イギリスの夜行列車「Caledonian Sleeper」(カレドニアン・スリーパー)を体験

イギリスでは2022年現在、3本の夜行列車が運転されています。

 

 

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1つがパディントン発、イギリス南西のPenzanceへ向かう、Great Western Railwayの「Night Riviera」。1日1往復のみ、土曜日は運休です。

 

 

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あとの2本がちょっと変わり種です。

 

それがユーストン発、北はスコットランドへ向けて運転されている「Caledonian Sleeper」。

こちらは2往復運転されていますが、1本目「Highlander」は途中の駅で3本の別々の電車に、2本目「Lowlander」も2本の電車に分かれスコットランドにある5つの異なる都市(エディンバラグラスゴーなど)が終点になっているという、面白い運転形態をしています。こちらも土曜日は運休です。

 

せっかくイギリスに来たなら、一生に一度乗れるかわからないイギリスの夜行列車に乗ってみたいじゃないですか。というわけで、この変わり種の「Caledonian Sleeper」で、スコットランドの首都エディンバラEdinburgh)まで往復してきました。

 

往路 座席車

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一度快適なものを知ってしまったら、レベルを下げるのは気が引けますので、往路は格安な座席、復路は個室を取ることにしました。

 

Caledonian Sleeperには「座席車」(Seated Coach)があります。それもサンライズ号の「ノビノビ座席」のようななんちゃって雑魚寝シートではなく、完全な座席車両です。

さっそく車内を見ていきましょう。

 


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ずらーっと座席が並んでおります。座席は転換不可能で、向きが固定されています。(座席転換ができないのは、イギリスでは当たり前です)

 


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座席にはテーブルとコンセント、USB充電口が装備されています。電子機器の充電で困ることはなさそうですね。

 


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座席にリクライニング機能は有りません。座席横のボタンを押すと、座面が10cmくらい前に出て、気持ち背もたれが腰に優しくなる機能が装備されています。

 


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座席には耳栓・アイカバーと、車内飲食メニューが置かれています。

 


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頭上には暗証番号式の貴重品ロッカー(めっちゃ小さいので注意!)と、呼び出しブザー。この呼び出しボタンを押すと、客室乗務員が来てくれるので、飲食の注文などが可能です。

 

 

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また座席車では、始発駅出発前に室内灯が減灯されます。

 

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料金は曜日によって変動します。乗車した時点では、片道の乗車券込みの料金が50〜70ポンド(=8,000〜12,000円)となっていました。

夜行バスでロンドン〜エディンバラを移動すると30ポンド以下に抑えられるので、夜行列車で座席に一夜座るのを体験してみたいという方以外にはオススメできないかな……というのが個人的な感想です。

 

復路 個室寝台

今回は、個室の中でも安い方の個室「Classic Room」を取ってみました。

Caledonian Sleeper には1人用個室が存在しないため、1人で利用する場合には、2人用個室をソロ利用することになります。さっそく中を拝見!

 

 

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これは絶対に良いですね(小並感)

 

今回は、残室の都合で車椅子対応の広めの部屋が割り当てられました。通常の個室だと窓の前に洗面スペースがあってすぐ壁になっているようなので、2部屋+α分の広さがある部屋を使ったことになります。

 

 

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ベッドは2段。だいたい長さ180cm、幅50cmくらいです。一般的な体格の日本人なら、特に窮屈に感じず寝られるのではないかと思います。

 


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個室内に専用の洗面台もあります。

ちなみにもう一個グレードが高い「Club Room」では、なんと個室内に専用のシャワールームがあるうえ、朝食が無料で付いてきます。こちらは予約時点で完売しており、乗車することは叶いませんでした。無念。

 


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個室はルームキー式となっています。室内からはボタン操作で、室外からはカードリーダーにカードをタッチすることでドアと鍵の開け閉めができます。

 


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室内にはコンセントとUSB充電口がたっぷりあります。また、室内灯の明るさ、空調の温度も調節可能です。

当然ですが、コンセントはイギリス規格のソケットなので、日本のプラグ(アメリカと同規格)を使いたい場合には、イギリス→アメリカのコンセントへの変換器が必要となります。

 

 

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座席車両と同じく耳栓、アイマスクと車内販売メニューが室内に用意されています。また、個室ではハンドタオルも人数分用意されています。

 


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こちらは翌朝の朝食に関する予約タグです。

今回は頼みませんでしたが、朝食を頼む場合には、これにチェックを入れてドアに掛けておくと客室乗務員が回収し、翌朝、降車駅到着前に食事が受け取れるようです。

裏面は、万が一列車が遅延した場合に個別の案内を希望するかのアンケートとなっています。基本的にCaledonian Sleeperでは車内アナウンスがありませんので、必要な方にのみ個別に案内する仕組みをとっているようです。

 

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こちらの個室も料金が日によって異なりまして、190〜260ポンド(30,000〜40,000円)となっています。

 

寝心地はかなり良かったです。高いだけあってサービスも行き届いているなと感じました。心の底からおススメできます。

 

シャワーがない個室に乗車し、どうしてもシャワーが利用したくなった場合は乗務員に申し出ると、翌朝にターミナル駅のシャワールームを5ポンド(約750円)で利用できます。

 

おわりに

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初めて海外の夜行列車を体験しましたが、総合的には大変満足しました。特に個室は設備が充実していて、寝心地も良く文句なしです。

コンセントが余るくらい用意されているので、スマホなど電子機器の充電には全く困らないのも、現代の需要に合わせた設計がなされているという点で高評価したいです。また、空調の温度を自分で調整できる点も良いですね。快適に乗車できました。

 

 

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ダイヤはかなり余裕を持って設定されているようですので、万が一の遅れについても、そこまで心配しなくてよさそうです。

 

こちらは復路で乗車したロンドン・ユーストン行きの運転記録です。エディンバラ発着のCaledonian Sleeperは、大部分の区間グラスゴー発着の車両と併結して運転します。

で、グラスゴーからの車両が途中でおよそ20分遅れたため、連結を行う駅を20分遅れで出発したのですが、次の停車駅までに遅れを回復してしまい、何なら終点のユーストンには20分早着するという、回復運転どころかオーバーヒール運転を見せてくれました。

 

イギリスには、電車が30分以上遅れると運賃を一部もしくは全額返金しないといけない制度があるため、少し遅れても回復できるよう終点到着時刻に20分ほど含みを持たせてあって、普通に運転すればその分早着するようになっているのではないかなと思います。

 

至れり尽くせりの寝台列車。イギリスを訪れた際にはぜひ乗ってみてくださいね!

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