イギリスの車内放送 地下鉄S Stock車両編(サークル線・ディストリクト線・メトロポリタン線・ハマスミス&シティ線)

11か月間のイギリス滞在で録音した放送を少しずつ放出していきます。まずは一番聞いていただきたいS Stock車両の車内放送から投稿します。

 

注目ポイントは3点です↓

ロンドン地下鉄の車内放送といえばこれっ! 4路線で同じ仕様の放送が使用されています。

・イギリス英語でも特にトゲトゲした発音に注目

・世界最高水準?! 「超」詳細な運行情報放送を楽しもう

 

 

車両概要

 

S Stock車両は、ロンドンの中心部を走るサークル線(環状線)と、サークル線に乗り入れるディストリクト線・メトロポリタン線・ハマスミス&シティ線で運用されている車両です。2009年から順次導入、2016年に整備完了したばかりになります。

 

ロンドン地下鉄といえば、「Tube」(チューブ)の愛称で親しまれているように、頭がつきそうなくらい小さな車体の列車を想像しがちですよね。

ところが、上記路線で運用されているS Stock車両は写真の通り、日本の私鉄やJRで見かける通勤列車とほぼ同じ大きさの車体です。もちろん冷房も完備。暑い夏も快適に移動できます。

 

はたして、大型の車両が運用できたのにはどのような理由があったのでしょうか。

 

Sub-surface line

▲世界初の地下鉄線として開業した区間の途中駅であるBaker Street駅を発車するS Stock車両

 

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S Stock編成が走るサークル線・ディストリクト線・メトロポリタン線・ハマスミス&シティ線の4路線は、ロンドン地下鉄の路線網でも特に歴史が古く、世界で初めての旅客地下鉄線として開業した区間を走るところもあります。

 

これら4路線はまだトンネル掘削技術が発達していなかったころに建設されたため、基本的に開削工法(地面に深い溝を掘って、そこに天井でふたをし地下空間を作る工法)で建設された区間が大部分を占めます。この特徴から、地下深くを走る路線と区別するためSub-surface lines*と呼ばれることがあります。

*ちなみに、地下深くをシールド工法で掘削した路線の区別は'Deep-level tube lines'です。

 

これらの路線が開業した当初は電車というもの自体が発明されておらず、地下鉄区間でも機関車で客車をけん引して運転してました。機関車を通す都合でトンネル自体を広く掘ってあったため、冷房ありの大型車両を容易に導入できたというわけです。

 

放送設備

続いて、車内放送について見ていきましょう。車内放送の担当はSarah Parnell氏です。

 

 

 

案内設備は当時最新のものが装備されています。その目玉が運行情報案内機能です。S Stock車両の車内放送は、運行情報放送の存在を加味すれば世界で最も優れた車内自動放送であると言い切っても過言ではありません

 

自路線や乗り換え路線で大幅な遅れが発生した場合、駅が閉鎖された場合などに、輸送指令の指令員が運行情報案内を設定すると(←超重要)、自動放送に運行情報案内が追加されます。

「輸送指令が設定すると」という但し書きからわかるかもしれませんが、この放送は隠し機能的なものらしく、頻繁に設定されるものではありません。常に使われるものではないというのが残念なところですが、それを差し置いても非常に素晴らしいものです。

 

11か月間の滞在中、S Stockが走る路線で遅延が起きれば狙って乗車してみましたが

 

・ピカデリー線 エスカレータ工事によるSouth Kensington(サウスケンジントン)駅閉鎖

・設備故障によるディストリクト線大幅遅れ

・信号トラブルによるディストリクト線大幅遅れ

・保守点検によるディストリクト線一部運休

ストライキによるディストリクト線大幅遅れ

・Earl's Court(アールズコート)駅 エスカレーター故障による別駅乗り換え依頼

・Barking駅付近での信号ケーブル破損行為

 

以上7つのイレギュラーな運行情報案内と

 

ストライキによる人員不足に伴うTemple(テンプル)駅閉鎖

ストライキによる人員不足に伴う Mansion House(マンションハウス)駅閉鎖

人員不足によるMansion House駅閉鎖

人員不足によるGreat Portland Street(グレートポートランドストリート)駅閉鎖

人員不足によるBow Road(ボウロード)駅閉鎖

 

以上5つの駅閉鎖に関する案内放送を記録することができました。放送文面は後程ご紹介しています。

 

日本では滅多に聞けない車内放送での詳細な運行情報自動放送! といっても万能なわけではなく、欠点があります。

 

・1駅/区間あたり最大1つの運行情報しか設定できない

区間ごとに異なる運行情報を流すことはできますが、一つの区間に複数の案内を設定することができないようです。同じく車内自動放送が運行情報を流すことができるヴィクトリア線では、最大6つまでの運行情報を同時に案内できるため、その面では劣っています。

 

・すべて輸送指令の係員次第

運行情報放送は自動で設定されるものではなく、輸送指令から送信された内容を放送する形になっています。輸送指令で運行情報放送が設定されない場合、列車の運行状況に関わらずこの放送は流れません。

 

