東京駅 ミニ自動放送集 編集後記

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ちょっとATOS放送に興味があって、ちょっと各路線の放送を録れたらなー程度に思ってて。

 

なんせ東京駅ですから、ホームの数も、列車本数も膨大な量です。行き当たりばったりだと絶対途中で何を録った、録ってないで手間取ると思ったので、ちゃんと予定を組んで現地へ行きました。

 

 

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▲実際に使用した収録予定表。

 

2日に分けて収録しました。左側が1日目、右側が2日目の収録予定リストです。

これを見るとわかるように、1泊2日で東京に行ったのにその大半を東京駅の中で過ごしています。変人ですね。ちなみに灰色の奴が録り終わったやつです。

 

数えなおしてみると、当初の計画通りだと69列車録ろうとしてました。

うち何列車かは録り逃しましたが、殊のほかうまく収録が進んだおかげで、たまたま余分に録れた列車もあるので、結果的には80列車分収録しており、プラスになってます。

 

そんなわけで音声の長さが4時間を超えてしまいました。私も予想外です。まさか音声の編集が1日で終わらないとは思いませんでした。

 

でもその分、初のATOS放送収録にしてはこの上なく満足いく動画になりました。ぜひ一気見なんて目指さず、好きなところからお楽しみいただければと思います。

 

 

 

で、録音と編集を一通り終えての感想と備忘録的なものを。

 

 

収録・編集を終えて

放送の音量がめっちゃ大きい

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東京に着いて、在来線ホームに入り、まず最初に驚いたのがこれです。放送の音量がバカでかいんです。

 

録音にはDR-05という機種のICレコーダーを使用しており、このレコーダーはマイクの音量(入力レベル)を設定で変更することができます。入力レベルは0~100で細かく決めることができます。

 

関西圏の駅放送は、だいたい入力レベルを30~40くらいにしておけば、だいたい音割れせず録音できるのですが、

東京駅の放送は20レベルでギリ、特に中央線ホームは20でも音割れするレベル。30とか40で普段録音している身からすると、音量設定がままならないので超録りづらかったです。

 

 

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で、音量は大きい割にスピーカーは低い位置に吊り下げて設置されています。なので関西の駅と違って、列車が入線してようが放送の内容がくっきり聞こえます。いいですね。

 

ATOS放送が自由すぎる

 

ATOS放送初心者なのでよくわかってないんですけども、どうやらATOSでは、各列車の案内文を駅員さんの設定次第でかなり自由に変えられるみたいです。

 

停車駅案内しかり、乗車位置、号車、そのほか様々な案内を設定次第で付帯させることができるため、同じ列車の案内放送が駅によって全然違います。そして誤設定なのか、変な「と」が停車駅案内に入っていたりします。

 

 

また、戸閉放送についても

 

1・2番線

全列車で「ドアが閉まります。ご注意ください」に続けて "Please stand clear of the closing doors." と「次の電車をご利用ください」が付帯

 

3~6番線(山手線・京浜東北線

全列車で「ドアが閉まります。ご注意ください」に続けて「次の電車をご利用ください」が付帯。英語は無し

 

7~10番線(上野東京ライン東海道線

普通・快速・ライナーでは「ドアが閉まります。ご注意ください」に続けて「次の列車をご利用ください」が付帯。特急の場合は、「ドアが閉まります。ご注意ください」の閉扉警告のみ。

 

京葉地下ホーム

普通・快速では「ドアが閉まります。ご注意ください」に続けて「次の電車をご利用ください」が付帯。特急の場合は、「ドアが閉まります。ご注意ください」に続けて "Please stand clear of the closing doors." が付帯

 

総武地下ホーム

普通・快速では「ドアが閉まります。ご注意ください」に続けて「次の電車をご利用ください」が付帯。成田エクスプレスの場合は、「ドアが閉まります。ご注意ください」に続けて "Please stand clear of the closing doors." が付帯。

しおさいは確認できず)

 

こんな感じで、やはり流れる文言がのりばによって全然違うんです。

 

中央快速線は全列車が折り返しとなるため、微小な遅れは発生しずらく、出発時刻に合わせてメロディを扱うことが容易です。なので戸閉放送が長くても影響はない、ということで全部流してみたり、

東海道線上野東京ラインのホームでは、長距離列車が多いことから駆け込み需要は少ないだろうと判断したのか、特急には「次の列車をご利用ください」を付帯させていなかったり。

それぞれののりばの性格に合わせて細かく調整している証拠であり、一人で感激してました。

 

いずれもテンプレ通りの案内しかしないSUNTRAS放送では考えられない自由度で、非常に楽しませてもらいました。

 

予告放送系の発動条件が違う

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ここでは、関西圏のJRの駅放送を代表するSUNTRAS型放送と、東京圏を代表するATOS放送で、放送の流し方にどういった違いがあるのかを比較してみたいと思います。

関西圏の方にわかりやすい放送であるというのと、ATOS放送とSUNTRAS型放送では流せる放送の種類がかなり似通っているため、単純に比較をしてみますね。

 

