SUNTRASの詳細について(主に放送)

岡山地区の皆様、岡山CTCの導入おめでとうございます。
 
来月中の稼働予定ということで、徐々に自動放送などを含めた動作試験の方が行われているそうですね( ・ω・)
 
おそらくもとにされていると思われるSUNTRASの自動放送や表示の詳細についてよくわからない方も多いと思いますので、詳細を書いておきます。
 
 

予告放送

予告放送は列車の発車時刻、種別、行き先、遅れと、必要に応じて停車駅や特急券の案内、乗換の案内、変更された事項の案内などをする放送です。
 
列車単位でタイミングや内容を設定可能です。
予告放送を一切流さない列車も理論上は設定可能です。
 
女性専用車が設定されている列車については、その女性専用車が設定される区間の終端も案内されます。(開始駅は案内されません)
直通快速・奈良行き(女性専用車は尼崎→放出まで)などで案内されています。
 
 
4:00ちょうどごろからお聞きいただくと、SUNTRASの応用性の高さがうかがえると思います。
ATOSなんて比じゃないような、九州地区の詳細型放送ですらも困るような内容を軽々と読み流しています。
 
放送している内容は、当日すべて実施された変更も含めた放送です。
控えめに言って…頭おかしいですよね()
 

カバーしている内容について

【種別・列車名】
おそらく自社の駅に乗り入れる列車全て。
(※JR東海の臨時快速「さわやかウォーキング号」(米原どまり)ですら対応しているレベルのシステムです)
 
 
【行き先】
・SUNTRAS管内のすべての駅(折り返しできるかどうかは無関係)
・(※基本的に)過去に何かしらの営業列車が行先として設定した前歴のある、全国のJRの主要駅
 
 
【乗車位置・両数】
白色・黄色などのほか特急専用の乗車位置など各種案内
(特急は駅によって「各号車札のところで」や、「乗車位置案内のところで」と表現するなど言い回しが微妙に違います)
 
 
【停車駅】
SUNTRAS管内の駅名全てと北近畿方面の特急列車停車駅(臨時停車含む)に加え、以下の通り。
サンダーバード」:金沢まで
「ひだ」:下呂まで
「しなの」:名古屋まで
(ただしサンライズ号は終点東京まで)
「くろしお」:※システムによる。
サンライズ瀬戸」:高松まで(?)
サンライズ出雲」:岡山まで
JR京都線のシステムでは白浜まで、阪和線のシステムでは新宮まで対応しています。
 
 
【変更案内】
行き先、両数、のりば、臨時停車、臨時通過、経由路線(湖西線琵琶湖線回り)
 
 
【先着案内】
3パターンで対応しています。
 
・次の快速列車が一つ目の停車駅で先発の普通列車を追い抜いて先着する場合
 
・先発の普通列車がある程度先行したうえで、あとの快速列車に追い越される場合
 
・先発の普通列車からその先の駅で後続の快速などに乗り換えると先着できる場合
 
いずれのパターンでも特急は先着案内に含まれません。
 
 
【乗換案内】※2011年導入のJR東西線系統のシステム以降のものにのみ。
快速列車→普通列車の緩急接続に対応。
ただし大阪駅のみ用いられているのはJR京都・神戸線システムですが、丹波路快速の「篠山口での福知山行き連絡」に対応。
またすべてのシステムが尼崎駅関連の普通同士の乗り換え案内は所有。
(例:JR宝塚線からJR東西線への電車において大阪駅方面への乗り継ぎ案内)
 
 
【種別変更】
JR京都・神戸線系統では「高槻から快速、姫路行き」といった言い回し。
JR東西線系統以降では「京橋から快速“となります、”普通・尼崎行き」といった言い回し。
それぞれ下級種別→上級種別は案内があるものの逆はなし。
(普通→快速:放送あり  快速→普通:放送なし)
 

タイミングについて

予告放送の流れるタイミングは、SUNTRAS導入範囲では通常ダイヤで列車が入線する時刻の6分前、3分前の二回が通常設定です。
実際に運転されている列車の到着予想時刻ではないのでご注意を。
 
ただし先発列車が最初の予告放送のタイミングを超えて発車した場合は、発車した時点から起算して3分間隔で放送が行われます。
英語放送を実施している駅で3分を超えた放送が流れる場合は、周期は5分間隔に変わります。
 
 
なお、この設定は各駅ごとに変更することが可能です。実際に天王寺駅では10分前、5分前の設定になっています。(「時素設定」といいます)
 
また京都駅や新大阪駅※など、システムの管理区域外からの列車が到着する一部駅ではシステムから分離されている線区の列車接近時、前駅の発車もしくは通過を感知した段階で放送がなされます。
(新大阪駅については11番のりばの梅田貨物線経由の列車のみが対象です。西九条駅通過を感知した際に予告放送が入ります。)
 