…というか、たぶん輸送指令の中に1人、物好きの指令員さんがいらっしゃる(いらっしゃった?)んですよね。その方がいらっしゃるかどうかで設定されるかどうかが左右されます。いらっしゃれば高確率で運行情報案内が設定されますし、おられなければ大きくダイヤが乱れても駅が閉鎖されても何も言ってくれません。

 

・放送装置更新により長期間使用停止になることがある

そんな運行情報放送なのですが、2022年6月ごろから設定頻度が激減し、駅閉鎖の案内すらも滅多に設定されなくなりました。何事かと思っていたら、思わぬところから答えを見つけることができました。

 

 

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こちら、2021年に変更された線路や停車位置に関する情報がまとめられた、職員向けの内部資料です。オークションサイト(ebay)に転がっていたので落札して読んでみたところ、S Stock車両の運行情報放送に関する記述がありました。内容を要約すると、

 

車内放送装置の更新中は、S Stock編成の運行情報放送の使用を制限・中止する

S Stock編成は、新規開業したエリザベス線に対応させるための更新、その後も文面を少しいじる小規模な放送更新を6月ごろから繰り返しており、それら放送更新が完了するまで使用が制限されているようです。

 

 

放送の内容だけではなく、流れる区間や頻度も、輸送指令からの設定次第で変わります。

特定の駅でのみ放送されるケースと、各駅到着前放送で毎駅繰り返し放送されるケースの2通りがあります。後者の場合、影響する区間を通り過ぎても同じ情報を永遠と繰り返していることがあります。

 

この運行情報放送ですが、駅閉鎖の案内については設定される確率が比較的高いので、閉鎖されやすい駅をマークして粘り続ければ録れるかもしれません。閉鎖されやすい駅は次の通りです。

 

 

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上に掲載した路線図で赤く塗ってある駅が、頻繁に閉鎖される駅となります。うちS Stock車両が走るDistrict線(路線図緑色)が関連している駅は2駅あります。

 

District線・Circle線 Temple, Mansion House

Northern線(Charing Cross経由) Goodge Street

Piccadilly線 Caledonian Road

Central線 Lancaster Gate

 

放送文面

お待たせしました、各種放送の文面を見ていきます。

 

始発放送

This is a District line train to Tower Hill.

この電車はディストリクト線 タワーヒル行きです。

The next station is Ealing Common.

次は、イーリングコモンです。

 

始発放送は、終着駅到着後の放送が流れおわるとすぐに流れます。録音する場合には、列車の到着をホームで待っておき、ドアが開くと同時に車内に入る必要があります。降車客が少ないドアを選びましょう。

もしくはフリー切符を買っておき、前の駅から乗車して折り返し乗車するのもありです。

 

始発放送は、途中駅で流れる到着後放送の行先案内と文面が似通っていますが、ドアカットの案内を行わないという違いがあります。

 

種別を流す場合

メトロポリタン線では通過駅のある快速電車が運転されているため、通過運転がある区間では種別を案内します。

 

各駅停車↓

This is an all stations Metropolitan line train to Amersham.

この電車はメトロポリタン線の各駅停車 アマシャム行きです。

 

The next station is Liverpool Street.

次は、リヴァプールストリートです。

 

準快速

This is a semi-fast Metropolitan line train to Amersham.

この電車はメトロポリタン線の準快速 アマシャム行きです。

 

The next station is Liverpool Street.

次は、リヴァプールストリートです。

 

快速↓

This is a fast Metropolitan line train to Amersham.

この電車はメトロポリタン線の快速 アマシャム行きです。

 

The next station is Liverpool Street.

次は、リヴァプールストリートです。

 

通過駅がある電車でも特段停車駅を案内することはなく、次の駅だけ案内します。

 

補足 無茶なのに自然な種別・行き先案内

この行き先・種別の案内文は、かなり無茶な形で切り方で分けた音声パーツをつないでいます。意識せずに聞いていると自然に聞こえますが、耳を澄まして'This is a ○○ line'の部分を聞いてみてください。

……路線名の直前に音の途切れ目が見つかりませんか?

 

This is a (an) / 種別 / 路線名 line / train / to (via) / 行き先.

↑スラッシュ位置で別々の音声パーツを合成している

 

そうなんです。'This is a ○○ line'で一連の音声パーツかと思いきや、路線名部分は別の音声パーツになっているんですね。

 

たとえば'This is a District line train to Olympia.'という放送は

 

This is a

District line

train

to

Olympia.

 

以上5つの音声パーツを合成しています。

 

'This is a semi-fast Metropolitan line train to Watford'だと

 

This is a

semi-fast

Metropolitan line

train

to

Watford.

 

の6つの音声パーツをつないでいて、これだけ細かく分けているのに自然に聞こえるのは驚きです。

 

次駅放送

例1

The next station is Ealing Common. Change for the Piccadilly Line.

次は、イーリングコモンです。ピカデリー線は乗り換えです。

 

Mind the gap between the train and the platform.

電車とホームの隙間にご注意ください。

 

The rear two doors will not open at the next station. Please use other doors.