どちらの放送システムでも、

・列車の入線前には、次列車の案内を行う放送案内(SUNTRASでは「予告放送」、ATOSでは「到着予告放送」)で詳細な案内を。

・列車が駅に近づくと「接近放送」で警告を促し、

・ドアを開けると同時に「到着放送」で到着駅名を案内。

・停車時間が長い場合には、停車している列車の案内(SUNTRASは「停車中放送」、ATOSは「出発予告放送」)を行い、

・出発時刻になると「出発放送」で乗降促進。

 

基本的にはこの5点が繰り返し行われます。

 

今回触れたいのは、到着する列車の予告を行う放送と、停車している列車の案内を行う放送、この2点です。

 

 

まずは予告放送/到着予告放送

SUNTRAS放送ではこの放送が流れ始めるタイミングを、到着時刻を基準にして設定します。「到着時刻のn分前からm分間隔」といった具合です。ちなみに初期設定では「6分前から3分間隔」となっています。

 

一方のATOS放送は出発時刻を基準に設定しています。東海道線ホームだと出発時刻の30分前から数分間隔で流れるようになっており、そのため列車によっては5回くらい流れる(主に踊り子)こともあれば、1回しか流れない(主にサンライズ)こともあります。

 

 

停車中放送/出発予告放送もシステム上の大きな差異があります。

そもそも名前が違う時点で差が大有りなんですけど、ATOS放送は、あくまで出発直前に列車の案内を行うという趣旨の放送ですので、出発時刻のn分前にきっちり流れます。地上ホームは5分前、京葉地下ホームは10,5分前のようです。基本的には1回しか流れません。

 

で、SUNTRAS放送の場合は長時間停まっている列車を案内する放送と言う位置づけなので、到着時刻から何分間隔という流れ方をします。初期設定だと「到着の1分後に1回目を流し、その後3分間隔」です。

到着したタイミングを基準に同じ周期で放送を繰り返す形になるので、列車の停車時間が長ければ3回でも4回でも流れます。

 

 

なので放送の狙い方が全く違ってきますし、頻繁に流れるものだと思い込んで、20分近くサンライズの停車中放送狙いで録音し続けた努力を返してほしいです。

 

意外に放送は被らないが、ホームによって地獄を見る

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10~15両の列車が5分間隔で走っていたりする路線が、4系統もひしめきあう大都会の駅。

そして島式ホームの場合、両のりばの放送が両のりばのスピーカーから流れるものと勝手に思い込んでいて、きっと自動放送同士はもちろん、肉声放送も被りまくって、まともな収録にならないだろうと考えていました。

収録前に考えていた頭の中の東京駅放送事情は、まさにこんな感じ です。

 

ところが実際は、自動放送がのりば別に分けられていない総武線地下ホームと中央線ホーム以外、意外にもまともな音声が流れることが多く、順調に収録が進みました。おかげで予定に余裕ができ、かなり柔軟に動けたので良かったです。

 

 

で、総武線地下ホームや中央線ホームでは何が障壁となったか。放送の挙動が関西の駅放送事情と大きく違うんです。これは個人的にかなり驚いた気づきでした。

 

関西でも同様に、放送の回線をのりばごとに分けず、両方ののりばのスピーカーから両のりばの案内を流す事業者は存在します。近鉄なんかはその代表例です。

 

同じ方式でも、放送が被ってしまった場合の挙動が大きく異なります。

 

たとえば近鉄の場合。のりばごとに男声・女声を分けていることから、同時に流しても支障はないだろうということで、お構いなしに両方の放送を被せて同時に再生します。

 

 

 

 

↑お構いなしに被せて流している例、2選。

 

 

 

ところがATOS放送の場合、放送を基本的に被せて流れないようになっているのです。

放送に優先順位がつけられており、被ってしまった場合にどの放送を優先して流すか、言い換えると何を切り捨てるかが決まっています。

 

たぶん優先順位は↓

到着予告放送=出発予告放送<出発放送<接近放送=発車メロディ

みたいな感じです。

 

 

最優先は列車の到着を知らせる接近放送と、発車を知らせる発車メロディ。発車メロディと出発放送を分けたのはどういうことかと言いますと、メロディだけ流れる場合があるためです。

 

接近放送は安全確保の観点から、最優先であることが分かります。では出発放送はどうか。これも定時運行を行うために必要です。では接近放送が流れているときに、発車ベルを扱うとどうなるか。

音声メッセージは被せないという決まりはあれど、話し声にメロディを重ねても、何を流しているかは聴き取れます。なのでこの場合、メロディだけが放送に被って流れ、音声メッセージはカットされるという挙動をとります。放送案内をかぶせないというルール上では合理的なやり方ですね。

 

で、別に流れなくても安全上は問題がない予告放送系は、真っ先に切られます。たとえ先に流れ始めていたとしても容赦なく。1回しか流れない場合もあり、こと1日1本しか走らないとかいう列車の場合再チャレンジができないので、本当に心が折れかけます。というか折れました。おのれ成田空港・鹿島神宮行きに被ってきた列車め。

 

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そんなこんなで、1日を超える東京駅構内の張り込みを通し、ATOS放送のことを少し知ることができた遠征でした。

 

また東京へ行く日が来るのかわかりませんが、今度はJRのみに的を絞らず、いろいろな会社の放送を楽しみたいところです。

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