冠詞 a, an, theの使い分け

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今回は "a", "an", "the" ら、冠詞の区別を鉄道のアナウンスと一緒に学んでいきたいと思います。

 

まずはこちらの駅放送をお聞きください。下に文字起こしがありますので、そちらもお読みくださいね。

 

 

 

Thank you for choosing JR West.

JR西日本をお選びいただきありがとうございます。

 

The train on track 4 is the Kansai Airport Limited Express HARUKA 45 bound for Kyoto. Please make sure you are in the right car for your destination.

4番線の電車は、関空特急「はるか」45号、京都行きです。正しい車両に乗っているかお確かめください(お乗り間違いの無いようにご注意ください)

 

Car 1 is the front of the train and car 6 is the end.
Cars 4, 5, 6 on the train are non-reserved. Cars 2 and 3 on the train are reserved.

1号車がその電車の先頭で、6号車は最後尾です。この電車の4,5,6号車は自由席です。この電車の2,3号車は指定席です。

 

This train will be stopping at Tennoji and Shin-Osaka before arriving at Kyoto terminal.

この電車は、終点の京都到着までに、天王寺と新大阪に停まります。

 

This is the last Kansai Airport Limited Express bound for Kyoto.

この電車は最終の関空特急、京都行きです。

 

In addition to a fare ticket, a limited express ticket is required to board this train.

ご乗車には、普通乗車券に加えて、特急券が必要です。

 

いたるところに出てくる "a", "an", "the"。英語と付き合っていくうえで、これら「冠詞」と呼ばれる短い単語は無視できません。

 

中学生のころから、テストの英作文にたびたび出てきては減点材料として苦しめられるこれらの単語。そもそもこの冠詞と言う概念は、日本語にはないので難しいですよね。

 

今回は鉄道のアナウンスを参考に、これら冠詞と呼ばれる単語について詳しく見ていきたいと思います。

 

英語で大切なのは「具体的に話す」

英語の文章を書くときに気を付けたいのが、特に物を文中に登場させるときには、その物体について具体的に書くことです。

 

 

たとえば次の文章を読んでみてください。架空の英語放送文です。

 

You can change here for a local train. Passengers going to stations between Shimamoto and Nishioji should change here for the local train.

「この駅で普通電車にお乗り換えできます。島本~西大路間の駅にお越しのお客様は、この駅で普通電車にお乗り換えください」

 

この"a local train"と"the local train"はどちらも、日本語訳では「普通電車」を意味します。

でも1回目に出てくるときは"a"、2回目は"the"が付いています。

 

これを英語の意識に置き換えて和訳すると、

 

「この駅でとある・1本の普通電車にお乗り換えできます。島本~西大路間の駅にお越しのお客様は、この駅でその普通電車にお乗り換えください」

 

以上のように訳が変わります。これこそが冠詞の使い分けで大切な点です。日本語と違い、英語は「どの」を非常に気にします

 

従って"a", "an"を使うのか、それとも "the" を使うのかで大切なのは、「認識できるかどうか」です。

 

a / an

"a", "an"は、複数存在する中のどれでもいい1つを指します。

 

先ほどの放送文を見てみましょう。

 

You can change here for a local train.

この駅で普通電車にお乗り換えできます。

 

たとえばこの文章ですが、「普通電車」「各駅停車」って、同じ路線を複数本が同時に走っていますよね。その中の1本に連絡するので"a"が用いられるわけです。

 

 

In addition to a fare ticket, a limited express ticket is required to board this train.

ご乗車には、普通乗車券に加えて、特急券が必要です。

 

この世に「きっぷ」は山ほど存在しますよね。その中の1枚に加えて、これもまたこの世に複数ある「はるか45号の特急券」のうちの1枚を所持していればいいわけですから、"a"で良いわけです。

 

the

theは次の2つの場面で使用します。

 

1.この世に1つ・1人しか存在しない場合

2.話し手と聞き手が何について話しているか理解できているとき

 

You can change here for a local train.

この駅で(ある)普通電車にお乗り換えできます。

 

Passengers going to stations between Shimamoto and Nishioji should change here for the local train.

島本~西大路間の駅にお越しのお客様は、この駅で(その)普通電車にお乗り換えください

 

まずこの文章から見ていきましょう。これは「話し手と聞き手が何について話しているか理解できているとき」の "the" です。

 

1つ目の放送文で「複数本ある中の1本の普通電車」に乗り換えられることが案内されています。

2つ目の放送文は、最初の放送文で触れた普通電車に乗り換えるよう促す案内ですから、聞き手も話し手も特定の電車に関して話しているとわかるので、"the" が出てくるのです。

 

 

Thank you for choosing JR West.

JR西日本をお選びいただきありがとうございます。

 

①The train on track 4 is ②the Kansai Airport Limited Express HARUKA 45 bound for Kyoto. Please make sure you are in ③the right car for your destination.