後ろ2か所のドアは次の駅では開きません。そのほかのドアをご利用ください。

 

Mind the gap between the train and the platform.は電車とホームの間に隙間がある駅でのみ流れます。この放送のみ男声放送が担当しています。声優さんはDan Akers氏です。

ドアカット案内は、ドアカットが行われる車両内でのみ流れます。この放送を録音したい場合、先頭車両か最後部車両に乗車しましょう。

 

日本でよく見聞きする'Please change here for...'は、ロンドン地下鉄のこの放送から輸入されたと考えられます。イギリスではふつう命令文の形で'Change'から始め、pleaseを付けません。もちろん命令文の形はしていますが命令しているわけではなく、'You can change for'から主語と助動詞を省いただけです。

 

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▲please changeではなくchangeから命令文の形で書く

 

 

例2

The next station is Westminster.

 次は、ウェストミンスターです。

 

Change for the Jubilee line.

ジュビリー線は乗り換えです。

 

Exit for Westminster Abbey, the Houses of Parliament, and Riverboat services from Westminster Pier.

ウェストミンスター寺院・国会議事堂と、ウェストミンスター船着場からのリバーボートへはお降りください。

 

Mind the gap between the train and the platform.

電車とホームの隙間にご注意ください。

 

特に主要な観光施設の最寄り駅到着前放送では、降車案内が入ります。

 

次駅放送(快速の通過運転区間

準快速はBaker StreetとHarrow-on-the-Hill駅間で、快速はHarrow-on-the-Hillの先のMoor Park駅まで通過運転を行います。快速列車は市内方面が朝ラッシュ時間帯、郊外方面が夕ラッシュ時間帯に走ります。準快速も同様ですが、日中やラッシュ時間帯の逆方面にも数本設定されています。

通過運転がある特殊な運行形態となるため、快速・準快速では、次のような専用の案内が挟まれます。

 

南行Baker Street方面行き 快速 Moor Park到着前放送

The next station is Moor Park. Change for Metropolitan line services to Watford and stations to North Harrow.

 

次はモアパークです。メトロポリタン線のワトフォード行きと、ノースハロウまでの各駅へは乗り換えです。

 

夕方の北行 快速・準快速

Wembley Park駅には夕方の快速・準快速のみ停車します。このため、夕ラッシュ時間帯の快速列車では、一部駅の到着前放送および到着後放送で、Wembley Park駅に停まる旨の案内が入ります。

 

This train calls at Wembley Park.

この電車はウェンブリーパークにも停まります。

 

北行 快速・準快速 Finchuley Road到着前放送

Finchuley Roadは北行き快速列車で通過運転が始まる直前の駅に当たります。このため、次のような特殊な乗換案内が入ります。

 

The next station is Finchuley Road. Change for the Jubilee line and for all-stations Metropolitan line trains

次はフィンチュリーロードです。ジュビリー線と、メトロポリタン線の各駅停車は乗り換えです。

 

夕方の北行 快速・準快速 Wembley Park到着前放送

次の停車駅までに通過する2駅への乗り換え案内が入ります。

 

The next station is Wembley Park. Change for the Jubilee line and Metropolitan line services calling at Preston Road and Northwick Park.

次はウェンブリーパークです。ジュビリー線と、プレストンロード・ノースウィックパークに停車するメトロポリタン線の電車は乗り換えです。

 

特殊な乗換案内

一部の駅ではちょっと変わった乗換案内が入ることがあります。

 

 

特定の行き先に向かう電車を案内する場合

'services'という文言が入ったり入らなかったり。

 

Change for the District line to Richmond.

リッチモンド行きディストリクト線は乗り換えです。

 

Change for Metropolitan line services to Uxbridge and Watford and National Rail services.

メトロポリタン線のアックスブリッジ・ワトフォード行き電車と、ナショナルレールは乗り換えです。

 

 

このように方面を案内するのは通常、同路線の支線に対してのみなのですが、メトロポリタン線 Amersham駅到着前放送の乗り換え案内では、同じ線路を走るNatonal Railの行き先を案内します。

 

Change for National Rail services to Aylesbury.

ナショナルレールのエアズブリー方面行きは乗り換えです。

 

ディストリクト線 Earl’s Court到着前放送

Change for the Piccadilly line and the District line services to other destinations.

ピカデリー線と、ほかの方面へ向かうディストリクト線の電車は乗り換えです。

 

Earl's Court駅では、ディストリクト線の電車が5方面へ発着しており、そのうちKensington (Olympia)駅へ向かう電車は土休日と平日のラッシュ時間帯しか運転されていません。複数の方面を流したくなかったのか、時間帯により方面の案内を変えることを嫌ったのか、どの方面のディストリクト線の電車に乗り換えができるのかをぼかした案内が流れます。

 

異なる駅名から発着する路線を乗り換え先として案内する場合

Change for the Circle Line, DLR from Tower Gateway and National Rail services from Fenchurch Street.

サークル線と、タワーゲートウェイ駅からのDLRフェンチャーチ駅からのナショナルレール線は乗り換えです。

 

「路線名 from 駅名」の形で案内します。

 

方面を案内する場合

Change for Circle- and District-line services via High Street Kensington.

サークル線とディストリクト線のハイストリートケンジントン方面は乗り換えです。

 

Change for the Hammersmith & City line via Liverpool Street and King's Cross St. Pancras.

