 
古市駅はスピーカーが黄色い線の上にある箇所が多いため、録音の際は極力内側にあるスピーカーを使用しましょう。またホームのあべの橋寄りはかなり狭くなっていますのでご注意くださいませ。
 
(なお今回の収録では、収録開始時に立番をされていた駅員さんに、安全上大丈夫かを確認して収録を行いました)
 
 
それではー!
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