イギリスの面白い車内放送 地下鉄Victoria(ヴィクトリア)線編

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この記事ではロンドン地下鉄、ヴィクトリア線の車内自動放送について紹介しています。

 

 

路線概要

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ヴィクトリア線は、市内南部にあるBrixton駅を出て、中心部のVictoria駅Oxford Circus駅ユーロスターが発着する国際ターミナルKing's Cross St. Pancras駅など経由し、北部郊外にあるWalthamstow Central駅までを南北に結ぶ路線です。

路線延長は約21km。御堂筋線より3kmほど短いです。ロンドン地下鉄の中で2番目に短距離の路線で、かつ支線もないため、端から端まで往復する列車が大半を占めます。

(ちなみにロンドン地下鉄で最も短い路線は、ウォータルー&シティー線。WaterlooとBank間の1駅区間のみを途中駅なしで結び、平日しか運行されないという、癖が強すぎる路線です)

 

使用車両

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2009年から翌年にかけて導入された「2009 Tube Stock」と呼ばれる車両が用いられています。

2000年代に入ってから導入された比較的新しい車両ですが、ヴィクトリア線はシールド工法で建設された、地下深くの狭いトンネルを走る路線であるため空調装置はなく、春から秋まで長期に渡り車内はかなり蒸し暑くなります。

 

放送・案内装置の特徴

この車両は、イギリス国内で「Rail Vehicle Accessibility Regulations」鉄道車両アクセシビリティ規定)が定められてから、初めてロンドン地下鉄に導入された車両となっています。このため、これ以前に導入された車両とこの車両で、自動放送の内容に大きな違いがあります。要約すると以下の通りです。

 

バリアフリー設備の有無に関する案内が追加(ただし後年の車両では削除)

・開くドアが固定されている駅では、左右どちらのドアを開けるかの案内が追加(同上)

・運行情報案内が追加(後年の車両にも継承)

 

特に注目したいのが運行情報案内! 当時でも今でも世界最先端と言えるといえる素晴らしい機能です。

たとえば、Victoria駅到着前の放送は次のようになります。

 

The next station is Victoria. Doors will open on the right hand side.

次はヴィクトリアです。右手のドアが開きます。

 

Change for Circle and District lines, National Rail services, and Victoria Coach station. 

サークル線、ディストリクト線、ナショナルレール(都市間鉄道)と、ヴィクトリア高速バスターミナルは乗り換えです。

 

Exit for Backingham Palace.

バッキンガム宮殿へはお降りください。

 

This station has step-free access.

この駅は段差なしで移動できる経路があります。

 

The Circle line is operating with severe delays.

サークル線は大幅に遅れて運転しています。

 

National Rail services from Victoria are severely disrupted.

Victoria駅発のナショナルレールは大幅にダイヤが乱れています。

 

National Rail services from Vauxhall are severely disrupted.

Vauxhall駅発のナショナルレールは大幅にダイヤが乱れています。

 

Vauxhall has no step-free access.

Vauxhallはバリアフリー経路がありません。

 

運行情報は始発駅場面で最大6つまで、途中駅到着前および到着後の放送では最大4つまで同時に放送するようプログラムされています。ダイヤ乱れに限らず、駅設備使用停止や駅閉鎖についても案内が可能です。案内は、乗り換え駅/当該駅が近い順に案内されるようです。

 

運行情報が自動放送で用意されているだけでもすごいのに、自線区の遅れだけではなく他線区や他社の遅れも案内でき、しかも乗務員の操作がなくても勝手に組み込んで案内してくれるのは、世界でもロンドン地下鉄のみではないかと思います。もっと注目されてほしいというのが個人的な感想です。

 

ただ不遇なことに、イギリスの鉄道ファンが投稿している動画には「ヴィクトリア線の放送は長すぎる!」という不満が書き込まれていることが多く、世界最先端の車内放送は現地の市民には受け入れられていないようです。

単一言語しか流さない放送で長すぎるなどと言われては、最大4言語流すこともある日本の車内放送の立場がなくなってしまいますが、これが文化の違いというものでしょうか。

 

 

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▲再現フォント(S Stock編成のフォントを再現。ヴィクトリア線のフォントとは少し違います)

 

余談ですが、この世代の車両からは行先表示機のフォントが見直され、ロンドン交通局で100年以上使われているJohnstonというフォントに寄せたビットマップフォントが採用されるようになりました。

 

Johnston最大の特徴とも言える「i」「j」「.」「,」などの“点”がダイヤになっているところは、さすがに縦16ドットというドット数の制約から再現されていませんが、Oが大文字小文字とも正円になっているところ、ユニバーサルデザインの波に逆らって小文字「g」がループテール型(難しいほうのg)の形をしているところなど、Johnstonを頑張って再現した様子が見てとれます。

 

放送文面と特徴

通常時

始発放送

The next station is Stockwell.

