各種放送の名前と流れるタイミングについて

SUNTRAS型放送では

1.列車が到着する数分前(基本的に2回)
2.列車入線時
3.列車到着時
4.長時間停車する電車の場合、その停車中
5.出発時

1本の列車に対して最大6回の放送が流れます。

 

これらの放送の名称は、正式には

1.「予告放送」
2.「接近放送」
3.「到着放送」
4.「停車中放送」
5.「出発放送」

という名前で呼ばれております。

一部の駅では旅客案内装置の設定画面が窓口から見える位置にあったりしますので、そちらで確認しました。

 

これらの放送が流れる間隔をまとめておきます。

 

1.予告放送

一番情報量が多く録り逃すと痛い「予告放送」ですが、こちらは1回目の放送から何分間隔で流すかを分単位で指定して設定されています。

 

一般的な設定は、列車入線時刻の6分前から3分間隔で流れるというものです。この設定の駅では遅れがない場合、到着の6分前と3分前に予告放送が流れます。既定の設定がこれですので、多くの駅で見られる形態ですね。ただし2回目(3分前に流れる予告放送)は、放送文が長い場合、途中で切れる可能性が高いです。

 

放送間隔などは駅で設定を変えることができますので、1回目の放送が流れるタイミング、そして繰り返し放送する間隔は駅により異なります。本当に録りたければ下調べをするか、もしくは流れるまでずーっとマイクを上げ続けるなど根気が必要です。

 

特殊な設定をしている駅の例

天王寺駅大和路線ホーム) 到着の5分前から5分毎。

宝塚駅、京都駅(普通列車) 到着3分前から3分毎。

桜島駅 流さない

 

別のりば予告放送

別のりば予告放送は、異なるのりばから発車する列車を案内するための予告放送です。

・下りホームから出発する上り列車

・特急列車用ホームから出発する普通列車

・本線のホームから出発する支線列車

のように、例外的に別のホームから出発する列車を、通常その方面の列車が出発するホームで案内するものになります。

 

別のりば予告放送が流れるタイミング、回数は放送システムにより異なります。具体的には次のとおりです。

 

*通常その方面の列車が発車するホームをホームA、当該列車が着発するホームをホームBとします。

 

JR神戸線京都線琵琶湖線

ホームBで予告放送が流れると同時にホームAで別のりば予告放送が入ります。ただし、ホームAに列車が在線している場合には、別のりば予告放送は流れません。

 

大阪環状線大和路線システム

ホームBで予告放送が流れると同時にホームAで別のりば予告放送が入ります。ホームAに列車が在線している場合の挙動は未確認です。

ただし、天王寺駅15番線では阪和線ホームから出発する快速・特急の別のりば予告放送が流れますが、こちらは出発時刻を基準に6, 3分前の二度流れます。

 

JR宝塚線東西線学研都市線システム

ホームBで予告放送が流れると同時にホームAで別のりば予告放送が入ります。ただし、ホームAに列車が在線している場合には、別のりば予告放送は流れません。

 

阪和線新システム

ホームBで予告放送が流れると同時にホームAで別のりば予告放送が入ります。ただし、ホームAに列車が在線している場合には、別のりば予告放送は流れません。

ただし、天王寺駅1, 2番線では15番のりばから出発する快速・特急の別のりば予告放送が流れますが、こちらは出発時刻を基準に6, 3分前の二度流れます。

 

湖西線システム

ホームBで予告放送、接近放送、停車中放送が流れると同時にホームAで別のりば予告放送が入ります。このシステムからは別のりば予告放送が流れる頻度が増えました。

ホームAに列車が在線している場合の挙動は未確認です。

 

出庫列車の罠

予告放送を録音する上で、出庫してくる列車の収録の際に気をつけなければならないことがひとつだけあります。

 

JR西日本の列車運行管理システムでは、採時駅の場合、たとえ通過列車であっても何時何分何秒に出発・通過するかが決まっています。

ところが車庫から直接入線する列車では、その勝手が異なります。出発時刻は決まっていても、入線時間が入力されていないことがあるためです。

 

