自動放送が導入されている近鉄の駅では、通常時に流れる自動放送とは別に、通常の自動放送設備が故障した時に流すための異常時用放送設備が整備されている駅があります。
この異常時用の放送は、通常時の放送の形態(詳細型放送、簡易接近放送)に関わらず、しかも特に規則性もなく導入されています。
異常時用の放送装置は、通常の自動放送とは別の回線で設置されています。そのため、通常時の放送を流すためのスピーカーとは別にスピーカーが用意されています。たとえば若江岩田駅の場合、通常放送を流すための白色で薄い板状のスピーカーに加えて、上の画像に載せたような異常時用放送のスピーカーを設けています。
通常放送用のスピーカーはホームの隅から隅まで設置されているのに対し、異常時用放送のスピーカーはホーム中ほどに1つしか設けられていません。
三山木駅の例。中央上部にある公立学校で見かけそうなスピーカーが通常放送用で、その右下に非常時用放送のスピーカーが写っています。
東寺駅の例。学校のスピーカーが通常時の放送用、中央上部に映っているのが非常時用放送のスピーカーです。
地元、矢田駅の例。通常放送用のスピーカーは2枚目のもの、異常時用放送のスピーカーは3枚目中上のものです。
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通常の自動放送が動作している時は、この異常時用放送のスピーカーからは何も音が流れません。非常用放送用のスピーカーはふつうホーム中ほどに1箇所設けられているのみで、このスピーカーのみ通常放送用のスピーカーと形式を変えていることが多いです。
この3点、何も音が出ていないし他と違う機種のスピーカーが、ホームの中ほどに設置されているかどうかで、非常用放送装置がその駅に導入されているかを見分けることができます。
非常用放送の音声
ちなみに非常用放送といってもそんな大それたものではなく、普通に優等種別が通過する途中駅で流れる簡易接近放送が流れるだけです。
たとえば三山木駅の場合、通常時の放送が↓このような放送であるのに対し、
非常時用の放送がこちらです。
普通にそのへんの途中駅で聞ける放送ですね。こういった簡易接近放送が、通常時の自動放送が流れないときに流れるだけなので、大したものではありません。
矢田駅も同様で、以前非常放送用のスピーカーから放送が流れている場面に一度だけ出くわしましたが、通常時と全く同じ放送が流れていました。
ただ駅によっては、通常時の放送は更新されたけど非常用放送は未更新というパターンもあるようです。
これは長谷寺駅で確認された放送とのことです。非常用放送が何世代前かわからないくらい古い放送というのはかなり珍しい事例でしょうし、しかもこの放送が流れるのは、ふつう通常の放送が何らかの原因で流れないとき限定なので、狙って聞くのは難しそうです。
ちなみに、京都線 三山木駅の放送はダイヤが乱れると、通常時の放送が頻繁に仕事を放棄するため、かなり緊急用放送の出番が多いです。緊急用放送が流れている場面をどうしても観察したい場合には、ダイヤが乱れている日に三山木駅へ行きましょう。