田原本線の車内放送

今回ご紹介いたしますのはこちら!

路線の規模の割に知名度が異常に高い“近鉄田原本線”の放送です。


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ご存知かと思いますがこちらは田原 / 本線ではなく田原本 / 線、ルビを振ると「たわらもとせん」となりますが、この意外性から全体で10駅にも満たない短い路線ながら全国規模で知名度があります。


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もちろんそれのみならず、近鉄の他路線と直接つながっている駅が1駅もないという点も特徴です。「ラッチ外乗換」などと言ったりしますが、要するに改札をいったん出て歩いて移動し、再び改札をくぐらないと乗り換えができないのです。

接続路線がないようなものですから「停車駅ご案内」も手持無沙汰なようで、両端の乗り換え路線と全駅を入れてもなお余裕があります。


このように短い路線ながら魅力たっぷりの田原本線ですが、予想以上に用意は周到で音を専門とする人までひきつける要素がしっかりございます。

田原本線にしか存在しない特殊な形式のワンマン車内放送です。



Q. 近鉄のワンマン車内放送と言えば?

ほとんどの方が、駅放送の女声と同じくもとむらみちこさんが吹き込んでいるドギツイ件の物を挙げられるでしょう。

実際にあちらは生駒線南大阪線名古屋線や賢島方面のワンマン普通などで幅広く使用されており、耳にする機会も多いかと存じます。

しかしここ田原本線では、戸閉め予告こそ先ほどの女声が用いられてはいるものの、主となる案内の部分では男声が用いられています。
これだけでも他路線とは一線を画していることがお分かりでしょう。

中の人は同じ!

ワンマンの車内放送として見ると確かに珍しいものですが、単に車内自動放送として見ると「別に新しく入った自動放送も男声やし珍しくないんちゃうん」と感じる方も多いのではないでしょうか。

実は最近全路線で一斉に導入された車内自動放送と、このワンマン車内放送の中の人はまったくの同一人物です。

優しく落ち着いた声色が特徴的な有田洋之さんというアナウンサーの方が担当されています。

もともとは女声の放送が導入されていましたがテープの"のび"がひどくなってしまったようで更新され、その折に男声へと変わっています。


新しく導入された放送では腹の底に響くような低音が効いた声が特徴的ですが、こちらでは田原本線ではまだ若かりし頃の1トーンほど声も明るい有田さんの声が使われています。

これだけでも一聞の価値ありです!

後から追加されたパーツ

大阪・奈良側のワンマン放送では必ず始発駅停車中と発車後に以下のようなマナー啓発放送が流れます。

「お客様にお願いいたします。携帯電話はマナーモードにしていただき、通話はご遠慮ください。ご協力をお願いいたします。」

こちらはもちろん田原本線でも取り入れられておりますが…何やら声が不自然ですね。


おそらく更新当初はこの部分がなく、あとから仕様統一のために追加されたのでしょう。

「うまみ」丘陵公園

「次は池部、池部、“うまみ”丘陵公園前です」

池部駅では近隣にある大型の公園への最寄り案内が流されるのですが、これが少し特徴的なのです。

「うまみ」丘陵公園前。

果たして「うまみ」はどう書くのだろう…と。


頭の中で「まさか“旨味”ではないだろう」と、しかし一度浮かんだ“旨味”というフレーズがこびりついて離れず、悶々とした気分のまま駅に着いて、駅名標を見てようやく納得。


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…確かに「うまみ」でした。


簡素な乗り換え案内

田原本線から別の路線へ乗り換えるには新王寺から王寺間か、西田原本から田原本駅間を歩いて乗り換える必要があります。

しかしそんなことはつゆ知らず。自動放送での乗り換え案内は特別変わったことは流さず、単に方面を案内するだけでおしまいです。

地元の方なら知ってるだろう、そうでなくても来るときに乗り換えるからわかるだろう…という判断なのでしょうか。

良くも悪くもドメスティックな路線です。



以上、田原本線の車内自動放送についてでした。

始発から終電まで新王寺行きか西田原本行きしかありませんから、案内の面では特にそれといって珍しいものはありません。

終電間際になったら乗り換え案内が消されるくらいのものでしょう。

有田さんの若々しい声を聴きに来る程度にお越しくださいませ。

なおお気を付けいただきたいのが、田原本線はラッチ外乗換が必要であるという点から大阪線奈良線橿原線大回り乗車の特例は適用されません。

実際に乗車する距離分の運賃が必要ですので、その点も考慮してお越しください。値段相応の価値はあります!


それでは~

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