ハマスミス&シティ線、リヴァプールストリート、キングスクロス・セントパンクラス方面は乗り換えです。

 

「via 経由地」で案内。終点の手前にある主要駅を経由することを案内する場合に使われます。

 

特定の方面へ向かう電車の発着があることを案内する場合

Change for the Piccadilly line including services to Heathrow.

ヒースロー空港行きを含めたピカデリー線は乗り換えです。

 

Change for London Overground and National Rail services including services to Olympia London.

オリンピアロンドンへ向かう電車を含めたロンドンオーバーグラウンドとナショナルレールは乗り換えです。

 

・乗り換え先の路線には複数の方面へ向かう電車が運転されているが、

・特定の駅へ行く電車の行き先だけを強調して案内したい

場合に使われるのがこの案内です。

 

日本語にはない表現で自然な訳が難しいです。2文に分ければなんとか↓みたいな自然な訳にはできます。

「ピカデリー線は乗り換えです。ヒースロー空港へお越しのお客様は、ピカデリー線へお乗り換えください」

「ロンドンオーバーグラウンドとナショナルレールは乗り換えです。オリンピアロンドンへお越しのお客様もここでお乗り換えください」

 

次駅放送に付帯する特殊な案内

特定の駅では次の特殊な案内が入ります。到着後放送にも付帯する案内があります。

 

Baker Street 東行「すべてのドアが開きません」

ドアカット案内のひとつです。1両すべてのドアが全部締め切りになるのは、S Stockが運用に入る路線でここだけ。

 

All doors in this car will not open at the next station. Please use other doors.

次の駅では、この車両のすべてのドアが開きません。ほかのドアをご利用ください。

 

Barking 東行「エレベーターは左側のホーム」

For mobility impaired lift access, face the front of the train and use the doors on the left.

体が不自由なお客様用のエレベーターをご利用の方は、進行方向に向かって左側のドアをご利用ください。

 

Barking駅東行ホームは線路の両側にホームが面しており、うち片側しかエレベーターが設けられていないため、この案内が入ります。

 

Ladbroke Grove 東行「隙間と段差に注意」

'Mind the gap between the train and the platform.'も同様に流れるため、「隙間に注意」と「隙間と段差に注意」が続けて流れることになります。

 

Please mind the gap and the step between the train and the platform.

電車とホームの間に隙間と段差がありますので、ご注意ください。

 

ちなみに、段差に気を付けるよう促す放送が流れるのはロンドン地下鉄全線でこの駅の東行到着前放送のみです。この駅と同様に逆段差(電車の床がホーム床面よりも低くなり、降りるときにホームへ向かって段差を上らないといけない状態)が生じるのはロンドン地下鉄では珍しくないのですが、ここ以外の駅では一切触れてくれません。

 

到着後放送+行先放送

Mind the gap between the train and the platform.

電車とホームの隙間にご注意ください。

 

This is Ealing Common.

ここは、Ealing Commonです。

 

The rear two doors will not open here. Please use other doors.

後ろ2か所のドアはこの駅では開きません。そのほかのドアをご利用ください。

 

 

This is a District Line train to Tower Hill. 

この電車はディストリクト線 Tower Hill行きです。

 

The next station is Acton Town.

次は、Acton Townです。

 

The rear doors will not open at the next station. Please use other doors.

後ろのドアは次の駅では開きません。そのほかのドアをご利用ください。

 

テンプレ文はこんな感じです。行き先を毎駅到着後に流すので、行き先放送はまず録り逃しません。

区間によってはドアカットを行う駅が続くことがあります。地下鉄のドアカットも日本だとみられないので、新鮮ですよね。

 

到着後放送+行先放送(次駅閉鎖時)

This is Embankment.

ここは、Embankmentです。

 

 

This is a District Line train to Tower Hill. 

この電車はディストリクト線 Tower Hill行きです。

 

Temple station is closed.

Temple駅は閉鎖しています。

 

The next station is Blackfriars.

次は、Blackfriarsです。

 

閉鎖されている駅がある場合、その1つ前の駅到着時の放送で「○○駅は閉鎖中です。次の駅は△△です」という案内が入ります。

この変則的な案内は、到着後放送実施までに、車両側の旅客案内装置に駅閉鎖の情報が入力されている場合に限り流れます。後述する運行情報案内機能の駅閉鎖案内が流れていたとしても、駅閉鎖の設定は運転士が別に行う必要があり、設定されていない場合には通常時と同じ放送が流れます(閉鎖されている駅を次の停車駅として読み上げます)。

またこの放送は、連続した二駅以上が閉鎖されている場合の案内を考慮していない(もしくはそのような設定ができない)らしく、連続した二駅以上が閉鎖された場合でも、次の駅のみが閉鎖されており次々駅に停車するという案内を流すため、このような場合には肉声放送頼りになります。

 

次駅放送(次駅終点)

The next station is Tower Hill, where this train terminates.

次はTower Hill、この電車の終点です。

↑ここ、関係副詞の例文としてかなり良い放送文です。直訳「次は、この電車が運転を終えるTower Hill駅です」

 

Change for the Circle Line, DLR from Tower Gateway and National Rail services from Fenchurch Street.

