南大阪線 快速急行の車内放送【よりも衝撃の4ヶ国語放送】

ついに春がやってきましたね(*´ω`*)
まだ肌寒い日も多いですが、天気のいい日は暖かさを通り越して暑いに近く感じる日も増えてきました。
 
そして南大阪線にとって春といえばさくら。吉野線が1年で唯一大混雑する時期です。
 


イメージ 3

なんだ開花前かと言われそうですが、こちらが先週末時点での吉野山、下千本の様子です。さくらの見頃を終えてすでに葉桜が大半となっていました。

ところが近鉄では今週末も吉野山への観光客輸送のため、快速急行の運転を予定しているようです。
 
 
イメージ 1

イメージ 2

この快速急行ですが、通常ダイヤにおいて南大阪線快速急行は存在しません。さくらが見頃を迎えるこの時期に限り、臨時快速急行「さくら号」として運転されるというものです。
 
当初臨時列車をまったくカバーしてしなかったタブレット放送も、たとえば天理臨で走る臨時急行など、ある程度想定される臨時列車については放送が用意されるようになりました。
 
さくらの見頃に世界遺産吉野山へのアクセスを担うこの電車も当然ながら用意されています。
 


イメージ 4

さて先週末のこと。この快速急行の車内放送を気分で収録しに行ってきました。
 
「放送が入りましたよ報告が目的だし全区間2ヶ国語、欲を言えば始発駅だけ4ヶ国語が流れれば十分かなあ」
 
くらいの軽い気持ちで収録に。
 


すると知る人ぞ知る南大阪線の名物車掌さんが乗務されており、日本語放送はほとんど録れなかったものの英中韓を全区間で収録することができましたので、喜びのあまりすぐに動画にしちゃいました。どうぞご覧くださいませ。
 
 

こちらが動画です。最初から最後までぜーんぶ4か国語放送。藤井寺行き各駅停車以来の扱い率です。

停車中放送やマナー啓発もどんどん4か国語放送。閉扉予告も2か国語放送。
タブレット放送の目指したかったものがここに極まれり。どうぞ最後までお楽しみください。

■新しい近鉄タブレットの使い方

この南大阪線の名物車掌さんですが、なぜ有名になったかという理由が自動放送の使い方です。
通常想定されていない使い方をされております。
 
その使い方というのが、日本語部分は肉声放送ですべて賄い、英語含む別言語に限りタブレットに頼るというものです。
 
 
近鉄タブレット放送はマイクのスイッチを放送中に起動すると肉声放送が優先されるというようになっています。しかもその間、自動放送は放送されないながら再生され続けます。
 
それを生かして日本語の部分は肉声で案内し、英語などの部分のみ自動放送で流すという、タブレット放送の機能上かなり変わった使い方をされています。
 
タイミングはおそらくタブレットの画面に表示されている
 
「日本語  〇〇秒」
「日・英  △△秒」
「すべて  ◇◇秒」
 
を参考に、「日本語 〇〇秒」の間に言いたいことを言い切り、マイクのスイッチを切っているものと思われます。
 
英語、中国語、韓国語のみを流す設定ができたわけではないため、英語放送はところどころ頭が切れているものも。吉野口到着時の英語放送は元気よく"YOSHINOGUCHI!"から始まっていました
 

■素晴らしい肉声放送

この車掌さんの素晴らしいところは、やはり肉声放送を意地でも流されているということもあって肉声放送がとにかく丁寧だというところです。
 
今回収録した放送で「この案内は非常に配慮が行き届いていて特に素晴らしい」と感じた放送を、1つだけご紹介させていただきます。
 
 
この電車は11:20発、吉野行き快速急行、吉野行き快速急行です。
この先、飛鳥、壺阪山、吉野口、福神、下市口、六田、大和上市、吉野神宮に停まります。
お間違いのないようにご注意ください。
 
なお吉野に12:12の到着予定で、吉野へもこの電車が先の到着です。
 
 
橿原神宮前停車中の放送です。発車時刻を流している点、吉野への先着案内や到着時間を流している点もさながら、停車駅と同時に乗り間違いに注意を促す放送を流している点も非常によさげです。
 
「4,5番のりばに停まっている赤色の電車は各駅停車!」という固定概念を持っている方も一定数いらっしゃるでしょうから、確実に有効な放送と言えます。
 
また停車駅の流し方も「この先○○に停まります」。JRでよく用いられる流し方ですが、伝わりやすい案内のためなら敵味方関係なく伝わりやすい表現を選択し、それを採択する。
 
案内放送に関して、プライドだけは無駄に高い関西私鉄で許されるのかわかりませんが、ぜひとも採用されてほしい表現だと感じました。
 


そして飛鳥以降の区間では、日本語放送も自動放送を扱っている駅が数駅存在します。

これは動画内でも注釈を入れさせていただきましたが、橿原神宮前発車後に4か国語放送+携帯電話のマナー啓発を4か国語で流した結果、飛鳥駅到着の直前まで流れ続けたため、タイミングを失ってしまうのを恐れて自動放送に任せているというものです。


ところが「この区間は余裕があるのに明らかに意図があって肉声放送を控えた」と思われる個所もあります。それが大和上市到着前の1回です。

実は大和上市駅ですが、長いとも短いとも言えないトンネルを出た直後に存在します。

つまり肉声放送を行おうと思えば、トンネルに入ってから行えば十分行う時間はあるのです。むしろそれでちょうど良いタイミングに流れるくらいの長さです。

しかしトンネル内で肉声放送を行うと雑音も拾ってしまいます。これを避けるため、あえて自動放送に任せるようにしているといえるでしょう。


大和上市→吉野神宮間もしかり。橋を渡った対岸に駅がありますので、雑音が入るばかりか肉声放送を行う余裕もありません。

このようにむやみやたらに肉声放送を挟んでいるわけではなく、きちんと時と場合で使い分けているというところがもう最高です。

■素晴らしい自動放送の使い方

もちろん肉声放送だけが優れているというわけではありません。タブレット放送自体の使い方もかなり理想的でした。
 
閉扉予告は英語放送を扱う場合のみ自動放送で流し、マナー啓発も通常の放送と合わせて4ヶ国語で実施。内容も携帯電話や優先座席、座席の譲り合いについて…など場に合わせたものが選択されています。
 
何も考えずに携帯電話だけ流しておけば良しとする方も多い中、きちんと快適な車内環境づくりを考えて流されているのは非常に素晴らしいことです。
 
近鉄の中の人が見られておりましたら、ぜひとも模範的な放送例として扱って欲しいくらい素敵な案内放送でした。
 

 
言葉に表せない感動がまだ心に残っているためうまく文章に起こせているか不安ですが、とにかく素晴らしい放送でした。
 
こういった案内をしたい車掌さんは近鉄に複数いらっしゃると思います。ぜひ英語、中国語、韓国語のみを流すことができる設定を追加してほしいところですね!
 
 
それではー!
Written by Yatatetsu ... All Rights Reserved