桜井駅 自動放送概要(2019,02,03)

*注釈
記事中に出てくる「上り」は大阪上本町方面行き、「下り」は伊勢中川方面行きの電車を示します。



今回ご紹介する駅は、近鉄大阪線 桜井駅の駅放送です。



駅のご紹介

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桜井駅は奈良県桜井市の中心部に存在する駅で、近鉄とJRの二社が乗り入れています。うち近鉄桜井駅は2面2線の対向式ホームをもつ高架駅です。

通常ダイヤでは特急以外の全ての電車が停車します。大晦日終夜運転時には、大神神社(おおみわじんじゃ)参拝客への便宜を図り、大阪方面行き特急が当駅に特別停車を行います。

駅は桜井市内の交通の結節点として機能しており、駅の南北にはバスターミナルを兼ねたロータリーが存在し、市内や市外各方面へのバスが発着しています。

放送について

使用されている放送は旧型のものです。高安駅と同時期に導入されたようで、
・停車時は「〜番のりば」、通過時は「〜番線」と区別する
旧国名を省略する
・同じ音声パーツが使いまわされている(音声波形にて確認)
など数多く類似点があります。

放送は接近放送のみ流れます。駅名連呼等はありません。

流すことができる案内

行き先・種別・両数

いずれも流すことが可能です。

停車駅案内

いずれの種別も終着駅まで流すことができます。

先着案内

上りと下りで流すことができる内容に差があります。

上り:
途中駅で後続の優等種別に追い越される場合に限り、「○○には(種別)が先に到着します」の文言で案内することができます。行き先駅まで先着する場合、案内はありません。

下り:
案内中の列車が終着まで先着する場合も案内ができます。

切り離しの案内

名張切り離しについては案内できることを確認しました。

名張で、後ろ○両を切り離しいたします」
という短文のみで、「先へお越しのお客様は~」といった案内はありません。

連絡案内

上りと下りで流すことができる内容に差があります。

上り:
五位堂、河内国分での緩急接続については案内できることを確認しました。大和八木で緩急接続する場合のみ案内ができないようです。

下り:
名張で伊勢中川行き普通に連絡する場合のみ案内ができます。

終電車の案内

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パタパタには表記がありますが、放送では最終電車の案内は流れません。

特急の案内放送

先述の通り、通常桜井駅に特急は止まりませんが、終夜運転時のみ一部の上りの特急が停車します。

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2番のりばに、難波行き特急、難波行きの特急がまいります。危険ですから黄色い線までお下がりください。
この電車は途中、大和八木、大和高田、鶴橋、大阪上本町に停まります。
特急には乗車券のほかに、特急券が必要です。特急券の指定番号の席にお座りください。

年に数本しか止まらないにもかかわらず、特急の放送は案内復唱を行う正統派の案内が導入されています。特急券の案内などを聞く限り、近隣の名張、榛原あたりからパーツを転用しているようです。

なぜか停車駅案内は全て冠称を略さない新パーツでそろえられているのに、行き先の案内は「大阪難波」行きではなく「難波」行き。このチグハグ感が近鉄らしいです。

「のりば」と「番線」

「○番のりば」と「○番線」。どちらものりば番号に関する表現ですが、旧型放送の中でも特に古い部類の放送では、この同じ意味の表現を列車により使い分けることがあります。

2番のりばに上本町行き各駅停車が4両編成でまいります。

2番線を電車が通過します。

接近している電車が停車する場合は「のりば」、通過する場合は乗れないので「番線」。
非常に些細なこだわりですが、放送の言い回しにこだわる関西私鉄らしい心遣いです。

大阪輸送統括では、当駅のほか高安、榛原などでも残存が確認されています。


ちなみにこの“伝統”ですが、なんと名古屋輸送統括では新放送にも引き継がれており、愛知・三重県内では詳細型放送を導入しているすべての駅で聞くことができます。

同じ停車駅でも違う停車駅案内

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2018年のダイヤ変更により、急行の停車駅に大和朝倉と長谷寺が追加されました。この結果、下りの急行は当駅より東の区間において、榊原温泉口まで各駅に停まる形になりました。

これを受け、パタパタの停車駅案内は「各駅にとまります」のみに変更されています。

…が、駅放送は融通が利かないようです。


通常、近鉄の駅放送は、その先の運転区間に通過駅がない場合、種別を省略して行き先と両数のみを案内します。
「1番のりばに名張行きが6両編成でまいります」
といった具合です。

桜井駅でも、名張行きの各駅停車、区準、準急はすべて
「1番のりばに名張行きが6両編成でまいります。(中略)この電車は名張まで各駅に停まります」
という案内に集約されています。


ところが名張行き急行、青山町行き急行は、通過駅がなくなったにもかかわらず、すべての停車駅を読み上げる形式を継承してしまいました。

「この電車は途中、大和朝倉、長谷寺、榛原、室生口大野、三本松、赤目口、名張桔梗が丘、美旗、伊賀神戸に停まります」
と言われると、あたかも通過駅があるように錯覚してしまいそうです。早く統一してほしいところですね。

冠称はあり?なし?

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かつての近鉄の放送では、「大和」高田、「河内」国分、「大阪」上本町といった冠称は省略するのがふつうでした。

この風潮は現在にも引き継がれており、駅名を二回読み上げる際「大和西大寺西大寺です」のように略すのは当時の名残です。

阪神なんば線開業あたりを境にこの方針が変わり、冠称も読み上げるようになっていったのですが、結局のところ「無くても通じる」わけですから、対応が後に後に回されました。その結果今も変更されていない駅、放送が多数残っています。桜井駅は特に省略されていたころの案内パーツが残っています。


いずれの案内でも「河内国分」、「河内山本」、「伊賀上津」は「国分」、「山本」、「上津」のままであったり、

急行の停車駅案内では「大和八木、大和高田、五位堂…」と読み上げていても
大和八木行きの案内は「“八木”行き各駅停車」であったり
準急の先着案内では「“高田”、五位堂、国分…にはあとの急行が先に到着します」と流したり、

「上本町行き」と流すのに
特急の停車駅案内だけは「大阪上本町に停まります」と冠称に対応していたり、

挙げ始めるときりがないですが、まあ統一感がみられない仕上がりになっています。


特に上り準急の接近放送では、冠称が追加されたパーツが見事に1つも流れないため、まるで過去にタイムスリップしたような感覚を楽しむことができます。(これで「白線」のままだったら完璧でした)

2番のりばに上本町行き準急が、6両編成でまいります。危険ですから黄色い線までお下がりください。
この電車は途中、国分までの各駅と、高安、山本、八尾、布施、鶴橋に停まります。
高田、五位堂、国分、布施、鶴橋には、後の急行が先に到着します。

昔の近鉄の放送を楽しみたいという方にもってこいの駅です。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

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