 
ただし「特例」も存在します。
 
運転を取りやめた場合に流れる運休案内放送では先ほどの各駅ごとの「時素設定」は適用されず、必ず本来列車が“発車”する6分前、3分前と、ダイヤ上の到着時刻の3回流されます。
(以前、くろしお号が大雨災害で全列車運休となり、代わりに臨時特急のくろしお号が同じダイヤで新大阪─海南間で設定された際、天王寺駅では
①10分前に臨時特急の案内 が、
②6分前に運休案内 が流れ、また終わってすぐに
③5分前のものと思われる臨時特急の二回目の案内 が、
④続いて3分前の運休案内 ののちに、少々遅れていた臨時特急くろしおが
⑤到着時刻の運休案内と同時に入線する…という事態が発生していました。)
 
ちなみにその際の動画です。
 
新大阪駅では発車放送に被っちゃった運休案内が入っていると思います。
(天王寺駅の分は編集でカットしちゃいました…)
 

遅れの案内について

イメージ 1
遅れの時刻は設定されている通常ダイヤから何分遅延しているかを出すものです。
 
通例3分から60分までは1分刻みで、それ以降は5分刻みで案内されます。
ただし特急券の払い戻しの是非に照準を置いているのか、120分を越えると「120分以上」でひとくくりにされます。
 
 
遅れの案内は常時出しているわけではなく、折り返しなどが設定されている場合などには次のような制約があります。
 
 
・遅れの計算はSUNTRAS管理区域内の全列車が対象です。
 
・折り返し列車の場合、折り返す駅では到着する列車の遅れ時分を計算して、遅れを案内します。
 
・折り返し駅より先の駅では、当該列車が始発駅となる駅を出発した時点で初めて遅れが算出されますので、始発駅を出るまでは遅れは一切出されません。
 
・いったん車庫に引き上げてから折り返す場合はこの時に代替が可能な場合もありますので、遅れはすぐに出しません。
本来到着する時刻には通常の予告放送が代わりに流され、その時点を「遅れ0分」にして遅れを計算します。
 
例:遅れているサンダーバード号を大阪駅で待った場合
宮原車両基地で入れ替えが発生する場合もあるため、本来の入線時刻に到着しなかった場合にはそこから遅れが計算されます。
ですので折り返しの遅れが分かっている駅員さんの案内と20分近く遅れが食い違う場合もあります。
 
例:遅れているサンダーバード号を新大阪駅で待った場合
始発駅となる大阪駅出発まで遅れ案内は一切ありません。
 
 
この処理は先述の通り、突発的な運用変更などに対応させるためだと思われます。
 

「到着まで」の案内について

イメージ 2
概ね1時間を超える遅延が発生した場合に突発的に出てきます。
 
電光掲示板では、この「到着まで」はおよそ4パターンに1回登場し、そのパターン時には時刻表示がなぜか抹消されます。
 
放送案内では「約45分遅れて運転しております。到着まで約5分です。」といったように、放送では遅れの後に追加される形で案内されます。遅れと同じく到着まで3分を切ると表示されなくなります。
 
 
かなり前に録音した音声になりますが、こんな感じです。
 
 
ただしこの予想時間は「通常ダイヤと同じように走行した場合」ですので、特に遅延初期に主要駅で詰まった場合などにはあてになりません。
 
あくまで予想ですのでプラス5分くらいで考えてください。
 

入線放送・(簡易)接近放送

入線放送はおそらく最後の場内信号通過時に駆動します。
予告案内放送が流れている場合もぶった切ります。
 
入線案内放送と同時に低い音量で非常用の簡易接近放送も流されており、非常時に案内放送が設定で切られた場合には簡易接近放送のみが流れます。
(上の動画の06:25~を参照してください)
 
 
ここでも英語の案内を設定することができ、設定された場合には「列車が来る」旨と「黄色い線まで下がれ」という旨だけを英語で案内します。
 
入線時の英語放送はおそらく環状線阪和線新システムのみに導入されているものと思われます。
 

簡易接近放送について

(01:55ごろからお聞きください)
 
簡易接近放送では入線放送で英語放送を選択している駅でも日本語のみとなり、「○番のりばに、列車がまいります。ご注意ください。(列車がまいります。ご注意ください。)」という定型句が通過かどうかにかかわらず流れたのち、通過メロディーが4回流れます。以降は繰り返しです。
 
この時ばかりは通過メロディーが無い駅でも通過メロディーが聴くことができます。そもそも通過メロディーが停車する列車の入線メロディーと同じ場合はもちろん同じメロディーが流されます。
 

到着放送

到着放送はシステムや設定により、案内の内容が微妙に異なります。
 
なおこれも予告放送と同じく、列車単位で流さない設定にもできます。
 

JR京都・神戸線系統

駅名連呼と「お忘れ物の無いようにご注意ください。」、「乗り降りの際、足もとにご注意ください。」、「ご乗車の際は列車との段差にご注意ください」、「ご乗車には乗車券のほかに、特急券(と、寝台券)が必要です。」などのみ。
※「段差があります」の案内は客車寝台や国鉄型特急など、ホームとの段差が目立つ列車にのみ流す駅もあれば、相反して一切流さない駅もあります。
 
【折り返しの場合】
駅名連呼→「お忘れ物の無いようにご注意ください。」→ この電車は折り返し、(種別)・(行き先)行きとなります。 →「乗り降りの際、足もとにご注意ください。」、「ご乗車には乗車券のほかに、特急券が必要です。」のみ。
 
