みなさま、「小糸ゴシック」という幻のフォントはご存知でしょうか。
……あ、存じ上げない。それでは失礼して。
こういうところに使われているフォントです。
鉄道車両の行き先表示の、
ここ!!!!
ここに使われている!!!!!!
このフォント!!!!!!!!
が、小糸ゴシックと俗に言われているフォントです。
コイト電工という鉄道の行先表示機や交通信号機、道路の情報案内板……etc.を開発している会社が、行き先表示を作成する際に使用しているフォントです。
北は北海道、南は九州まで多くの会社で採用されています。なんといっても特徴は、文字の造形の美しさと読みやすさ。
24ドットビットマップフォントという前時代的なフォントながら、普通にフォントとして優秀なんです。ありえん読みやすさ。良さみが深すぎます。
そしてこのフォント、面白いことに漢字は最近はやりの「新ゴ」であったりとか、そういう可読性に重点を置いたゴシック体の造形をなぞっているのですが、ひらがなは今風ではない、ひらがな本来の美しさを求めた造形しています。
その秘密が基になったと思われるフォントにあります。
「jiskan24」という、昔のワープロなどに採用されていた24ドットの明朝体フォント。どうやらこれを基に小糸ゴシックは制作されているようで、重ね合わせると偶然とは思えないくらいに線が一致します。
特にひらがなは面白いくらい曲線や造型が一致します。「うすい」の「う」なんかが代表例ですね。これで「偶然一致した」とは考えづらいです。
そんなわけで、私はこのフォントの大ファンなのですが、残念ながらコイト電工さんが独自に作成されたフォントであるようで市場には出回っていません。
そういうわけで、元になっているフォントが分かっているのでそれっぽいフォントを創りました。
ここまでが2018年のお話です。
今になってなんでまた語りだしたの?
ということです。実は小糸ゴシックを模した「小糸っぽいゴシック」は、完成形ではないのです。
コンピュータで打ち出せる漢字は、第一水準と第二水準で分類されています。第一水準が日常的に使う漢字、第二水準はめったに使わないが慣用句や地名などにみられる漢字です。
2018年にフォントにした際には第一水準までしか作成していませんでした。
今回、思わぬ大型連休を国公認でいただけたということで、思い切って第二水準の作成に取り組んでいます。
ちなみに現状まだここです。絶望的 pic.twitter.com/Wu0EMgJnL0
— やたてつ (@yyyy_yatatetsu) 2020年4月28日
ちなみに現在の製作状況です。このままのペースでまいりますと、国が認めたニート推奨期間を大幅に超えて7月頭くらいに完成する見込みです。ペースを上げて取り組みたいところです。
また進捗はTwitterでご報告いたしますね。それでは~。