「SUNTRAS」と呼ばれるものの正体
まず間違えてはいけないのが、「SUNTRAS」は放送システムの名称ではないということです。
これは、JR西日本の運行管理システムに関するWikipediaの記事が、あまりに旅客案内システムに偏っているからこそ生まれやすい誤解なのですが、「SUNTRAS」というのは案内放送の名前では決してありません。
次の図を見てください。
「SUNTRAS」と呼ばれている“得体のしれない何か”の招待は、列車運行管理システムの通称名です。
列車運行管理システムとは、
・現在の列車の走行位置を把握し、遅れを自動で検知し、
・遅れを最小限にするための輸送計画を自動で生成して、
・輸送計画を基に信号などを制御する。さらに、
・輸送計画に基づいてリアルタイムで旅客へ情報提供を行う
ものです。
これがすべて列車運行管理システムの役割、言い換えれば「SUNTRAS」と呼ばれるシステムが行うことであり、放送案内は「SUNTRAS」と呼ばれるシステムの1つの機能に過ぎません。
決して放送主体のシステムではなく、自動放送はあくまでシステムの機能の一部です。この点ははっきりと切り離して理解しておいてください。
なので「○○駅にはSUNTRASが導入されている」という記述も、かなり語弊があります。先に示した通り、SUNTRASは列車の運行を管理するシステムの名称なので、駅に導入するものではありません。駅に導入されているのは、運行管理システムに連動した旅客案内システムの自動放送です。
逐一「運行管理システムに連動した旅客案内システムの自動放送が導入されている」と書くと長いですので、私のチャンネルや記事内では「SUNTRAS(型)放送が導入されている」と表記しています。