嵯峨嵐山駅 多言語放送と、中途半端に終わったサインシステム更新

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京都でも指折りの観光名所である嵐山。
 
JR線での最寄り駅は、ご存じ嵯峨野線(山陰線)の「嵯峨嵐山駅」であり、ジャパンレールパスを利用する方々が多数利用します。
 
 
JR西日本としてはお得意の多言語案内放送でなんとかしたい!
 
でもSUNTRASをそのためだけにここに導入するとなると、効果とは比にならないくらいの高額な工事になる。
 
そこで、独自の多言語案内が導入されたのですが…なかなか変わったものでしたので、大量に録っちゃいました(^^;
 
 
こちらがその放送です。
(ノイズはスピーカーから発せられていたものです)
 
嵯峨野線の詳細型放送には、SUNTRASなどのようにばらされたパーツを組み合わせるタイプの放送と、一連で組まれた放送を割り当てる放送の二種類が存在します。
 
嵯峨嵐山駅は前者ですので、発車時刻や両数などを事細かく案内することができます。
(逆に二条駅などは後者のタイプですので、両数や特急の号数などは、自動放送では案内できません)
  
なお日本語放送は今回の更新作業後もそのままという訳ではなく、簡単に説明するために通過列車の入線放送で説明すると、
 
「まもなく、2番のりばを、電車が通過します。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。
2番のりばを、電車が通過します。危ないですから、ご注意ください。」
 
と復唱する部分が削られて、代わりに英語、中国語での案内が追加されています。
 
 
英語放送もSUNTRASと異なり、なかなか思い切った放送になっています。
 
(快速・胡麻行き 後ろ4両園部止めの場合)
The 7:48 Rapid Service train to Sonobe, Goma will soon be arriving at platform 3.
For your safety, please wait behind the yellow line.
The next stops are Kameoka, and every stop afterword.
 
うーん…この(´・ω・`)
教科書組にはSUNTRASの放送よりもわかりやすい案内でいらっしゃる。
でも両数は言わないと…(笑)
 
ついにJR西日本にも「bound for」を使わずに「to」で表現する放送が出てきてしまうとは…。
 
 
それよりも、
 
ソォ↑ノォベェ↓、ゴォォ↑マァ↓(※園部、胡麻
 
と勢いよく連呼するだけという…ね。
 
 
停車駅も…何かおかしなことになってるではありませんか。
これ、「next」はいらないのでは…?
 
でないと「次の停車駅は亀岡と、亀岡からのすべての駅です」という変な日本語になっちゃいますが…(汗)
 


続いて出てくる快速・福知山行き(後ろ4両園部まで)では、
福知山行きと、園部行きが、8両でまいります」
と放送され、「園部・胡麻行き」とは変わった案内放送がなされます。
 
なぜこっちだけ「~行きと」というパーツが用意されているのか…心当たりがあるんですわ。
 
絶対これ用に用意したパーツですよね…(笑)
 
どうせなら最後までパーツを流用して、「つながって」まで入れてほしかったな…(*´∀`*)
 

嵯峨嵐山駅の外国人対応
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それでは嵯峨嵐山駅に学ぶ、外国人に対応するための案内表示講座をお届けしましょう。
(まさか嵯峨野線に転落防止幌装着車がいると思ってなかった)
 
まずは電光掲示板から。
 

電光掲示板の扱い方

まず大事なことは、「外国人に対応するためには多少の日本語を省略すること」。
 
まさかJR西日本に慣れてる皆様方なら、電光掲示板の表記を多少省略しても通じるでしょう。
 
 
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ということで、電光掲示板の上にあった「種別」「乗車位置」「時刻」「行先」「遅れ」の表記は全て取っ払っちゃっていいですよね(*´ω`*)
関西空港からいらっしゃった関東・東北や九州の方が、特急「はるか」を利用した場合、この形式の電光掲示板を京都駅以外で目にすることはありません。
※なお、色と記号、番号の3つを組み合わせた乗車位置をJR西日本以外に取り入れてる会社はありません。
 
路線名と方面の表記は多少省いてもいいので、重要なのは外国の方に乗車位置をわからせること!
 