サークル線と、Tower Gateway駅からのDLR、Fenchurch Street駅からの都市間鉄道線は乗り換えです。

 

Please take your belongings with you when you leave the train. 

お忘れ物の無いようにご注意ください。

 

All change.

皆様お降りください。

 

Mind the gap between the train and the platform. 

電車とホームの隙間にご注意ください。

 

’All change’・'All change please.'「皆様お降りください」は、イギリスにいれば必ず聞く案内文の1つです。ロンドン地下鉄では、全路線で終点駅到着時にこの放送が流れるようになっています。

 

終点駅到着後

Mind the gap between the train and the platform. 

電車とホームの隙間にご注意ください。

 

This is Tower Hill, where this train terminates.

ここはTower Hill、この電車の終点です。

 

Please take your belongings with you when you leave the train. 

お忘れ物の無いようにご注意ください。

 

All change.

皆様お乗り換えください。

 

折り返し電車の行き先が入力されている場合、これが流れ終わった数秒後に、始発放送が入ります。

 

オプション放送

手動で設定した際に流れる放送です。

 

行先変更

The destination of this train has now changed.

電車の行き先がただいま変更となりました。

 

This train is now a District Line train to Plaistow. 

この電車は現在、ディストリクト線のPlaistow行きです。

 

Please change where necessary.

必要な場合は乗り換えてください。

 

行き先が運転士によって変更されたときに自動で流れます。nowが2回出てくるのにちょっとニュアンスが違う、語学的には面白い放送です。

 

日本だったら行先変更と同時に「お急ぎのところ大変ご迷惑をおかけします」など詫びの一言をいれそうなものですが、ロンドンの地下鉄はこの通り、行先変更したという事実を伝えるだけの非常に業務的な放送となっています。

それはそうと、自動放送が行先変更を案内すること自体がすごいですよね。2009年以降に導入された車両では行先変更放送が標準装備されているようで、今年開業したばかりのエリザベス線を走る車両でも行先変更放送を確認しました。

 

閉扉予告

This train is ready to depart. Please stand clear of the doors.

まもなく発車します(出発準備が整いました)。ドアから離れてください。

 

ターミナル駅や始発駅出発時に流れることがあります。

日本の「扉が閉まります。ご注意ください」に当たる放送がこれです。残念ながらあまり使われません。無言でドアを閉めるか、肉声で足早に一言挟むケースがほとんどです。

 

赤信号停止

This train is being held at a red signal and should be moving shortly.

この電車は赤信号で停車中です。すぐに運転を再開する予定です。

 

イギリスでは、抑止(運転を一時的に見合わせること)を'hold'という動詞を使って案内します。

ロンドン地下鉄では、90秒以上抑止になった場合に何かしらの放送を挟むルールとなっており、ダイヤ乱れで列車がどん詰まりになるとこの放送が扱われやすくなります。赤信号による停止の中で一番扱われやすい放送がこれです。

 

同文中のshouldは、ここでは「~するはずである」「~して当然だ」という推量の意味を表しています。

 

ホーム満線

This train is being held here, awaiting a vacant platform at the station ahead.

前にある駅の空きホームを待つ間、ここで運転を見合わせます。

 

Please await further announcements.

次の放送をお待ちください。

 

vacant ... 空き、空席

 

赤信号抑止以外にも停車理由を詳しく述べる放送が用意されています。その一つがホーム満線による抑止。

内容自体ハイレベルですが、文法を見てみると分詞構文(赤太字)が使われており、文法的にもかなりハイレベルな放送となっております。

 

運転間隔調整

This train will be held here to even out the intervals between trains.

この列車はこの駅で、列車間の間隔を均等にするため運転を見合わせます。

 

London Underground apologizes for any inconvenience caused.

ご迷惑をおかけしますことを、ロンドン地下鉄よりお詫びします。

 

even out ... 均等にする

interval ...「インターバル」。ここでは運転間隔を指します。

 

行先変更でも赤信号停止でも詫びないロンドン交通局が詫びを言う珍しい放送です。遅れをお詫びしてくれる放送は、確認できた限りこの1つのみでした。

 

駅閉鎖・臨時通過

The next station is closed and this train will NOT be stopping there.

次の駅は閉鎖中で、この電車は停まりません。

 

Please use an alternative route to reach your destination.

別のルートをご利用ください。

 

alternative ... 代替の

 

次駅閉鎖の放送とは別に用意されています。駅閉鎖には何度も遭遇しましたが、この放送を扱う運転士さんはけっこう少ないです。わざわざ案内装置を扱うことになるので煩わしいのでしょうね。

 

降車優先

Please let customers off the train first.

先にお客様を下ろしてください。

 

かなりのレア放送。滅多に聞けません。

 

車内中ほどまでお詰めください

Please move right down inside the cars.

車両の中へ立ち止まらずに進んでください

 

move ... inside the cars 車両の中に進む

    +

right ... まっすぐに(立ち止まらずに)

down ... 遠ざかる

 

move right downはよく聞く表現です。'Please move right down the platform, move right down the train.'

 

座席譲り合い

Please give your seat to others who might need it more.