次はストックウェルです。

 

This is a Victoria line train to Walthamstow Central. 

この電車はヴィクトリア線 ウォーサムストウセントラル行きです。

 

運行情報

 

次駅放送

The next station is Green Park.

次はグリーンパークです。

 

Doors will open on the right hand side.

右手のドアが開きます。

 

Change for the Jubilee and Piccadilly lines.

ジュビリー線とピカデリー線は乗り換えです。

 

Exit for Backingham Parace.

バッキンガム球団へはお降りください。

 

This station has step-free access.

この駅には、バリアフリー経路があります。

 

運行情報

 

駅名→開扉方向→乗換案内→最寄り案内→バリアフリー設備→運行情報

が、基本的な案内の流れです。ヴィクトリア線は極端な曲線上にホームがある駅がないため、足元に注意するよう促す放送は流れません

 

到着後放送

This is Green Park.

ただいまグリーンパークです。

 

Change here for the Jubilee and Piccadilly lines.

ジュビリー線とピカデリー線はここで乗り換えです。

 

Exit here for Backingham Parace.

バッキンガム球団へはここでお降りください。

 

This station has step-free access.

この駅には、バリアフリー経路があります。

 

This is a Victoria line train to Walthamstow Central. 

この電車はヴィクトリア線 ウォーサムストウセントラル行きです。

 

運行情報

 

駅名→乗換案内→最寄り案内→バリアフリー設備→行き先→運行情報

次駅放送ではなかった'here'が挿入されています。

 

運行情報が複数重なった場合、到着放送がバカみたいに長くなるためたいてい途中で閉扉予告に被られて切れます。

運転士さんによっては運行情報放送を重視して閉扉予告を扱わない場合があり、そのときには扉が閉まっても延々とどの路線が遅れていると案内し続けます。到着後放送が録りたい場合は閉扉予告を扱わない運転士さんを探しましょう。そんなに粘らなくてもかなり高確率で見つかります。

 

次駅放送(次駅終点)

The next station is Brixton, where this train terminates. All change please.

次はブリクストン、この電車は次までです。皆様お降り願います。

 

Change for National Rail services.

ナショナルレールは乗り換えです。

 

National Rail services from Brixton are severely disrupted.

ブリクストンからのナショナルレールは、大幅にダイヤが乱れています。

 

Please remember to take all your personal belongings with you when you leave the train. All change please.

お降りの際は、お忘れ物のないようにご注意ください。皆様お降り願います。

 

忘れ物の注意放送について。日本語だと「お忘れ物のないように」と言うので'do not forget anything behind'と訳されがちですが、

イギリスでは「忘れるな」ではなく「確認しなさい」、つまり「お手荷物を全て持っているかどうかをお確かめください」というニュアンスで'Please remember/ensure to take all your personal belongings with you'と放送されています。

 

到着後放送(当駅終点)

This is Brixton, where this train terminates. All change please.

ただいまブリクストン、この電車はこの駅までです。

 

Change here for National Rail services.

ナショナルレールはここで乗り換えです。

 

運行情報

 

Please remember to take all your personal belongings with you when you leave the train. All change please.

お降りの際は、お忘れ物のないようにご注意ください。皆様お降り願います。

 

セブンシスターズ止まりの次駅放送と到着後放送

途中駅であるセブンシスターズ止まりの電車では、先へ行く旅客向けに専用の案内が用意されており、通常の乗り換え案内に続けて次の一文が読み上げられます。

 

Customers for stations to Walthamstow Central please cross to platform 3.

