主要駅構内では英中韓表記のサインシステムが構築されており、それは西日本を担う鉄道会社として申し分ない徹底ぶりです。
ここ数年の間に導入された英語表記やアナウンスはどうやらプロに訳を任せているようで、他社と比べて一線を画すものばかり。
今回はその中で特に私が心を打たれた案内表記をご紹介いたします。
昨年から東改札よりつながる跨線橋部分の改良工事が行われており、二手に分かれるうちの西側の通路“の西側の通路”はすでに工事が終わっています。
次の写真が改良工事後の様子です。
見違えるほどモダンな空間に生まれ変わり、サインシステムも2ヶ国語、必要な箇所のみ4ヶ国語の新しいものに更新されました。
可読性は抜群、情報量が多くなったのも特筆すべきところでしょうが、なによりようやく路線記号に対応したところが大きいと言えるでしょう。
この整備された新しい案内板の中に今回の名翻訳が存在します。
それが阪和線ホームに近づくにつれて出てくるこちらです。
Stairway(階段通路)とWheelchair Accessible Route(車椅子でも通れるルート)。
この意訳のセンス。
初めて見たとき、電撃に打たれたように心にグッと来る何かがありました。
そのため日本語では「階段がある」、「階段なしで行ける」という表記になっているわけです。
日本語の表記も大変わかりやすいものですが、やはり英語も見逃せません。この表現は何がすごいかというと…
■「階段なしで行ける」を「車椅子も通れる」と意訳したところ
私が感動したのはここです。
“Wheelchair accessible”という表現は英語圏ではふつうに使われているもので、JR西日本が考えた訳ではありません。この表現をこの場面であてがったというところが素晴らしいと感じました。
「階段なしで行ける」。
今回の件を知らずに訳したとすると、絶対に私なら”No stairs”(階段なし!)と書いていたでしょう。
階段がないということではなく、何を伝えたいかを意訳し、それを端的に表しているという点で非常に心を打たれました。
これをTwitterでつぶやいたところ以外にも広まりいろんな意見をリプで付けられました。
これを書いてしまうと主題の英語表記も否定してしまいかねませんが、階段がない経路を選ぶのは車いすだけにとどまらず、たとえばベビーカーやキャリーバッグを持っている場合もこのルートを使うことになります。
あえて「車いす」と指定しないこと、段差がないと書くことで、そういった方にも伝わりやすいようにしているのでしょう。
…単純に「階段がある」と「階段なし」を対比させているだけかもしれませんが。
他にも最近のJR西日本の英語表記、放送では「そんな訳し方があるのか」と思わされるものはいっぱいあります。
いつもの通勤・通学経路で探して見てはいかがでしょうか。
それではー!