あなたよりも座席が必要と思われるお客様に席をお譲りください

 

'who might need it more.'の語感がすごく心地よい放送。これもあまり狙って聞けません。

 

物乞い無視

ロンドンの地下鉄には当たり前のように物乞いやホームレスがいて、小銭を要求したり、タバコを押し売りしたりするような行為が行われています

もちろん交通局として、交通機関でそういう行為が横行しているのは好ましい事態ではないので、物乞い・押し売りを無視をするよう促す放送が用意されています。

 

There are beggars and buskers operating on this train.

物乞いやパフォーマーがこの電車で活動しています。

 

Please do not encourage their presence by supporting them.

彼らに金品を渡さないでください(直訳 彼らをサポートして彼らの存在を助長しないでください)

 

begger ... 物乞い

busker ... パフォーマー大道芸人

encourage ... 励ます、促進する

presence ... 存在

 

運行情報放送

お待ちかね、運行情報放送のお時間です。文が長く複雑なため、一文ごとに区切って紹介します。

 

ディストリクト線 信号トラブル 一部区間運転見合わせ

The District Line is part suspended in both directions between Barking and Upminster due to a local equipment failure at Barking.

There is a reduced services operating on the rest of the line.

Please change where necessary to continue your journey. 

 

=================================

 

The District Line is part suspended in both diections between Barking and Upminster due to local equipment failure at Barking.

ディストリクト線は、Barking駅で発生した線路脇設備の故障のため、Barking-Upminster間の上下線で一部区間運転を見合わせています

 

The District Line is part suspended

ディストリクト線は、一部区間運転を見合わせています

 

in both diections between Barking and Upminster

Barking-Upminster間の上下線で

in both directions ... 両方向で(上下線と意訳しました)

 

due to local equipment failure at Barking.

Barking駅で発生した線路脇設備の故障のため

 

 

There is a reduced service operating on the rest of the line.

そのほかの区間は、通常よりも少ない本数で運転しています。

 

There is a reduced service operating

減便運転が行われています

 

on the rest of the line.

そのほかの区間では

 

rest ... 残り

the rest of the line「その路線の残りの区間」→「そのほかの区間

 

一部区間運転見合わせ、一部区間閉鎖のように「一部区間」と言いたい場合には、'part suspended'、'part closure'のようにpartを使います。

 

 

Please change where necessary to continue your journey.

目的地にたどり着くのに、乗り換えが必要となることがあります。
(直訳 旅行を完遂するため、乗り換えが必要な時には乗り換えてください)

↑これも関係副詞、さらに主語動詞の省略が行われています。省略せずに書いた場合は'Please change where it is necessary to continue...'

 

ディストリクト線 信号トラブル 大幅遅れ

District line has severe delays due to a signal system failure.

Tickets may be used on local buses, c2c, the Elizabeth line and South West Trains.

Customers may experience delays. Customrs should listen for further information as their journey progresses.

 

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The District Line has severe delays due to a signal system failure.

ディストリクト線は、信号トラブルの影響で大幅に遅れています。

 

'has delay'で「遅れがある」と言っても通じるんですね。目から鱗でした。

ちなみに信号トラブルが起きたのは、先の放送と同じくBarking駅構内です。

 

 

Tickets may be used on local buses, c2c, the Elizabeth line and South West Trains.

きっぷは路線バス、c2c、エリザベス線と、サウスウェストトレイン*で利用できます

 

ここでのmayは許可「〜することができる」を表しています。

 

c2cは会社名です。ロンドン市街と東海岸地域を結んでいます。名前の由来がはっきりしておらず、'City to Coast'なのか'Sea to Sea'(seaとCは発音が同じ)なのか、もしくは別の由来があるのかなど議論されていますが、公式の解答は出ていないようです。

South West Trains*も会社名ですが、2017年から母体会社が変わったため、現在は社名が'South Western Railway'に変わっています。エリザベス線関係の案内を追加収録した際に録り直さなかったんですね。

 

 

Customers may experience delays.

この先遅れる可能性があります。(直訳 お客様は遅れを経験するかもしれません)

 

先ほどと違い、ここでのmayは推量「かもしれない」を表しています。

 

 

Customers should listen for further information as their journey progresses.

この先の案内放送にご注意ください(直訳 旅行が進んでいる間、続報に耳を傾けてください)

 

'listen'と来たら続くのは'to'、そういう固定概念を打ち砕く'listen for'の登場です。

listen toが単純に何かを意識して聴くのに対し、listen forは、鳴る/流れることが予期できる特定の音に耳を傾けるときに使います。この場合、'further announcements'(続報)は今ではなく後ほど行われるものなので、'listen for'が適しているというわけです。

 

ディストリクト線 保守点検 一部区間閉鎖

The District Line is part closed in both directions between Tower Hill and West Ham and in both directions between Earl's Court and Kensington (Olympia) due to planned engineering work.

Use alternatiove bus or rail routes. 

 

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The District Line is part closed in both directions between Tower Hill and West Ham and in both directions between Earl's Court and Kensington Olympia due to planned enginerring work.