ウォルサムストウセントラル方面の各駅へお越しのお客様は、到着ホームの反対側3番のりばへお進みください。

 

 

次駅放送フル↓

 

The next station is Seven Sisters, where this train terminates. All change please. Doors will open on the left hand side.

Change for National Rail services.

Customers for stations to Walthamstow Central please cross to platform 3.

運行情報

Please remember to take all your personal belongings with you when you leave the train. All change please.

 

 

到着後放送フル↓

 

This is Seven Sisters, where this train terminates. All change please.

Change here for National Rail services.

Customers for stations to Walthamstow Central please cross to platform 3.

運行情報

Please remember to take all your personal belongings with you when you leave the train. All change please.

 

運行情報放送;ダイヤ乱れに関する放送

ヴィクトリア線もしくはヴィクトリア線のいずれかの駅から乗り換えができる路線が遅れた場合には、運行情報放送が入ります。

 

大幅遅れ

Metropolitan line is operating with severe delays.

メトロポリタン線は大幅な遅れで運転しています。

 

少し遅れ(minor delay)も放送自体は用意されていると思うのですが、設定されている場面には出くわしませんでした。

 

ダイヤ乱れ(日本でいう「遅れ、本数わずか」に相当)

National Rail services from Seven Sisters are severely disrupted.

Seven Sister駅からの都市間鉄道線は、大きくダイヤが乱れています

 

区間運休

London Overground is part suspended between Euston and Watford Junction

オーバーグラウンドは、EustonからWatford Junction間で一部運転を見合わせています

 

たまに区間が入力されておらず'... is part suspended.'で案内が終わることがあります。

 

運休

National Rail services from Victoria are suspended.

ヴィクトリア駅からの都市間鉄道線は、運転を見合わせています

 

特別ダイヤ

The Victoria line is operating a special service.

ヴィクトリア線は臨時ダイヤで運転しています

 

運行情報放送;駅設備に関する放送

バリアフリー設備使用停止

Tottenham Hale has no step-free access.

トッナムヘイルはバリアフリー経路がありません。

 

This station has no step-free access.

この駅はバリアフリー経路がありません。

 

バリアフリー設備が使用停止となっている駅に関してのみ案内します。もとからバリアフリー設備がない駅については案内しません。

 

エスカレーター一部使用停止

Green Park has reduced escalator service.

グリーンパークは一部のエスカレーターを使用中止としております。

 

This station has reduced escalator service.

この駅は、一部のエスカレーターを使用中止としております。

 

主要な動線上の駅設備が故障している+輸送指令員がその情報をキャッチしている+運行情報放送で案内する価値があると判断される、の3段階の条件があるので、滅多に設定されません。

この放送は、当該駅とその前後一駅でしか流れないよう設定されている=全区間で放送されないことがあるため、注意が必要です。

 

乗り換え通路一部閉鎖

Euston has reduced interchange access to National Rail services.

ユーストンは、ナショナルレールへの乗り換え通路が一部閉鎖となっています。

 

This station has reduced interchange access to National Rail services.

この駅は、ナショナルレールへの乗り換え通路が一部閉鎖となっています。

 

特に主要な乗り換え通路が閉鎖されたときに流れる…とかなのでしょうか。この放送が流れていた日に降りて確かめればよかったんですが、この日はトラブル続きで終日地下鉄全線がほぼダイヤ乱れとなっていたため、降りずにずっと地下を回っていました。

 

今回の滞在では録音できませんでしたが、'... has no interchange access'(乗り換え通路完全閉鎖)の案内も用意されていることにはされています。この調子だと'... has no step-free interchange access.'(バリアフリー乗り換え経路閉鎖中)とかまで用意されていそうですね。

参考:https://youtu.be/RQVf37UPBHU

 

駅閉鎖

Victoria Line trains are not stopping at Green Park.

ヴィクトリア線の電車はグリーンパークには停まりません。

↑多客混雑による臨時通過時に録音

 

Pimlico is closed.

ピムリコは閉鎖されています。

ストライキによる駅閉鎖時に録音

 

The next station is closed. This train will not stop at the next station.