4番線の電車は、関空特急「はるか」45号、京都行きです。正しい車両に乗っているかお確かめください(お乗り間違いの無いようにご注意ください)

 

Car 1 is ④the front of ⑤the train and car 6 is ⑥the end.
Cars 4, 5, 6 on ⑦the train are non-reserved. Cars 2 and 3 on ⑧the train are reserved.

1号車がその電車の先頭で、6号車は最後尾です。この電車の4,5,6号車は自由席です。この電車の2,3号車は指定席です。

 

This train will be stopping at Tennoji and Shin-Osaka before arriving at Kyoto terminal.

この電車は、終点の京都到着までに、天王寺と新大阪に停まります。

 

This is ⑧the last Kansai Airport Limited Express bound for Kyoto.

この電車は最終の関空特急、京都行きです。

 

こちらの放送文に出てくるtheは、ほぼすべてが「この世に1つしかない」の"the"となります。

 

順にみていきましょう。

 

①The train on track 4 is ②the Kansai Airport Limited Express HARUKA 45 bound for Kyoto. Please make sure you are in ③the right car for your destination.

4番線の電車は、関空特急「はるか」45号、京都行きです。正しい車両に乗っているかお確かめください(お乗り間違いの無いようにご注意ください)

 

①のtheは「話し手と聞き手が何について話しているか理解できているとき」の"the"です。4番線にいま停まっている電車、と言われれば、一目でどの電車について話しているか理解できますからね。

 

②のtheは「この世に1つしかない」の"the"です。「たった今、4番線に停まっているはるか45号」は1本しか存在しえません。

 

③のtheは「話し手と聞き手が何について話しているか理解できているとき」の"the"です。この音声パーツは本来、ここに組み込まれるはずのものではない(異なる行き先の列車をつないでいるときに流れるはずの放送文)ので、詳細は省きますね。

 

 

Car 1 is ④the front of the train and car 6 is ⑥the end.
Cars 4, 5, 6 on ⑦the train are non-reserved. Cars 2 and 3 on ⑧the train are reserved.

1号車がその電車の先頭で、6号車は最後尾です。この電車の4,5,6号車は自由席です。この電車の2,3号車は指定席です。

 

⑤、⑦、⑧のtheは「話し手と聞き手が何について話しているか理解できているとき」の"the"ですね。この放送はすべて、はるか45号と言う列車についての案内ですので、「その電車」と言われて思い当たるのは「はるか45号」しかありえません。

 

④、⑥のtheはもちろん「この世に1つしかない」の"the"です。「はるか45号」の先頭車両と最後尾車両は1つしか存在しえません。

 

 

This is ⑧the last Kansai Airport Limited Express bound for Kyoto.

この電車は最終の関空特急、京都行きです。

 

そしてラスト。これは「この世に1つしかない」の"the"です。最終電車は1本しか存在しませんよね。

 

特殊な事例:冠詞が付かない場合

1.名前(地名・人名・etc.)にはふつう"the"は付きません。

 

ただし地形に名前が付いている場合(○○川など)はtheが付くケースがあります。

例:The Thames「テムズ川

 

なので先ほどまでの放送文を見てみても、停車駅や行き先案内などの地名の前、列車名の前にはtheは付いていませんよね。何でもかんでも冠詞が付くわけではないので、その点は要注意です。

 

2.数字が主体のとき

数字が主である情報を指したいとき(ものや人を指したいのではなく、数字を強調したいとき)にも何も付きません。

 

今回紹介した例文でいうと、「4番線」「1号車」「2号車」のように、何かの番号を表している場合ですね。

 

その他にも道路の番号(例:(National) Route 25「国道25号線」)などを言いたいときなど、数字の方が主である情報の時には、theなどがつきません。

 

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それでは "a", "an", "the" の区別に気を付けながら、次の穴埋め問題をやってみましょう。かっこの中に入る冠詞を答えてください。ただし、冠詞が入らないところもあります。

 

 

まもなく1番線に、大阪行きの普通電車がまいります。

(  a  ) Osaka-bound local train is about to arrive at (  b  ) platform 1.

 

ホームの黄色い線までお下がりください。

Please stand behind (  c  ) yellow line on (  d  ) platform.

 

この電車は4両編成です。(この電車は4両持っています)

(  e  ) train has four cars.

 

神戸までこの電車が先に着きます。

(  f  ) train will arrive at (  g  ) Kobe first.

 

大阪方面へお越しの方は、この電車にご乗車のうえ、神戸で新快速にお乗り換えください。

Customers going to (  h  ) Osaka, please take (  i  ) train and change at Kobe for (  j  ) Special Rapid Service.

 

 

 

 

答え。

a: an(次に続く単語が母音から始まるのでan)

b: なし(数字が主体)

c: the(1つしかない)

d: the(聞き手と話し手が何についてかわかっている)

e: the(聞き手と話し手が何についてかわかっている)

f: the(聞き手と話し手が何についてかわかっている)

g: なし(地名)

h: なし(地名)

i: the(聞き手と話し手が何についてかわかっている)

j: a

 

以上でございます。それではまた。

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