先述の通り予告放送は、入線時刻を基準として何分前に流しはじめるかを決めます。入線時間が設定されていないと参考にする値がないため、出発時刻から起算して6分前、3分前に流れるようになってしまいます。

このため、列車によっては入線が遅れないと流れない、というようなシビアな条件も存在します。

 

ネタになりそうな列車でこれに当てはまるのは、SL北びわこ号米原場面での入線です。

米原駅は到着の6分前から3分間隔で放送が流れるように設定されておりますが、2018年3月時点では、入線時刻の6分前になっても一向に予告放送は流れず、実際に流れ始めたのは出発時刻の6分前からでした。

 

SL北びわこ号は出発のおよそ6分前に入線します。つまり、入線がある程度遅れないと予告放送も流れないため、めったに流れないのです。

現在は長浜駅で英語予告放送が流れるようになったみたいですので、そちらを狙ってみてはいかがでしょうか。

 

運転取りやめの案内

運転取りやめの案内も接近予告放送と同じ枠で用意されています。ただし、この放送は到着時刻ではなく、出発時刻を基準に放送間隔が設定されています

デフォルトの設定は「出発時刻の6分前から3分間隔」で、合計3回(6分前・3分前・出発時刻)案内が流れます。

 

2.接近放送

周辺の信号や踏切、ATS地上子などの情報を活用し、どこかしらの地点を通過すると流れるようになっています。きっちり「何分前から流れる!」という目安は無いため、列車が到着する2分前を目安に録音を始めましょう。

 

日本語で出発時刻、種別、行き先、そのほか付帯案内を流したあと、メロディが列車の到着まで流れ続けます。

 

なお、一部のシステムでは日本語放送の後に英語で続けて注意喚起を流すこともできます。

 

3.到着放送

駅名連呼と忘れ物や足元の注意喚起が主な内容です。折り返し列車の場合は「この電車は折り返し、~となります」であったりなどの案内が流れます。また駅の設定によっては乗り換え案内や「○番のりばに到着の電車は~です」と流すこともできます。

 

放送は列車が止まると流れます。列車の状況は、ホーム上に設置されているセンサーで感知しています。

 

 

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阪和線新システムの列車感知センサーの例

 

列車が止まると即時、到着放送を流す場合(大阪環状線大和路線の各駅など)もあれば、ドアが開くまで駅名連呼を待つ場合(大阪駅本線ホーム)もあります。

 

「感知不良」

ごくまれに、センサーが列車が完全に止まったのを感知できなかった場合、到着放送が流れないケースがあります。(以下、「感知不良」と呼ぶことにします)

 

感知不良が起きた場合には、列車が完全に止まってからも永遠とメロディが流れ続け、しばらくするとふと我に帰ったかのようにメロディが止まります。

 

感知不良は運要素(しかも悪い方の運)で当たってしまうこともあれば、確定で感知されない列車もあります。たとえば、センサーの設置位置が前後に寄っているホームに編成の短い列車が入線した場合には、センサーが感知できないケースがあり、こういう場合には高確率で感知不良と同じ動作が置きます。

 

感知不良になる可能性が高い列車としては、和歌山駅5番線に入線する2~3両の回送などが当てはまります。

 

 

4.停車中放送

列車がおおむね3分以上止まる場合に流れます。

 

これも予告放送と同様、放送を流し始めるタイミングと間隔を設定でき、既定では到着の1分後に1回目が流れ、それから3分間隔で流れるようになっています。なお長時間停車する場合(15分より長く停車する場合)は出発の15分前から3分間隔で流れます。

 

停車中放送についてはあまり設定がいじられていない駅が多いです。到着してから1分ほど録音し続けていれば、流れるかと思います。

 

なお停車中放送は、基本的に発車時刻までしか流れません。ただし特定のシステムで次の要件を満たした場合には、発車時刻を過ぎていても、停車中放送が流れることを確認しています。

 

 

抑止状態となった場合

 