ディストリクト線は、予定されていた保守工事のため、Tower Hill〜West Ham間の上下線と、Earl's Court〜Kensington Olympia間の上下線で閉鎖しています。

 

The District Line is part closed

ディストリクト線は、一部閉鎖となっています

 

in both directions between Tower Hill and West Ham

Tower Hill〜West Ham間の上下線

 

and in both directions between Earl's Court and Kensington Olympia

と、Earl's Court〜Kensington Olympia間の上下線で

 

due to planned enginerring work.

予定されていた保守工事のため

 

区間流せるのはアツいですね!

 

 

Use alternative bus or rail routes.

他経路のバス又は電車をご利用ください。

 

別の交通手段を使うよう促す文言も、特にお詫びもなく業務的に案内します。

 

ディストリクト線 ストライキ 大幅遅れ

District Line service has severe delays due to strike action.

ストライキのため、ディストリクト線の列車に大幅な遅れが出ています。

 

めっちゃシンプルな放送文ですが、信号トラブルのときの放送文と比べてみてください。沼が見えてくるはずです

信号トラブルの放送は'The District Line is...'から始まっていたのに対し、こちらは'District Line service has...'から始まっており、似た文面なのに音声パーツの繋ぎ方が違います。

 

ちなみに、ストライキの決行日に運行情報放送が設定されることは滅多にありません。放送を設定しなくても知っているだろうということでしょうか、はたまたこれらの放送を設定してくれる輸送指令の指令員がストライキを決行する側の労組(RMT)に属しているのでしょうか。

 

ディストリクト線 沿線設備破壊 一部運転見合わせ

The District line is suspended between Plaistow and Dagenham East due to vandalism.  

ディストリクト線は、破壊行為のため、PlaistowとDagenham East間で運転を見合わせています。

 

自動放送はさすがに対応していませんでしたが、肉声放送では「信号ケーブルが破壊された」ためと案内が入っていました。同じ週に他社線でも信号ケーブルの窃盗による大幅なダイヤ乱れが発生していて、同一犯の可能性がありそうですね。ロンドン怖いです。

 

ディストリクト線 保守点検延長および線路冠水による信号トラブル 大幅遅れ

The District line has severe delays in both directions between Earl's Court and Richmond and in both directions between Earl's Court and Ealing Broadway due to over-running engineering works and a signal failure at Gunnersbury caused by flooding. Use other lines or buses to continue your journey. There are minor delays on the rest of the line.

 

滞在中に聞いた運行情報で一番長いもので、ほとんどの区間で駅到着までの時間に放送が収まらず、ドアが開いてからも案内を流し続けていました。

 

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The District line has severe delays in both directions between Earl's Court and Richmond and in both directions between Earl's Court and Ealing Broadway due to over-running engineering works and a signal failure at Gunnersbury caused by flooding. 

ディストリクト線は、保守点検が予定通りに終わらなかったことおよび、ガナズブリ駅で線路冠水による信号トラブルが発生したことにより、アールズコートとリッチモンド間の上下線と、アールズコートとイーリングブロードウェイ間の上下線で、大幅に遅れて運転しています。

 

The District line has severe delays 

ディストリクト線は、大幅に遅れて運転しています。

 

in both directions between Earl's Court and Richmond and

アールズコートとリッチモンド間の上下線と、

 

and in both directions between Earl's Court and Ealing Broadway

と、アールズコートとイーリングブロードウェイ間の上下線で、

 

due to over-running engineering works and

保守点検が予定通りに終わらなかったことおよび、

 

overrun(ning) ... 「オーバーラン」。行き過ぎる、延長する

 

a signal failure at Gunnersbury caused by flooding. 

ガナズブリ駅で線路冠水による信号トラブルが発生したことにより、

 

cause(d) ... 引き起こす、原因となる

→caused by A ... Aが引き起こした、Aによって起きた

 

 

Use other lines or buses to continue your journey.

そのほかの路線かバスをご利用ください。

 

 

There are minor delays on the rest of the line.

そのほかの区間ではわずかな遅れが出ています。

 

ディストリクト線 ナショナルレールによる信号トラブル 遅れ

この放送は、↑の「ディストリクト線 保守点検延長および線路冠水による信号トラブル 大幅遅れ」と同日に録音しました。遅れが引いてきて一部区間でダイヤが乱れているだけになったので、途中で内容を変更したようです。

 

The District line has minor delays in both directions between Turnham Green and Richmond due to a Network Rail signal failure. Customers should listen for further information as their journey progresses.

 

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The District line has minor delays in both directions between Turnham Green and Richmond due to a Network Rail signal failure.

ディストリクト線は、ネットワークレールが起こした信号トラブルの影響で、ターナムグリーンとリッチモンドの間でわずかに遅れています。

 

ネットワークレールとは、線路や沿線設備を保有し、保守する専門の会社です。イギリスの鉄道は上下分離方式を採用しており、旅客列車を運行する会社と設備を保有する会社が分かれています。そのネットワークレールが起こしたと明言する音声パーツが用意されていました。恐るべし、音声パーツ数。

 

 

Customers should listen for further information as their journey progresses.

