橿原神宮前駅 新放送 概要

今回のダイヤ改正をきっかけに近鉄では放送更新が加速化しています。
 
奈良線河内花園駅若江岩田駅大阪線大和八木駅五位堂駅に続いてついに橿原神宮前駅も放送更新が行われました。
 
南大阪線では2016年に更新された大阪阿部野橋駅、先日更新が確認された今川駅に続き3例目の放送更新となります。


以前から「世界遺産吉野山の玄関口にあたる駅だから英語放送は導入した方がよい」と言っていましたが、いざ変わると少しさみしいような、願いが叶ってうれしいような複雑な気持ちです。
  
今回の放送更新を一言でまとめると「癖の強い昭和レトロな放送がようやく普通の放送になった」程度のものですが、元の癖に慣れてしまっていると違和感が大きいでしょう。
 
今回は橿原神宮前駅の新放送について詳しくご紹介してまいります。
 

 
まずは更新後の放送をまとめた動画をご覧くださいませ。
 
収録内容は以下の通りです。
*【男女】→男女声とも収録。【連結】→連結あり。【解放】→切り離しあり。
 
■00:10~ 南大阪線
普 通  尺土行き【男女】
普 通  古市行き【男女】
準 急  大阪阿部野橋行き【男女】
急 行  大阪阿部野橋行き
特 急  大阪阿部野橋行き【連結】
特急さくらライナー 大阪阿部野橋行き【連結】
 
■12:31~ 橿原線
普 通  大和西大寺行き【男女】
普 通  京都行き【男女】
急 行  京都行き【男女】
特 急  京都行き
 
■23:15~ 吉野線(誤って南大阪線下りとなっています)
急 行      吉野行き【解放】
特 急      吉野行き
特急 青の交響曲 吉野行き
当駅止まり
 

大阪線新型放送に限りなく似せた別物

ノイズや放送の音質、また発車メロディの再生速度が旧放送だった頃と同様に遅い点などから推測する限り、やはり旧放送の放送装置を使い、音声パーツを入れ替えただけの放送更新のようです。
 
ですので大阪線新型放送では流し得ない放送も複数存在します。
 
 
たとえば先発列車の案内なんかが分かりやすいでしょうか。南大阪線ホームで次発以降の列車到着時、先発列車が存在する場合に先発列車を案内するというものです。
 
奈良線新型放送では石切や新田辺などの一部駅で導入されていますが、大阪線型新放送では流す駅は存在しません。
 
この放送自体は旧放送の頃から存在しており、それが引き継がれた形となっています。
 
 
音声パーツは新規収録分が半数ほど、大阪阿部野橋駅の放送から持ってきたものが半数ほど。

放送設備自体は変わっていないため文節間が間延びしてしまっていますがパーツ自体は大阪阿部野橋と変わらずです。

ところが英語放送は「特急には特急券が必要です」のパーツ以外、すべて新規収録となっています。ここだけ使いまわさなかった理由は謎です。
 

■到着放送が簡略化

南大阪線ホーム、橿原線ホームともに到着放送が大幅に簡略化されました。
 
まず南大阪線ホームでは駅名連呼と忘れ物の啓発、先ほども触れた先発列車案内以外のすべての放送がカットされています。
 
せめて種別と行き先くらいは流しても罰は当たらなさそうですが全カット。到着放送はかなりやる気なさげです。
 
橿原線ホームでは「種別と行き先くらい」は流していますが、停車駅案内等はやはりこちらも流しません。
 
接近放送で流したばかりだから強いて流す必要もないだろう…という判断でしょうか。でしたら余った時間に乗換案内を追加する等してほしかったところです。
 

■「各駅停車」追加と言語による種別の違い

大阪輸送統括の管理する駅では、優等種別が各駅に停まる終端区間で種別を略し、「○○行きがまいります。この電車は○○まで各駅に停まります」とのみ流す放送を導入することがあります。
 
ところが南大阪線の旧型放送では各駅に停まるかどうかにかかわらずこの案内を取り入れ、しかし発車放送ではしっかり「各駅停車」と流すという矛盾をはらんだ放送を長らく使用してきました。
 
今回の放送更新で厳密に線引きがなされ、上り古市方面行きの電車ではすべて「各駅停車」と種別を流すようになりました。…のはいいのです。
 
近鉄さんらしいというか、詰めが甘いというか、
 
「○○行きがまいります。この電車は○○まで各駅に停まります」
 
の前半を「○○行き 各駅停車 がまいります」に変えたまではよかったのですが、後半の「各駅に停まります」をそのまま残しているせいで
 
「○○行き 各駅停車 がまいります。この電車は○○まで 各駅に停まります
 
各駅停車に逐一各駅に停まると言ってくれる親切極まりない放送が誕生していました。…どこかで気づいてあげてー!!
 

 
そしてもう一つ、これに関連するものとして日本語と英語で種別が変わる案内も見逃せません。
 
大和八木駅橿原神宮前行きでもご紹介しましたが、なぜか吉野行きの電車接近時、日本語での放送時には「吉野行きがまいります」と種別を略するのに対し、英語放送では“An Express bound for Yoshino is arriving at track 5のように種別が省略されずに残ってしまうのです。
 
朝方の吉野行き各駅停車や休日夜の吉野行き準急はともに隠れたレア放送となりそうで…。本格的に動画を仕上げるとなったときにぜひ収録したいところです。
 

■発車時刻は消滅、発順も消滅、乗車位置も消滅

旧型放送の特徴でもあった特急接近時のみ流れる発車時刻、橿原線ホームでなぜか流れた「先発」、「次発」の案内、および近鉄でも珍しい乗車位置案内が放送更新ですべて廃止されました。
 
この辺りは旧放送の面影を残さずしっかり新型放送に合わせてきたあたりが憎ましいところ…(´・ω:;.:...
 
代わりに特急では大阪線新型放送にあわせ、案内復唱が行われるようになりました。また旧放送は末期、乗車位置を流す代わりに両数の案内を消していましたが、乗車位置案内が消滅したことで両数の案内が復活しました。
 

■”大阪阿部野橋感”があふれる切り離し放送

増解結を行う電車接近時は両数の案内を行わず、後から補足する形で放送されます。
 
切り離しの場合には「この駅で後ろ○両を切り離します。前○両にご乗車ください」という案内が流れるようになっているのですが、これが面白いことに大阪阿部野橋駅の放送パーツをそのまま使用しています。
 
あれだけ豊富に案内パーツがあるとほかの駅にも応用が利くだろうと考えていましたが、2年越しにようやくほかの駅にも広まりました。これについては素直に今後に期待したいところです。



以上、橿原神宮前駅の新放送をまとめてみました。

南大阪線といえば旧型放送の巣窟です。それゆえ次にどこが変わるかという予想が非常に立てずらいのが難しいところ。

詳細型放送を持つ駅ではすべて「白線」→「黄色い線」への変更は終わっていますので、次に更新が懸念される要素として「あべの橋行き」のまま放置されているのは

・河内天美
・河内松原
・古市
・富田林
・尺土
・高田市

以上の7駅です。

その中でも放送のノイズなどがひどいのは古市と尺土の2駅。やはり一駅のみ異端な存在である藤井寺もこの様子ですと長くなさそうですし、放送が不十分(臨時停車が案内できない)な高田市もまずそうです。

…全部手を付けるわけにはいきませんので少しずつまだ録音が不十分な駅も攻めていきたいところですが、更新ラッシュが続くとすると時間の猶予がないというのもまた困りものです。

そしてこういう時に限って時間がありません。どうしたものでしょうか()


…それでは~!

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