この記事では加古川線のワンマン列車 車内自動放送をご紹介しています。
動画はこちら↓ ぜひ聴きながらお読みください。
放送文
始発放送(谷川発 西脇市行き)
今日もJR西日本 加古川線をご利用くださいましてありがとうございます。この列車は【行き先】行きワンマンカーです。西脇市までの各駅に止まります。
西脇市以外の駅では、お降りの際、一番前のドアからお降りください。
乗車券、運賃は、整理券と一緒に前の運賃箱にお入れください。運賃は車内の運賃表でお確かめください。定期券はわかりやすく運転士にお見せください。両替は両替機でお早めにお済ませください。
車内は禁煙です。禁煙にご協力ください。
この列車の後ろ寄りには、お年寄りやお体の不自由なお客様のための優先座席を設けています。この席を必要とされるお客様がいらっしゃいましたら、ぜひお席をお譲りくださいますよう、ご協力をお願いいたします。
また、優先座席付近では、混雑時には携帯電話の電源をお切りください。それ以外の場所ではマナーモードに設定のうえ、通話はご遠慮ください。
車内への危険物の持ち込みは禁止されております。持ち主のわからない不審な荷物がございましたら、乗務員にお知らせください。
この列車は【行き先】行きワンマンカーです。発車までしばらくお待ちください。
ドアは自動では開きません。ドア横のボタンでお開きください。ドアは自動では開きません。ドア横のボタンでお開きください。
流されている内容としては
・列車案内(行き先、停車駅)
・降車口の案内、後ろのドアが開かない駅の案内
・降車の手順
・車内禁煙
・優先座席のゆずりあい啓発
・携帯電話の使用に関する啓発
・危険物持ち込み禁止の啓発
以上7点になります。
あまりにも盛りだくさんな内容です。一度流れ始めたら2分間流れ続けます。
次駅放送(始発駅、主要駅発車後)
この列車は【行き先】行きワンマンカーです。西脇市までの各駅に止まります。
西脇市以外の駅では、お降りの際、一番前のドアからお降りください。
次は久下村、久下村です。降り口は一番前のドアです。お降りのお客様は、お早めに一番前のドアまでお進みください。
運賃は車内の運賃表でお確かめください。乗車券、運賃は、整理券と一緒に前の運賃箱にお入れください。
・列車案内
・降車口の案内、後ろのドアが開かない駅の案内
・次駅案内
程度しか流れない非常に簡潔な内容の放送となっています。
次駅放送(途中駅発車後)
次は船町口、船町口です。降り口は一番前のドアです。お降りのお客様は、お早めに一番前のドアまでお進みください。
運賃は車内の運賃表でお確かめください。
次は船町口、船町口です。
次駅の駅名と後ろのドアが開くかどうかに絞って放送案内が行われます。
必要な情報をすべて含み、かつ最低限の案内に絞っている優秀な例です。ぜひ他線区にも見習っていただきたい。
到着放送(ICOCA利用区間外)
まもなく船町口、船町口です。降り口は一番前のドアです。
乗車券、運賃は、整理券と一緒に前の運賃箱にお入れください。定期券はわかりやすく運転士にお見せください。
ご利用ありがとうございました。船町口、船町口です。
ドアは自動では開きません。ドア横のボタンでお開きください。
前のドアから降りなければいけないことが再度案内されます。また降りる際の手順も抜かりなく案内されるため、放送を聞いていれば戸惑わずに降りることができます。
到着放送(ICOCA利用可能区間)
乗車券、運賃は、整理券と一緒に前の運賃箱にお入れください。定期券およびICOCAなどのICカードをご利用のお客様は、降りる際、わかりやすく運転士にお見せください。
なお、ICOCAなどのICカードをご利用のお客様は、駅設置の自動改札機にも必ずタッチしてください。
ドアは自動では開きません。ドア横のボタンでお開きください。
ポイント1 情報の取捨選択が匠
各放送の内容が完璧にまとまっています。
その場面で流す必要がない情報は言いません。でも必要な情報は全て詰め込まれています。ワンマン車内放送の模範例と言っても過言ではない仕上がりです。
次は船町口、船町口です。降り口は一番前のドアです。お降りのお客様は、お早めに一番前のドアまでお進みください。
運賃は車内の運賃表でお確かめください。
次は船町口、船町口です。
まもなく船町口、船町口です。降り口は一番前のドアです。
乗車券、運賃は、整理券と一緒に前の運賃箱にお入れください。定期券はわかりやすく運転士にお見せください。
ご利用ありがとうございました。船町口、船町口です。
ドアは自動では開きません。ドア横のボタンでお開きください。
赤字部分にご注目。次駅放送では車両前方に進むよう促す案内がありますが、到着放送では前のドアまで来ている前提でその放送がカットされています。
続いて紫字部分。次駅放送では車両前方に進むよう促し、その流れで運賃表を確認するように案内していることが分かります。到着放送は、到着放送が流れるまでに車両前方へ進み、運賃を運賃表で確認している前提で組み立てられており、用意したであろう運賃やきっぷ類を運賃箱に入れるよう案内する流れで話が進みます。
このように内容に一貫性があり、放送の指示に素直に従えば降車までスムーズに進むことができるようになっています。
非常に考えられている放送文ですが一点だけケチをつけるなら次駅放送のここです。
次は船町口、船町口です。降り口は一番前のドアです。お降りのお客様は、お早めに一番前のドアまでお進みください。
運賃は車内の運賃表でお確かめください。「両替は両替機でお早めにお済ませください」
次は船町口、船町口です。
この一文があれば完璧を追求で来たのではないでしょうか。
両替していない旅客がいて多少遅延したところで影響がない線区ですし、そもそもこの案内が必要な旅客が途中駅から乗ることはめったにないでしょうから必要ないともいえますが。
ポイント2 もっとも重要な情報を繰り返し流す
先ほど触れたこちらの放送文を読んでください。
次は船町口、船町口です。降り口は一番前のドアです。お降りのお客様は、お早めに一番前のドアまでお進みください。
運賃は車内の運賃表でお確かめください。
次は船町口、船町口です。
放送の最後に駅名が繰り返して案内されていますよね。これこそが加古川線ワンマン放送で最大の特徴といえる案内を繰り返す放送方です。
始発放送であれば行き先が、次駅放送や到着放送であれば次の駅名が2回流れます。
各放送で最も大切な部分が放送の最後にもう一度繰り返されますので、うっかり冒頭を聞き逃してしまったような場合でも意味のある案内放送に仕上がっています。これはすばらしい取り組みと言えます。
総評
至高のワンマン自動放送。そういっても過言ではないと思います。ワンマン列車の自動放送を考えるうえで必修の路線です。
なぜこんな逸材がありながら他線区に技術が継承されないのか、ましてや同じ大阪支社の路線である和歌山線(一部和歌山支社の管轄あり)、万葉まほろば線、関西線などにノウハウが活かされていないのか不思議なくらいです。
根っから真面目で無駄は一切ない効率重視の車内放送。すばらしい逸品をご紹介いたしました。