【当該駅止めの場合】
駅名連呼→「お忘れ物の無いようにご注意ください。」→お降りの際は、足もとにご注意ください。」
 

JR東西線系統・阪和線系統

駅名連呼と、「お忘れ物の無いようにご注意ください。」、「一部、列車とホームとの間が広く開いているところがあります。」、「乗り降りの際、足もとにご注意ください。」、「ご乗車には乗車券のほかに、特急券が必要です。」のみ。
 
【折り返しの場合】
駅名連呼→「お忘れ物の無いようにご注意ください。」→ この電車は折り返し、(種別)・(行き先)行きとなります。 →「乗り降りの際、足もとにご注意ください。」、「ご乗車には乗車券のほかに、特急券が必要です。」のみ。
 
【当該駅止めの場合】
駅名連呼→「お忘れ物の無いようにご注意ください。」→お降りの際は、足もとにご注意ください。」
 
ただし一部のシステムでは、折り返しでない列車の場合に各駅の設定で駅名連呼の直後に次のような案内を入れることが可能です。
 
「○番のりばに到着の電車は(種別)・(行き先)行きです。」
 

環状・大和路線系統の場合

駅名連呼
…に、いろいろセットで付けれます。
(駅名連呼だけ!という駅も存在します。)
 
「お忘れ物の無いようにご注意ください。」
「列車とホームの間が広く開いております。ご注意ください。」
「乗り降りの際、足もとにご注意ください。」
「○番のりばに到着の電車は、(種別)・(行き先)行きです。」(特急の場合は無条件で)
「ご乗車には乗車券のほかに、特急券が必要です。」
※フルで設定されている場合、上から順に流れます。
 
【折り返しの場合】
駅名連呼→「お忘れ物の無いようにご注意ください。」→○番のりばに到着の電車は折り返し、(種別)・(行き先)行きとなります。 →「乗り降りの際、足もとにご注意ください。」、「ご乗車には乗車券のほかに、特急券が必要です。」など。
 
【当該駅止めの場合】
駅名連呼→○番のりばに到着の電車は当駅止まりです。お乗りにならないように願います。→「乗り降りの際、足もとにご注意ください。」など。
 

停車中放送

本来の発車時刻からさかのぼって10分前から2分毎に流される…ようです。駅によって流れたり流れなかったりするためよくわかりませんが、とりあえず出発信号機のない駅では流れません。
 

発車放送

出発信号機の有無にかかわらず流れます。
 
これも「時素設定」で変えることができ、システムで判断して流す駅では、発車時刻の20秒ほど前に流れるようです。
 
 
なお見分け方としましては、
・車掌のボタン操作で流す駅では「ドアが閉まります。ドアが閉まります。ご注意ください」のみ流れます。(例:大阪環状線
 
・システムで流す駅では、「○番のりばから(種別)・(行き先)行きが発車します。ドアが閉まります。ご注意ください。」と長めのものが流れます。
 



駅の表示についてちょっとだけ

駅の表示について少しだけわかっていることを書いておきます。
 
よく遅延時に見られる「調整中」や「運転見合わせ中」といった表示ですが、実はあれ、駅員さんがパソコンをいじって各駅ごとに設定で変えて表示させてるんです。
 
 
何のために必要かといいますと、これが皮肉なことに…実はSUNTRASには決定的な欠点があるためです。
 
SUNTRASは大規模な遅延時に運転整理をする際、見境もなくトンデモ運転を要求することがあり、そうすると訳の分からない列車やダイヤでは存在しない列車が連発して大混乱に陥ってしまうので、それを避けるために設定できるようになっています。
 
駅の発車標を「調整中」にしてしまい、さらに設定で自動放送をきっちゃえば…外部からの案内は完全にシャットアウトし、駅員さんが心行くまで案内することができます。
 
混乱も最小限に抑えられますし、万が一知らない間に列車が来ても簡易接近放送は勝手に流れますので問題はありません。
 
 
で、証拠はどこなのかと。
 
実は以前、阪和線のシステム更新作業を見学してる際に、そういった設定類をしてる場面に出くわしたことがあるんですよ…(笑)
 
おそらく今回の更新でもこういった作業を窓口の外で無防備にやってらっしゃると思いますので、一度見てみてはいかがでしょうか。
 

以上、わかってることだけ書きなぐっておきました。
 
JR西日本の社員でも何でもないので、もしかしたら間違ってたり抜けてる点があると思います。ご指摘いただけると幸いです。
 
 
岡山CTCをお楽しみにされている岡山の皆様。
 
あなたの地区に導入される新システムは、すでに分かっているだけでも新たに「ワンマン列車の区別ができる」など、ここに書いたこれまでのシステムをさらに進化させたものです。
 
あなたが思っている以上にすばらしく、汎用性に富み、そして何より「詳細」な案内が導入されます。
 
また「自慢できるような機能」が見つかりましたら、ぜひともお知らせしてくださると幸いです。
 
 
それでは~
 
 
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