今回は近鉄の自動放送に関するコラム的なお話を少しいたします。
鉄道会社は基本的にどこでも放送の言い回し、特に車内放送の放送文についてはこだわるのがふつうです。
各社ともにキッチリと定められた放送のマニュアルが存在します。
関西私鉄では、たとえば「扉」と「ドア」の言い回しであったり、「普通」と「各駅停車」の違いであったりが厳しく取り決められています。
まだその先にも線路は続いている、もしくは延伸の夢があるのだから決して終点はないのだと、非常に美しい夢を背負った言葉とともに語られることも多いこのお話です。
関西では非常に有名な鉄道小ネタなのです…が。
今回はそれを真っ向から否定していきます。
近鉄にも終点はあるのです。
近鉄が終点と言う、言わないはだいぶ前にも動画で特集しましたが、今回はそれをより詳しくまとめておきたいと思います。
今回は全路線で導入された自動放送を含め、近鉄の終点問題を検証していく特集記事です。
この記事を読んでぜひ近鉄愛を深めましょう。
■路線で異なる「終点」条件
実は近鉄の「終点」の条件は路線ごとに異なります。
これこそが「終点はない」と言われ続けてきた理由で、利用する区間が限られている場合、つまり路線によっては本当に終点と流す駅がないのです。
まずは路線ごとに終点の条件とそれが流れる駅をご紹介します。
参考にしたのは一般列車の自動放送です。全路線分すでに録り終えていますので、それを基に「終点」表現の有り無しを以下にまとめました。
路線名:条件(当てはまる駅)の順に記載しています。
本線
奈良線: なし
京都線: 終端駅(京都)
橿原線: なし(終端駅が存在しない)
けいはんな線:なし
大阪線: なし(終端駅が存在しない)
吉野線: 終端駅(吉野)
名古屋線: 終端駅(名古屋)
山田・鳥羽・志摩線:なし(ワンマン放送には存在しない)
支線
生駒線: なし(ワンマン放送には存在しない。また終端駅も存在しない)
天理線: なし
田原本線: なし(ワンマン放送には存在しない。また終端駅も存在しない)
信貴線: なし(終端駅が存在しない)
湯の山線: なし
鈴鹿線: なし
道明寺線: なし(ワンマン放送には存在しない)
長野線: 終端駅(河内長野)
御所線: 終端駅(御所)
このようになっています。総じて終端駅でのみ「終点」という扱いをするようになっていますが、線区ごとにその頻度が大きく異なる点は注目です。
まず知っておいて欲しいのが、注釈にも書きましたが「終点」と流すのは一般列車の自動放送だけというところです。
ワンマン列車の自動放送および特急の車内放送では、たとえ終点の条件に当てはまる駅に着いても「終点」とは言いません。
上記の路線では、近鉄のルールに照らし合わせると、終点は絶対にできない構造となっているということも補足させていただきます。
ということで近鉄にも「終点」駅が存在するということがお分かりいただけましたでしょうか。
「終点がある」だけではなく、近鉄が終点とみなす駅はそれだけ何か特別な意味がある、ということも覚えていただければ幸いです。
それではー!