次の駅は閉鎖されています。この電車は次の駅には停まりません。

↑いずれの場合も、通過駅に接近した時の放送は同じ文面であった

 

沼を感じる駅臨時通過の案内。駅閉鎖(全路線全列車が通過)と、営業駅の臨時通過(一部路線のホームが閉鎖されているだけで、その他の路線は当該駅に停車)によって2種類の音声を区別することがわかっています。

 

ところでPimlicoって駅名、響きがめっちゃ良くないですか。やたてつが決めるロンドンで好きな駅名第1位です。

 

事由が付帯する場合

The Hammersmith & City line is suspended due to planned engineering works.

ハマスミス&シティ線は、予定されていた保守工事のため運転を見合わせています。

 

The Hammersmith & City line is suspended due to earlier service disruption. Please use alternative routes.

ハマスミス&シティ線は、早くに発生したダイヤ乱れのため運転を見合わせています。ほかの経路をご利用ください。

 

Green Park is closed due to overcrowding.

グリーンパークは多客混雑のため、閉鎖しています。

 

ロンドン交通局が管理するUnderground、Overgroundの路線に関しては、全ての路線名と駅名が運行情報放送用に収録されているようです。一部区間運休の場合には、影響する区間を案内する際、「〇〇駅から××駅間で」のように、乗り入れしない線区の駅名でも放送に登場します。

一方、さすがにNational Rail(都市間鉄道)に関しては駅名パーツをカバーしているとキリがないため、「〇〇駅で乗り換えができるNational Railの電車は〜〜」のように乗り換え駅のみに触れ、そこから発着する電車に遅れがあるかどうかを案内します。

 

サークル線系統のS Stock車両ばりに遅延事由や代替経路に関する案内まで流すような詳細なものではありませんし、遅延事由も用意されているバリエーションが少ないみたいで滅多に案内してくれません。

 

マスク着用啓発

Please ensure you wear your face covering over your nose and mouth at all times when in the station and on the train unless you are exempt.

特別な理由がない限り、駅や車内では常に鼻と口をマスクで覆ってください。

 

It's there to protect us all.

それがみんなを守る方法です。

 

ボリスジョンソン首相が1月に「コロナの規制撤廃ね!」と言っても、しばらく交通機関は独自にマスク着用を促していました。現在はマスクを着用するという習慣とともに、この放送もきれいさっぱり消えちゃいました。

 

マニュアル放送

行き先設定放送

This is a Victoria line train to Seven Sisters.

この電車はヴィクトリア線 セブンシスターズ行きです。

 

ヴィクトリア線の旅客案内装置は、現在地点と終着駅を設定して初めて正常に案内が流れるようになっているようです。

急遽行き先を変更する際に現在地点が入力されないと、通常の始発放送のように次駅には触れず、行き先だけ案内する放送が変更が適用された瞬間の一度だけ入ります。これ以降一切放送は入りません。

 

閉扉予告

Please stand clear of the closing doors.

閉まるドアから離れてください。

 

ヴィクトリア線はロンドン地下鉄では珍しく、閉扉予告の放送が頻繁に扱われます。運転士によっては各駅で必ず扱う方もいらっしゃるので、その方に当たれば収録し放題です。

ただそのせいで、到着後放送が消されやすいという難点もあります。

 

赤信号停止

Sorry for the delay. We are currently being held at a red signal. We should be moving again shortly.

遅れまして申し訳ございません。ただいま赤信号で停止しております。すぐに運転を再開します。

 

一時的な運転見合わせ(抑止)は、holdという単語を使います。

 

運転間隔調整

This train is being held here to regulate the service.

この電車は、運行を調整するため一時的に運転を見合わせています。

 

S Stockの放送と比べて随分簡潔な案内になっています。

 

降車優先

Let passengers off the train first, please.

降りるお客様を先にお通しください。

 

レア放送。ほとんどの運転士さんは肉声で済ませてしまうため、めったに聞けません。

 

車内中ほどまでお詰めください

Please move right down inside the carriage and make use of all available space.

車内中ほどに詰めていただくとともに、空いているドアにも分かれてご乗車ください。

 

同上。レア放送の一種です。

 

回送電車

This train is not in service.

