近鉄の発車標ってけっこういろいろな種類があるんです。
いま流行りの液晶ディスプレイを使った発車標、
数は減らしているもののまだまだ現役な反転フラップ(ソラリー式)発車標、
マイナーな16ドット電光掲示板、
「電車が通過します」しか表示できない、主要ではない駅向けの接近表示機、
液晶ディスプレイが設置できない箇所用の24ドット電光掲示板。
これにもう1種類だけ異なる形式の発車標を付け加えたいと思います。それがこちら。
河内長野駅にのみ残存している幕の発車標です。
電車の方向幕と同じような構造で、種別と行き先があらかじめ印字された幕をくるくる回して表示を変えることができる発車標になります。
かつては近鉄各線の主要駅で見られたようですが、今では残存しているのは長野線の河内長野駅のみ。
ちなみに河内長野駅がどこにあるかと言いますと、
この左下の方の支線の終点です。
「なんや、支線の終点やから放置されてるんか」で流すことなかれ。
南海電車との連絡駅であること、周辺がベッドタウンとして開発されていることから利用者はかなり多く、平成30年の調査では乗降者数が11,838人となっています。
これは大阪線の榛原(8,833人)や高安(11,202人)よりも多く、特急停車駅である名張(11,999人)と同等の数字であることから、むしろ今まで残されてきたことの方が奇跡と言えます。
幕は至る所が破れておりビニールテープで補修されています。
反対側から見た図。
埋められている◯と2個の□はかつて河内長野駅が2番線まであった証拠です。◯にはのりば番号が、□には「先発」「次発」の表示が出ていました。
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そんな最後の現役個体にもついに終わりが近づいているようです。
幕の発車標の真隣に大きく掲示された「まもなく私は引退します」の文字。
今月末をもって河内長野駅から撤去されることが決まったようです。
あくまで駅設備の一部が役目を終えるだけとは思えない随分と手厚い告知です。やはり最後の一基が役目を終えるわけですから、熱が入っているのでしょうか。
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気になるのは果たして後任として別に発車標が設置されるかどうか、です。
長野線は運転されている列車の9割が大阪阿部野橋行きの準急であり、発車標がなくてもほとんど問題にはなりません。
また、電車が接近していることを表示するための最低限の表示案内が別に設置されています。
はたして幕の発車標を撤去して終わりなのか、別に発車標を整備するのか。気になるところです。
それはともかく、1976年から河内長野駅を見守り続けた近鉄最後の幕式発車標様。これまで43年もの長い間、お疲れ様でした。最後まで何もなく仕事を全うできるようお祈りします。