御所線のワンマン・タブレット車内放送

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古今東西、ありとあらゆる形態の車内自動放送が導入されてきました。

御所線では2012年ごろに現在のワンマン放送が、そして昨年、タブレット端末を用いた自動放送が導入されており、現在2種類の味も目的も違う車内自動放送が存在します。




書くまでもないと思いますが、前者はワンマン運転の運転士補助として、後者は多言語案内を主な目的としたものです。そのため前者は日本語放送しかありませんが、後者は流そうと思えば4ヶ国語で放送が可能です。


また導入された年代の違いも大きく違いに影響しています。

この5年で放送手法は大きく変わり、それを採用しているタブレット放送に比べ、5年前のまま停滞しているワンマン自動放送とでドアの開く方向や「終点」の扱いなど異なるものばかり。

今回は二者を比較して、それぞれの違いや良いところ、悪いところをまとめてみました。ご覧ください。

■懐かしい旧放送テンプレ文(ワンマン放送)

かつて「ございます」調だった放送文が今の「です・ます」調に変わるまでの期間に1つ、長年定型文として機能していた放送文テンプレートがありました。

おそらく聞き覚えがある方も多いと思います。この放送テンプレの特徴は


新庄、新庄です。
お出口は左側です。扉にご注意ください。


忍海、忍海です。扉にご注意ください。


ここに顕著に出ています。

動画内で注釈を入れさせていただきましたが、当時の放送は開扉方向が連続する場合、2回目以降は同じ方向であれば省略する形をとっていました。

これが変わったのがたしか2014年ごろのこと。すべての駅で「左側の扉が~」、「右側の扉が~」と流すようになり、やがて自動放送になって今に至るわけです。

現在のワンマン自動放送が導入されたのはその少し前だったはずですので、ギリギリ古い放送が適用されてしまい、それが残ってしまった形ですね。

導入したてのものを変えるのは心許なかったのか、導入当初から長年アップデートされていないようで、この懐かしい放送テンプレ文が今も残っています。

■乗換案内、丁寧なのは。

続いて尺土到着時の放送に目を向けたいと思います。まずはそれぞれの放送文をお読みください。

ワンマン自動放送

尺土、尺土です。この電車はこの駅までです。

大阪阿部野橋河内長野橿原神宮前、吉野方面はお乗り換えです。
大阪阿部野橋河内長野方面は降りたホーム、3,4番のりば。
橿原神宮前、吉野方面への電車は、階段を通って1,2番のりばから発車します。

車内にお忘れ物の無いようご注意ください。お出口は右側です。扉にご注意ください。
近鉄をご利用いただきありがとうございました。

ご乗車ありがとうございました。尺土、尺土です。この電車はこの駅までです。

大阪阿部野橋河内長野方面は3,4番のりば。
橿原神宮前、吉野方面は1,2番のりばの電車にお乗り換えです。

お忘れ物の無いようご注意ください。近鉄をご利用いただきありがとうございました。



このように大きな差が出ています。個人的に好きなのはワンマン放送の言い方で、その理由は2つ。

1つ目は見ての通り、ワンマン放送の方が案内が詳細であるため。

御所線の電車は信号設備の都合上、3番のりばか4番のりばにしか入線することはできません。

ワンマン放送ではそれを考慮して「降りたホーム」、「階段を通って」と非常に詳細に流していますが、タブレット放送ではのりばのみの放送です。


2つ目はワンマン放送の方が“日本語として自然”であるため。
これが理由で個人的にタブレット放送の乗り換え案内が好きではないのですが。

「到着放送時にいきなりのりば案内を始める」のはいかがなものかと思うのです。

まずは乗り換えできる方面を示す、次にのりばを案内する。「〇〇方面は乗り換えです。〇〇行きは〇番のりばから…」と2度同じことを言う言い回しになりますが、この方が論理的であるのは当然です。

タブレット放送にもぜひ引き継がれて欲しかったなあ…と残念に思います。

■「終点」の有無

比較ネタでもう1つ。物事をみるときに比較は大事なのです( ˘ω˘ )

御所駅到着時の放送でも、ワンマン放送とタブレット放送で大きな差があります。

ワンマン自動放送

御所、御所です。この電車はこの駅までです。
車内にお忘れ物の無いようご注意ください。お出口は左側です。扉にご注意ください。
近鉄をご利用いただきありがとうございました。

ご乗車ありがとうございました。御所、御所、終点です。
お忘れ物の無いようご注意ください。
近鉄をご利用いただきありがとうございました。



南大阪線では終端駅を「終点」と呼び、終端まで行く電車と途中駅止まりとを明確に区別しています。
御所駅は完全な終端駅ですから、「終点」となるのは当然。

…ですがなぜかワンマン自動放送は終点と意地でも言わないため、ここでも差が出ています。


大阪輸送統括ではワンマン放送はあくまで補助的なものと位置付けているようで、マナー啓発が携帯電話のものしかなかったり等、伊勢方面で用いられているものと比べるとかなりお粗末な出来です。

ところがこの「ワンマン放送は終点といわない」問題は伊勢方面でも同じく確認できます。どういった理由で「この駅止まり」としたのかぜひとも知りたいところです。





以上、御所線の車内放送についてダラダラと比較させていただきました。

ワンマン車内自動放送も現行のものはいつまで残るかわかりません。次に大幅更新となった際にはタブレット放送と同じ音声を使用するようになるでしょうから、収録はお早めに。


それでは~。

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