日本語なんて捨てて、英語だけの表記にこだわります。
 
 
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でも英語表示はこれです。
数年前に調査した時と何一つ変わってませんでした( ・ω・)
 
この「Fukuchiyama Sonobe」の英語表示を、できる限りはやく変えてほしいんだけどなぁ。ドット打ちが下手過ぎて…。
 


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では同じく、分割を行う列車として「胡麻行き」を挙げておきましょう。
 
こちらは「園部」の方が先に表示されており、放送の順序と同じ…というあたりも、何か匂う表示です。
 
では英語表示はどうでしょう。
 
 
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3年間表示は小さいままで変わり無し…と。期待して損した(´・ω・`)
 
嵯峨嵐山駅だけでも表示を変えればよかったのに。
ドット打ちの担当者も別にいらっしゃるでしょうに…。
 
 
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なお、改札口の電光掲示板はこちら。
こちらも変わっているかと思えば、こちらはいつも通りの灰色の筐体で、「種別」「行先」などもそのまま残っています。
 
ただしこちらでは、二条・京都方面の案内を執拗なレベルで行っています。
 
 
ではなぜここまで執拗に行う必要があるのか。
 
続いて嵯峨嵐山駅に学ぶ、都合よく乗客を誘導する方法をご紹介しましょう。
 

乗客の誘導

嵯峨野線の京都駅ホームは櫛形となっている為、前寄り一か所にしか出入口はありません。
 
かといって後ろ側車両に乗客の期待するほど(≒座れるほど)の空きがあるわけでもなく、前側車両のせいで慢性的な多客遅延が発生しており、たびたび問題になっています。
 
でも増車するのも面倒ですし、本数の増便をする気もありません。
ここでどうするのか。…簡単です。
 
観光客や外国の方が地理に疎いのを利用して、こうしましょう。
 
 
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※改札口を入ってすぐの箇所にこれが設置されています。
 
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日本語通りの意味にするなら
「Please go down "this" stair.」なんですけどね。
 
この案内表示類に従って降りた個所で乗車してしまうと、京都駅では改札口から4~5両分ほど離れた後ろの方で降りることになってしまい、少し歩かなければなりません。
 
慣れてる乗客はこれを無視して前寄りの階段を利用するのですが、先ほどの誘導に従わせるよう、もう一枚、こういった看板が設置されています。
 
 
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斬新。
せめて「混雑緩和のため」とか、「ご協力をお願いします」などの一文が入っていればいいものを、これだけ出すものですから、「改札は後ろにあるものだ」と思い込むじゃありませんか。
 
しかも英語では「京都へ行くお客様は、後ろへ戻ってください」ですから、決して「後ろ寄りの車両に」ではないわけで。
 
 
それでも先へ行くとさすがに誘導では振り切れない、もしくは見ていないと判断されるのか、今度は普通の案内に変わります。
 
 
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「electric bulletin board」表記!!!
※英語で「電光掲示板」。
 
私もその表記、大好きでしたよ?
 
でもね、海外の方々はそんな面倒臭い表現は使わないんですって。
「Departure board」(出発案内板)が普通なんですって。言われてみれば当たり前ですけど。
 


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以上、嵯峨嵐山駅に学ぶ、外国人への対応の仕方をご紹介しました。
 
肝心であるはずの日本語表記をなくし挙句、何も知らない観光客に負担を強いる。
更新などは何もかもが中途半端なまま終わらせ、あとは現場に任せて放置。
 
はたして、JR西日本が推進する「観光客へのおもてなし」はこれでいいのでしょうか。
なかなか疑問の多い更新工事でした。
 
たしかに近鉄さんも放送が適当という決定的な問題点はありますが、あちらはきっちりとその駅で設置されているすべてのサインシステムを一新したうえで「更新」と言い張るわけですから、まだましでしょう。
 
一個人がネットですることではなく、しかも近鉄よりもさらに巨大な「JR西日本」という組織がこの水準では、この先が心配ですな…(´・ω・`)
 

多言語案内放送については、これを基軸にした放送が、そのうち奈良線宇治駅などでも実施されそうですね。
 
日本国内ではあまり見ないタイプの放送ですが、案内の面ではしっかりしていて素晴らしいと思います。
この辺りは「さすが」、多言語案内に手慣れてらっしゃるJR西日本です(*´ω`*)
 
 
またどこかの駅で導入されたという情報が入れば、そのうちご紹介したいと思います( ・ω・)
 
それでは~
 
 
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