この先の案内放送にご注意ください

 

ハマスミス&シティ線 信号トラブル 東行き運転見合わせ

The Hammersmith & City line is part suspended eastbound between Liverpool Street and Barking via Mile End. This is due to a signal failure. Please make alternative travel arrangements.

 

片方向のみ運転を見合わせている特殊な場合の案内になります。

 

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The Hammersmith & City line is part suspended eastbound between Liverpool Street and Barking via Mile End.

ハマスミス&シティ線は、リヴァプールストリートからマイルエンドを経てバーキングまで、一部区間の東行きで運転を見合わせます。

 

(方角)boundで「◯行き」を表します。northboundだと北行き/北上、westboundで西行きといった具合です。

 

 

This is due to a signal failure.

これは、信号トラブルによるものです。

 

2022年の夏頃に、運行情報案内の放送文に変更が加えられて、原因を別に案内することができるようになりました。遅れに関する案内が長い時には、原因を別に案内する方法は有効そうです。

ところで、信号トラブルを原因とする遅れが多すぎません…?

 

 

Please make an alternative travel arrangements.

ほかの行程で移動してください。

 

エスカレータ工事に伴う駅閉鎖1

Due to escalator engineering works, there is no Piccadilly line service at South Kensington until spring 2022.

For the Piccadilly line, change here or at Barons Court. 

 

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Due to escalator engineering works, there is no Piccadilly Line service at South Kensington until spring 2022.

エスカレータ改修工事に伴い、2022年の春まで、South Keisington駅にピカデリー線の電車はございません。

 

engineering works ... 改修工事・保守工事等、メンテナンスのための工事全般を指します。

 

実際には春どころか夏に両足つっこんで、6月まで工事していました。

ところで、自動放送が「2022年の春まで」としれっと言ってるの、すごくないですか…? 

 

 

For the Piccadilly Line, change here or at Barons Court.

ピカデリー線へは、この駅かBarons Court駅でお乗り換えください。

 

エスカレータ工事に伴う駅閉鎖2

Piccadilly line trains are not stopping at South Kensington until spring 2022.

For the Piccadilly line, change at Victoria for the Victoria line to Green Park. 

 

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Piccadilly Line trains are not stopping at South Kensington until spring 2022.

ピカデリー線の電車は2022年春まで、サウスケンジントン駅には停車しません。

 

現在進行形が使われている点に注目。春までというかなり長期間の出来事ですが、一時的に発生している事象は進行形で表すのが普通です。

 

 

For the Piccadilly Line, change at Victoria for the Victoria Line to Green Park.

ピカデリー線へは、ヴィクトリア駅でヴィクトリア線に乗り換えのうえグリーンパーク駅へお越しください。

 

グリーンパーク駅は他路線の駅名です。他路線の駅名まであらかじめ録音されているのが素晴らしい。ますます滅多に使われないのがもったいない。

 

駅閉鎖の案内(バージョンA)

Temple station is closed due to an absence of station staff.

Temple駅は、駅員が欠勤したため閉鎖しています。(ストライキ

 

Mansion House station is closed due to a shortage of station staff.

Mansion House駅は、駅員不足のため閉鎖しています。(人員不足)

 

Bow Road station is closed due to staff shortage.

Bow Road駅は、人員不足のため閉鎖しています。(人員不足)

 

理由(due to ...)が違うだけで、他の放送は全く同じです。

 

 

Customers should alight at stations either side and continue their journey at street-level.

隣接する駅でお降りいただき、地上から目的地へ向かってください。

 

'either side'の発音が癖になります。

 

駅閉鎖の案内(バージョンB)

Great Portland Street station is closed. This is due to a shortage of station staff.

Great Portland Street駅は閉鎖中です。これは、駅員不足によるものです。

 

Please make an alternative travel arrangements.

ほかの行程で移動してください。

 

このバージョンの駅閉鎖案内は、一度きりしか聞くことができませんでした。

 

エスカレーター故障に伴う別駅迂回

There is a reduced escalator service at Earl's Court due to a fault. Please change at Gloucester Road or Barons Court for the Piccadilly line.

 

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There is a reduced escalator service at Earl’s Court due to a fault.

故障のため、Earl’s Court駅ではエスカレーターの台数が少なくなっています。

 

そもそもこのような事態を想定して自動放送が用意されていること自体がすごいです。

 

 

Please change at Gloucester Road or Barons Court for the Piccadilly Line.

ピカデリー線へは、Glocester RoadかBarons Courtでお乗り換えください。

 

この放送文はなかなか目が離せません。日本でよく聞く'Please change'がここで登場します。

日本では「○○線は乗り換えです」のように、単なる乗換案内を丁寧にする意図でpleaseが付けられるのに対し、イギリスでは「代わりにこの駅で乗り換えてくれ」とお願いする意図でpleaseが付けられます。

 

おわりに

Tを強く発声するトゲトゲした発音、イレギュラーにも対応できる様々な案内放送……音声面も機能面も魅力的な車内放送のご紹介でした。

 

運用範囲が広く、例外的な案内が色々見られるためまとまりがない記事となってしまいましたが、お楽しみいただけたならばうれしい限りです。

ロンドン地下鉄の放送は、編集が済み次第順次投稿予定に追加していきます。次の動画まで少々お待ちください!

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