【台風21号】のりば変更放送と環状線の快速列車

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2017年10月23日、非常に勢力の強い台風21号が近畿に接近し、強い風と共に各地で大雨をもたらしました。

その大雨やたるや、尋常なものではありませんでした。言葉で表すよりも実際の被害を見ていただいた方がはやいでしょう。

南海本線 橋脚沈下
近鉄大阪線 土砂災害・崩壊(複数個所、複数回)
近鉄南大阪線 土砂崩壊
近鉄長野線 土砂崩壊
近鉄生駒線 土砂崩壊(複数個所)
大和路線 志紀駅冠水

大和川 氾濫(30年ぶり)


これらすべてを、わずか暴風圏がかすめただけで引き起こすほど威力の強い台風でした。

JR西日本では長時間の運転見合わせに備え、少しでも安定した輸送が保てるよう、16時以降はすべての路線で直通運転を中止、各路線で個別に運転をすることとなりました。

これに伴い大和路線阪和線との直通を切られた大阪環状線では、輸送力不足が懸念されたため、通常の15分に1本の普通電車、ゆめ咲線直通の普通電車に加え、関空紀州路快速のダイヤを用いた周回運転の快速列車が設定されました。


今回はそれらの列車の放送を収録してまいりました。どうぞご覧ください。



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この日ほど [ O ] 関空紀州路快速大阪環状線 の表示が正確だったこともないでしょう。内回りでも外回りでも、いろいろな「関空紀州路快速」を見ることができました。

列車については他の方が取り上げると信じて、こちらでは自動放送に的を絞ってつらつらと残しておきたいと思います。

停車駅の有り無しはどこから?

今回のような特殊な「周回運転を行う快速電車」でも、しっかり対応して詳細な案内を流していたSUNTRAS。

外回りの快速では鶴橋で収録したもの、天王寺で収録したものともに停車駅が流れており、行き先変更されていた点を除けば完璧な案内をこなしています。

一方なぜか内回りの快速では停車駅が流れませんでした。つまり完璧に対応できていたわけではなかったのです。


本来、停車駅を省略するのは普通電車に対してのみで、快速ではその先の区間に通過駅がなくとも「停車駅は○○までの各駅です」と流すようになっています。

停車駅を設定しない状態で運転していたとすると、システム側が通過駅をどう判別するのかが問題になりますし、大変謎な設定です。

のりば変更の案内放送

先述の通り、この列車は関空紀州路快速のダイヤをそのまま乗っ取る形で運転されました。
ですので天王寺駅では「18番のりばから14番のりばへの変更が行われた」として対処されていました。

14番のりばでは乗車位置や停車駅の後に「のりばを変更しております」と流す形式ですが、では18番のりば側ではどう流れるのか。

長年これが非常に気になっていましたが、ついに本日、これを収録することができました。


19:26発、関空紀州路快速・大阪行きは、のりばを14番のりばに変更しております。ご注意ください。

The Kansai-airport Rapid Service and Kishuji Rapid Service departing at 19:26 is the train bound for Osaka, today, the platform for this train has been changed. It is now departing from track 14. Thank you for your understanding.


この放送の録音は何が難しいか、というところを語っていきたいと思います( ・ω・)



のりば変更時の放送は以前にも収録しておりまして、それがこの動画の6分50秒あたりからの部分です。


18:44発、関空紀州路快速関西空港/和歌山行きは1番のりばから発車します。
本日の関西空港/和歌山行きは、のりばを1番のりばに変更しております。ご注意ください。

The Kansai-airport Rapid Service and Kishuji Rapid Service departing at 18:44 bound for Kansai-airport will be leaving from track 1. This train will also go to Wakayama.
This train is bound for Kansai-airport and Wakayama, today, the platform for this train has been changed. It is now departing from track 1. Thank you for your understanding.


明らかに先ほどと比べ、内容が増えていますよね。同じのりば変更の案内放送で何が違うのか、お分かりになられますでしょうか。



この2パターンで決定的に違う点は、ずばり申し上げますと「普段から異なるのりばから出る電車の案内を行っているホームかそうでないか」です。


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阪和線の快速は15番のりばからの便と阪和線ホームからの便があるため、常時それぞれの乗り場の出発便を表示、放送するように設定されています。

ですので15番のりばから阪和線ホームに変わる場合は、主題がのりば変更ではなくのりばの案内に置かれるようになります。

放送の内容としては「次の快速は阪和線ホームから発車するからね、あと今日だけのりばは変わってるからね」といったように、のりば変更は後付けとなる形をとります。


しかし14番のりばと17・18番のりばは通常、外回りの普通電車と快速電車といったようにすみわけがなされていますから、そのような表示、放送を普段から行っていません。

ですので今回のようにイレギュラー中のイレギュラーとして扱われ、また流れる放送も「次の快速はのりばが変わってるから気いつけてな」のみに絞ったものが流れるという仕組みです。


非常にややこしいお話ですが、要は先ほどの表示が普段から表示されるホームとそうでないホームではのりば変更時の放送が異なり、後者の方がレアな放送が効けるというお話でした。

直通運転分断の成果?

こういった大規模な混乱が予想される場合、直通運転取りやめは数多く行われてきましたが、今回はその判断が大きく功を奏したようです。


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阪和線天王寺駅19:20発の普通・日根野行きが当日の最終電車に、また大和路線ではほぼ同時刻に全線終日運休が発表されました。

もし直通運転があった場合、両路線が止まった段階から外回りでは電車の本数が大幅に減り、逆に内回りでは天王寺から外に逃げられなくなった電車が詰まりはじめ、なし崩し的に上下線とも停まる状況が生まれてしまいます。

しかしそれらの電車がありませんから大きくダイヤが乱れることはなく、なんと大阪環状線ほぼ平常通りの運転のまま最終電車まで運行を続けました。


もちろん大阪環状線が生き残れたのは、台風が近畿を直撃したわけではなかったというのも大きいでしょう。雨の影響を大きく受けない高架区間が多いからこそ、運転を続けられたというのもあると思います。

それでもあれだけ複雑な運行形態をとっている大阪環状線で、ダイヤ乱れを最小限にとどめることができたということは、やはりすばらしい運転計画だったといえるでしょう。

補足(おまけ?)

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冒頭の画像で出ている「運転見合わせ中」表示が、右側の2基のみまるでバグを起こしたような表示になっている点に注目された方も多いと思います。

実はこの表示の不具合は今回が初めてではなく、かなり前から発生しているものなんです。
どうも直せない不具合なのかそれとも直す気はないのか、ずっとこのままになっています。

表示に不具合が出るのは阪和線システムから情報を取得しているもののみで、大阪環状線大和路線側の方は正確な表示が出されます。

JR西日本の担当者様、もし記事を見られていましたら直してあげてください…(あと英語表示も追加してあげて下さい)



以上、大まかに遅延の様子と環状線の周回快速についてまとめてみました。

それでは~!


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