この電車は非営業です。

 

たまたま途中駅止まりの電車で録音した際に、降車を促進するため扱った運転士さんに出会しました。この放送を聞けたのは後にも先にもこの一度きりです。

 

乗り換え案内の秘密

簡潔にまとめると、ヴィクトリア線の車内放送は乗り換え案内に異常なくらい熱が注がれているということです。ヴィクトリア線の放送文中にみられる乗換案内から、機能面と音声面でちょっと面白い発見があったので、記事の最後に書き記しておきます。

 

まず音声面から。ヴィクトリア線車内放送の乗り換え案内は、次駅放送と到着後放送で別録りされた音声となっています。

 

文字起こしの項で記述した通り、次駅放送中の乗り換え案内は

Change for Bakerloo and Central lines.

 

対して、到着後放送中の乗り換え案内では

Change here for Bakerloo and Central lines.

 

次駅放送では見られない'here'が入ります。これら2つの放送を並べてみると次の通り。

 

 

 

たった一単語あるかないかの違いなのですが、それぞれ完全に別録りの音声となっているのです。

 

 

続いて機能面。ヴィクトリア線の車内放送で読み上げられる乗り換え案内は、各線区の運行状況(=運行情報放送の設定内容)に合わせて内容が組み替えられるようになっており、運休している路線は乗り換え案内から削除されます。

 

 

 

通常時のKing’s Cross St Pancras駅乗り換え案内

Change for Circle, Hammersmith & City, Metropolitan, Northern and Piccadilly lines, National and International Rail services.

 

メトロポリタン線運休時の放送

Change for Circle, Hammersmith & City, Northern and Piccadilly lines, National and International Rail services.

 

 

通常時のEuston駅乗り換え案内

Change for Northern line, London Overground and National Rail services.

 

Overground運休時の放送

Change for the Northern line and National Rail services.

 

 

このように乗換案内から一部路線が削除されると、路線名と路線名の間に通常時より長いタンマが入ること、一部の駅では通常時の乗り換え案内にはないtheが組み込まれているところから推測するに、乗り換え路線の部分削除時のみ完全に別録りした音声パーツを組み合わせて放送を流しているようです。

 

さすがに部分削除時の乗り換え案内は、次駅放送と到着後放送で'for'から先の部分が全く同じ音声パーツになっていました。

 

まとめると、ヴィクトリア線の車内放送は

・通常時の乗り換え案内(次駅放送用)

・通常時の乗り換え案内(到着後放送用)

・異常時の乗り換え案内

乗換案内だけで3種類の音声パーツを用意していることになります。ヴィクトリア線は市内の中心部を突っ切るため、乗り換え先として案内される路線も多いです。それで通常時2パターン、異常時複数パターンの放送を用意しているわけですから……必要な音声パーツを考えるだけでもぞっとします。

 

録音に際して

スピーカーは通路上の天井に埋め込まれています。ヴィクトリア線は小型の車両で運行されていますので、手持ちのマイクで普通に密着できます。

ただし、ロンドンは音鉄趣味に寛容な土地柄ではありません。不審に見える行動をとると最悪鉄道警察に逮捕されますので、日本と同じ感覚で直にマイクを密着するのは避けて、不審に見えずらい格好で録るようにしましょう。

また、スピーカーが微妙に嫌らしい配置になっていて、車両中ほどのスピーカーだとどこで録っても邪魔になりますし、不審に見えます。各車両端のスピーカーはまだ邪魔になりづらいですが、ヴィクトリア線は貫通路の窓を開けて運転しているため、車端部は発着時に強い風が吹き収録には不向きです。

先頭車両の一番後ろは発着時に吹く風が弱いため、先頭車両最後部ドア前のスピーカーが録音にはおススメです。密着するつもりがないのであれば、先頭車両一番前か最後部車両一番後ろが混雑しづらく録りやすいです。

 

あと、もう一つ気をつけなければいけない点として、自動放送の音量が本当にバグっています

わたくし、車内放送の収録にはTascamさんのDR-05というハンディICレコーダーと、Sonyの小型ピンマイクをセットで使用しているんですね。

で、このレコーダーは入力レベルを0〜100で設定できます。通常、車内放送を録音するときはレベル25〜45くらいで調整してちょうどいい具合なのに対して、ヴィクトリア線はなんと入力レベル0でも音割れするという大音量で放送を流してくれます。初めて密着したときは最低レベルに設定しても音割れしだして、マジで意味がわかりませんでした。そういうわけで、音割れに強い装備で挑みましょう。

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