サボ(サイドボード)から始まり、方向幕、LEDという進化の系譜を辿ってきた列車の行き先表示。
形式は変わっても内容は変わらず、常に文字と色だけでの識別を強いてきました。
ところが今、JR西日本の行き先表示を皮切りに時代は変わろうとしています。
JR西日本が始めた路線記号を行き先表示に組み込むという発想。非常に画期的な取り組みと言えるでしょう。
これからの時代、行き先表示には確実に図形や記号を用いた図表が必要になってきます。
書かれている言語でしか情報発信できない文字依存の形から、視覚でわかる記号中心の体系へと変わろうとしています。
特に複雑な運行体系をしている路線ではより重要になってくるといえるでしょう。
今回は大阪環状線の行き先表示を例に、図やイラストを用いた表示の例を作成してみました。
環状線周回列車
路線記号「O」とそれを取り巻く円周の矢印。見ただけで環状線をぐるぐる回ること、そしてどちらの方向に回るのかがわかります。
交通でくるくる回るといえばロータリー交差点と言う謎の発想で、「ロータリーあり」の警戒標識をモチーフにした矢印を組み込みました。
日本語表示で「外回り」「内回り」と明記したのと同様に、英語表示でも "cloclwise"「時計回り」, "counterclockwise"「反時計回り」と表示しています。
「内回り」「外回り」を表す対訳として "inner loop", "outer loop" というものは存在しますが、日本の鉄道システムは海外の大多数の国と違って左側通行が原則であり、回り方が逆回りと認識されてしまう恐れがあるため、採用していません。
環状線途中駅止まり
途中駅止まりの場合は矢印を1つ消すことで回らないことを強調します。
併せて矢印が消える位置を駅と対応させることで路線図が頭に入っている場合は、どこ止まりかが一目でわかるように工夫しました。
うまく矢印の切れ目が運行上主要な駅と対応している点がミソです。
(大阪止まりの場合だけ対応していないので上下を逆にする必要がありますが)
ゆめ咲線直通
環状線から分離していくことが分かりやすいよう矢印が途中から離れるようにデザインしました。
また具体的な駅名を書く場合には英語表示にナンバリングを出すようにしました。
なお初期案ではこのようなデザインでした。
作り直しておいてなんですけど、こちらの方が分かりやすくてよいかもしれません。
ゆめ咲線からの直通
ラインカラーから徐々に色を変えて周回矢印につなげ、直通運転することを明確にしました。
めちゃくちゃ細かいこだわりですが、路線記号は直通先路線の方を大きめに表示するようにしています。ゆめ咲線直通の表示と比べると「P」、「O」の大きさが逆になっているのが分かりますでしょうか。
初期案はこちら。「P」は見当たりませんが割り切ってこちらの方がいいかもしれません。
大和路線、阪和線、関西空港線直通
作ってみました。頑張ったんです。精いっぱい努力したんです。ただどう考えてもドット数が足りないのです。
種別ロゴマーク(↓)すら出すことが難しいスペースに記号式を見やすいと感じられる水準で表示させるのは不可能でした。
大和路線、阪和線、関西空港線からの直通
ゆめ咲線からの直通同様、路線記号から周回矢印につながるようデザインしています。
また「大阪環状線行き」の英語行き先表示を "for Tennoji, Nishikujo, Osaka" (天王寺、西九条、大阪方面行き)にすることで、「環状線に行くのかすでに環状線の電車なのかわからない」問題を解決しました。
===============================
いつかこんな表示が当たり前の時代がくればいいなーとひそかに願っています。
今日はこのあたりで。