まず初めに。近鉄の駅放送は、大元となる情報自体は何かしらのシステムで制御されているようですが、各列車の細かい設定については個々の駅で管理されています。
パーツリストを見る限り、どうやら駅によって遅延に関する案内も収録されているようですが、今まで使用されたことは一度たりともございませんでした。
さて本日9月2日、南大阪線の古市ー駒ヶ谷間において人身事故が発生し、古市ー尺土間で1時間以上も運転を見合わせる事態が発生しました。
たまたま大阪阿部野橋駅に、しかもちょうど運転見合わせをしてすぐに居合わせたもので、耳を澄ませてみると何やら聞きなれない自動放送が流れています。
運よくたまたま録音機器をほぼすべて持っていたものですから、その場で録れるだけ録ってきました。どうぞお聞きくださいませ。
この放送が間髪を置かず、永遠と全のりばで流されておりました。
どうも求めていた自動放送とは異なり、広告放送の枠で流れるようになっているようです。
つまり普段、広告放送を流している駅であれば、設定次第でいつでも流すことができる放送ということになります。
放送の内容について
この放送の素晴らしいところはやはり、英語放送込みで案内できるということでしょう。反面振り替え輸送などの案内が一切ないという欠点もありますが、そちらは肉声放送で補われていましたので問題ないでしょう。
放送内容を文字に起こすとこんな感じです。
お客様にお知らせいたします。
人身事故の影響により、ただいまダイヤ乱れが発生しております。
お客様には、お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
人身事故の影響により、ただいまダイヤ乱れが発生しております。
お客様には、お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。
Attention, please.
ご案内します。
The trains are behind schedule due to an accident involving a human casualty.
犠牲者を伴う事故により、列車が遅れております。
We apologize for any inconvenience this may cause.
(この遅延が)おかけするご迷惑についてお詫びいたします。
内容としては非常に簡素ですが、広告放送で流すことができるものは一連の音声ファイルになっている必要がありますので、それを考慮すれば過不足ない放送といえるでしょう。
日本語部分は女声、英語部分は男声で構成されており、ちょっとしたおしゃれもひと手間加わっています。
最初はこの女声の声の主を流れで大阪阿部野橋駅を担当されている馬場尚子さんだと思いましたが、どうやら実際には名古屋線および伊勢志摩方面の駅放送女声を担当されております中川京子さんが担当されているようです。
こちらが名古屋駅放送です。
少し癖のある落ち着いた特徴的な声…この方で間違いないでしょう。
古市行き準急と急行
少しだけ撮影した画像も載せておきます。
スマートフォンで撮影した画像ですので、画質そのほかについてはご了承を。
まずは総合発車案内から。
雑案内までは手が回らなかったのか、運転されていないはずの橿原神宮前行きに連絡するという表示も。
古市行き準急の表示がこちら。
PL臨時ダイヤでも見られる行き先ですので、通常ダイヤに存在しない行き先としてはインパクトが薄め。
当然吉野行き急行も運転できませんから、途中の古市までの急行も運転されました。
かつては定期運転が存在しましたが、現在は設定ゼロ。PL臨でも運転されませんのでかなり貴重です。こちらは今回の遅延でもわずか1本しか設定されませんでした。
この表示が非常に面白く、ふつう次の駅まで停まらない場合の停車駅表示は「○○(駅名)までとまりません」となるものですが、ここでは「途中の駅には」という聞きなれない表記を採用しています。
また「止まります」の表記もなかなか見慣れないものです。
近鉄は「とまる」を漢字で書くのをあまり好みません。おそらく「停まります」の表記を避けるためのものだと思われます。
たとえばこの「各駅にとまります」の表記はパタパタ時代から引き継がれています。
電車は駅で「停まる」ものですから、この辺りの変換ミスは気を付けてほしいところ…!
英語表示も特徴的で、直訳せずに「これは終点まで無停車の電車です」と表示。なかなかの良訳です。
多言語案内実施駅でほかに「○○まで停まりません」が見られる例としては大和西大寺駅での奈良行き特急、丹波橋駅での京都行き特急などが挙げられますが、それらの場合の英語表記をまだ確認できていないため、比較は控えさせていただきます…( ˘ω˘ )
このような放送が導入されたという情報も聞いていなかったため、思わぬ収穫でうれしい限りです…(*´ω`*)
それでは~!