列車が運転見合わせ(抑止)になった場合、停車中の列車が運転を見合わせていることを案内する特殊な停車中放送が流れます。

大阪環状線大和路線システム、JR宝塚・東西・学研都市線システム、湖西線新システムで確認できています。

 

発順が入れ替わり、停車中の列車が先発となった場合

大阪環状線大和路線システム(以降に導入されたシステムすべて?)でのみみられる特殊な動作で、次発の列車が先発に繰り上がると同時に停車中放送が流れます

 

発順が繰り上がり先発になると、先着案内(「○○にはこの電車が先に着きます」など)が流れるようになるため、これを流すことが目的の動作であるようです。この挙動は、当該の列車が遅れていなくても起こります。

 

同じホームに列車が到着した場合

阪和線 日根野駅で確認できた挙動です。

列車の発車が遅れている場合、停車中放送は流れませんが、同じホームに別の列車が到着した際に、到着放送から数秒遅れて停車中放送が流れることがあります。流れる条件は不明です。

 

5.出発放送

出発時刻になったら自動的に流れる放送と、車掌のボタン操作で流れる放送があります。

 

自動的に流れる出発放送は、システム上の出発時刻の18~25秒前に流れます。(駅や路線によって異なります)

このタイミングで列車が到着していない場合、または信号が開通していない場合は、出発放送は流れません。

 

既定の設定の場合、普通電車では18秒前、快速電車は20秒前、そのほかの列車は22秒前に流れるはずです。

 

例外として、

1.JR宝塚・東西・学研都市線
2.阪和線
3.湖西線

以上の路線では、到着した時点で信号が開通していなかった場合、信号が開通したタイミングで「○番のりばから電車/列車が発車します。ご注意ください」とのみ伝える簡易な出発放送が流れます。これもシステム連動の出発放送です。

 

 

車掌のボタン操作で流す駅は、次の通りです。

 

環状線各駅の環状線ホーム(ただし西九条駅中線は除く)

学研都市線JR東西線 京橋駅(上下線とも)

学研都市線おおさか東線 放出駅(全のりば)

 

環状線は発車メロディ、そのほかの路線ではブザー音が5秒ほどなった後に「ドアが閉まります。ドアが閉まります。ご注意ください」という固定メッセージが流れます。

押しボタン式の駅でも非営業列車の出発放送は自動で流れます。

 

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以上が5つの放送の詳細と流れるタイミング・間隔です。

 

次項では、停車中放送・出発放送で触れた「遅れると流れなくなる」について、詳しく見ていきます。

 

遅れると流れない放送がある?!

列車が遅れた場合には、停車中放送や出発放送の項目で触れた通り、停車中放送、出発放送が流れなくなることがあります。

 

停車中放送は出発時刻まで流れるもの、出発放送は出発時刻の何秒前に流れるものと決まっているため、次のような場合には一部の放送が流れません。

 

ケース1 当駅で長時間停車する列車が遅れ、本来出発の10分前に到着するはずであったが、出発時刻を過ぎて入線した場合

出発時刻を過ぎている時点で停車中放送と出発放送の放送条件を満たしていないため、到着放送が最後まで流れて終わりです。

 

接近予告放送、接近放送、到着放送は問題なく流れますが、停車中放送は流れません。出発放送についても、先述の例外の場合を除き流れません。

 

ケース2 ダイヤ通りに到着したが、接続待ちの影響で出発を3分遅らせた場合

接近予告放送、接近放送、到着放送は問題なく流れます。

停車中放送は出発時刻まで流れますが、それ以降は例外のケースを除いて流れません。出発放送も、先述の例外を除いて流れません。

 

ケース3 当駅で長時間停車する列車の到着が遅れ、本来出発の10分前に到着するはずが、5分前に到着した場合

この場合、出発時刻よりも早く到着しているため、停車中放送と出発放送は問題なく流れます。

 

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以上のように放送が流れたり流れなかったりが起こりえます。

 

狙う放送によっては列車が遅れている場合にまったく流れないこともありますので、放送が流れるタイミングと仕組みを理解して、効率的に録音しましょう。

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