京都駅の自動放送が流れにくい問題

京都駅にはSUNTRAS型放送が導入されており、英語案内を含めた詳細な放送案内が流れます。

 

ただし常時正常に詳細放送が流れているというわけではありません。何かしらの条件下で接近予告放送が流れなくなる、接近放送が簡易接近放送になる、といった事象が発生することがあります。今回はこの自動放送が流れなくなる条件に関するちょっとした考察です。

 

 

簡易接近放送になる列車の特徴

2時間ものの動画を作るため足繁く通ったり、その後も屋根が低く録りやすいのをいいことに何度も訪れた経験からわかった放送が流れなくなる列車の特徴は次の2つ。

 

1.放送が流れなくなる現象は0〜7番のりばでしか起きていない

2.遅れている場合や切り離し・併結が絡む列車では高確率で流れないことがある

 

「こういう時に流れない」という条件はありません。自動放送が活躍しそうな列車に限って自動放送が流れなくなる、というものです。

 

 

このランダムに発生する「放送が流れない」現象を、これまで私は放送システムの不具合だと考えてきました。

 

自動放送と言うのは旅客案内装置という各駅の案内システムによって生成されています。

旅客案内装置は運行管理システムから列車の情報(種別、行き先、停車駅、編成、etc.)を受け取ると、その情報に合わせて放送を自動で組み立て、それを各のりばに流す役割を持っています。

 

京都駅はSUNTRAS型放送が流れる駅で最ものりば数が多い駅です。通常時なら対応できるところ、遅れや切り離しなどが絡むと旅客案内装置が処理しきれず簡易放送になる、と言う考えです。

 

ただもし放送システムの不具合によるものだとすると、説明がつかない点が複数あります。まずは先述の通り流れなくなる列車に明確な条件がないという点です。

列車が遅れていてもふつうに流れることはありますし、遅れていなくても流れないことがあります。

 

全く遅れていないトワイライトエクスプレス号の接近放送が簡易放送となった例。

到着放送は正常ではありませんがシステム連動の放送が流れました。

 

倒木の影響で5時間以上遅れて到着したサンダーバード号では、直前で発着順序が変更されたにも関わらずきちんと接近放送が流れました。

 

複雑な処理ができない不具合であればこのような場合に簡易放送になるはずです。

 

1日以上遅れて到着したトワイライトエクスプレス号でもきちんと放送が流れました。

 

もしシステムの不具合に起因するものなのであれば、上記に挙げたようなケースでは放送が流れない可能性の方が高いはずです。それが流れたということは、普通に考えれば旅客案内装置の不具合ではないと言えます。

 

 

またもう一つの謎として、のりばや発着する電車が多すぎて処理落ちしているのであればなぜ0〜7番のりばでしか発生しないのかの説明がつきません。

 

奈良線嵯峨野線ホームで放送が簡易放送になった事例はこれまで確認できていないのです。

もし処理落ちが原因だとすれば、これらのホームでも同様の事象が確認できてもいいものです。それが確認されていないということは、ますます放送装置の故障であるという線が薄れてきます。

 

考えられるほかの可能性

これについてTwitterで「連動放送が切られている」といったように、自動放送が切られているという含みのツイートをされている方がいらっしゃいました。

つまり故意的に駅員さんが自動放送を切っているということです。

 

にわかに信じがたい話ですが残念なことに思い当たる節はあります。

 

Boarding locations of the tra…...

 

9番から12番で2列に並んでお待ちください。(ここで途切れる)

 

英語放送が流れない例。

 

"Shin-Osaka, Osa......"

 

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これまで録音してきた放送の中にほかの自動放送が被ったわけでもないのに案内の途中で途切れた放送を記録したことがあります。

特に最後の例なんかは「自動放送を切られた」と考えられなくはない例ですよね。都合よく肉声放送が始まる直前で途切れています。

 

京都駅は非常に特殊な駅でして、今では珍しい肉声案内をするだけの駅員さんが常駐している駅です。ホームには立たず放送室から永遠と各のりばの列車を案内する駅員さんが常時2名ほどいらっしゃいます。

それだけ肉声案内に力を入れている駅であれば肉声案内の邪魔になる自動放送を落としてしまうというのはあり得る話です。

 

疑問点

ただし、もし自動放送を故意に流していないとすると、2点ひっかかるところがあります。

 

まずは自動放送を落としてもまったく案内を流さない駅員さんがいる点。肉声案内を聞き取りやすくするために自動放送を落としているのであれば、自動放送を流さない列車に対しては京都駅が誇るすばらしい案内手法を駆使した肉声案内を行うはずです。

ところが、必ずしも自動放送が流れないからと言って肉声案内が詳細かといえばそうでもありません。肉声案内をする・しないに関わらずマニュアルで「この列車の接近前は放送を流さないように」などが決まっているのかもしれませんが。

 

もう一つが果たしてそんな些細な理由で英語放送を流さないというのがまかり通るのか、という疑問点です。

 

京都駅というのはふつうの“都道府県で一番大きい駅”ではありません。日本を代表する観光地「京都」のターミナル駅で、それゆえ外国人の利用者も相当多い訳です。

そういう特殊性を孕む駅ではたして「英語放送を流さないようにする」という対応が許されるのかは大きな疑問です。

 

にしても、もし駅員さんによって扱い方が変わるというのであれば、今後の録音の仕方や狙い方も変わってきますね。そういう事例でなければ良いのですが。

 

追記(2019, 11, 02)

というところまでを10月中に書き終え投稿するタイミングを伺っておりましたところ、ひょんなことから自動放送は流れないのではなく切られているとわかる決定的な場面に出くわしました。

該当の放送が奇しくも狙いの放送で、かつ録りたい部分は流れてくれたのでそのまま投稿すると思います。概要欄などに特記はしませんので、注意深く聞いて「ああ、これのことか」と察してください。

 

それをもとに過去の動画や動画にしていない音声を聞き返してみたところ、特定の駅員さんが放送ブースにいる時は自動放送が途中で切れている、もしくは逆にこの駅員さんが担当なら自動放送がふつうに流れている、という違いがあることがわかりました。

 

京都駅の自動放送は運次第で流れなくなるのではない。駅員さんが故意に切っているので、駅員さんの気分次第で流すも流さないも選べる。それが放送が流れなくなる現象の正体でした。

観光客の利用も多い京都駅で英語案内を蔑ろにするような運用が行われていたというのは非常にショックです。

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